人は、何かを作るために生まれてきたのではないかと思うほどに(娘3歳8ヵ月)
娘が風邪をひいた。
…と言っても鼻水が出ているだけのちょっとした症状だ。でも、鼻がつまっていると、どうやら夜眠れないらしい。口呼吸では苦しくてすぐに起きてしまう。寝ては泣いて起き、寝ては泣いて起きを繰り返した。
夜中ずっと介抱していたパートナーが翌朝、「娘ちゃんはさ、口呼吸だと寝れないなんて、やっぱりまだ子どもなんだねぇ」と言っていて、本当にそうだねと思う。
娘は3歳8ヵ月になり、すっかりお姉ちゃんになった。もう身の回りのことはほとんど自分で出来るし、お友達ともよく遊ぶ。親から離れて過ごす時間も少しずつ出てきた。でも、まだ口呼吸では眠れないのだ。
娘がいま、なにが出来て、なにが出来ないのか。その見極めが最近むずかしくなってきた。
熱も無いし、体調としては大丈夫そうだったのだけど、本人が「ようちえん休みたい」と言うし、確かに元気はないので(夜眠れないし)、ようちえんをお休みすることにした。
さて、ここでだ。
うちは個人事業主の共働きなので、娘がようちえんを休むと、ぼくとパートナーのどちらかが娘と過ごすことになる。今回は僕よりもパートナーの方が忙しい状況だったので、僕が娘と過ごし、パートナーは仕事をすることになった。
僕はこのところちょっと仕事に疲れていたのと、ちょうど一山越したところだったので、娘と過ごせるならラッキー。しかもパートナーは3食作ってくれる。こりゃご褒美だい。ということで、娘と遊ぶモード全開。
(あっ、でもその代わりってんでもないけど、皿洗ったり、洗濯物はしてるし、図書館に本返したり、灯油買ったり、掃き掃除したり、家賃払ったりとか、そういうのもしてるんだよ。まぁそれでもいつもパートナーの方が家のことしてるけど・・・って、誰に向けた言い訳なんだ、これは。)
娘となにして過ごそうかなぁとルンルン考えていたら、娘は朝ごはんを食べるなり、おもむろにマジックをつかんだ。
そして、ぐるーっとだいたんに手を動かした。なにを書いているのだろうか。と思いつつ、僕はいまがチャンスと思って皿を洗う。
途中で見に行くと、こんなものが出来上がっていた。「なにそれ?」と聞くと、「100円のお店までの道―」だそうだ。
ここに木があったりして。うふふ。
ここは海だったりして。うふふ。
などと言っている。大変ご機嫌で楽しそうだ。
僕が、こりゃいいな。地図か。としげしげその絵(地図)を眺めていると、「絵の具やりたい!」と娘が言う。
そりゃいいな。絵の具か。と思い、絵の具を準備すると、迷いのない手つきでこんなものを描いた。
『あしあとー』だそうだ。
そうか。あしあとか。と返答すると、
なにかのあしあとー(上の段を指さして)、
『く』がつくあしあとー(中段を指さして)、
『あ』がつくあしあとー(下の段を指さして)
と説明してくれた。
聞き取り調査を行うと、「『く』がつくあしあとー」はクマのあしあとで、「『あ』がつくあしあとー」はアライグマのあしあとであることが分かった。
「なにかのあしあと」は何なのか分からず仕舞いだったので、娘にもノーアイデアだったのかなと思う。
ふむふむ。今日はお絵描きモードなのかな。と思っていると、もう娘は次の絵に取り掛かっている。
今度は『ハート』だ。
娘は3歳3か月頃にハートを描けるようになって以降、絵といえば『ハート』を描くようになった。随分手慣れたもので、描く姿に自信がみなぎっている。
しかも今日は、ピンクで外側を描き、黄色で内側を塗っている。筆遣いがかなり器用になったことに驚いたが、僕としてはそれよりも筆につける水の加減が上手になったことにより驚いた。
あと、このピンク色は、わざわざ赤と白を混ぜて作っていた。こだわりのピンクだ。
この感じだとまだ描くかな?と期待して見守っていると、「もう絵の具はいいー」と娘が言う。なんだ。今日はこれでおしまいか。と心のなかで思いながら娘の手を見ると、そこにはマジックが握られていた。そして、今度はこんな絵を描いた。
タイトルは、『ピクニックー』。
お日様があって、
トンボが飛んでいて、
地面にシートをひいて、
靴をぬいでそこに座って、
お弁当をひろげて食べているところ。
だそうだ。
『地図』→『あしあと』→『ハート』と来て、いきなり風景になってびっくり。いろんなバリエーションの絵が描けるようになっていてすごい。
娘はこの夏頃から、このような、空から見た視点の絵を描くようになった。「天の目を持つ女」と、僕はひそかによんでいる。
ここでパートナーがちょっとだけ顔を出しにきた。ワオ、お母ちゃんだ!ってなことで、娘はお母さんにあげるための絵を描く。
『くも』らしい。
この絵の説明は、娘がパートナーにしていたので、これがどういう絵なのか僕は知らずのまま。僕には絵をくれないのに、母ちゃんにはあげるんだな、娘よ。と僕はいらぬ嫉妬をする。
パートナーが仕事に戻ると、今度は「プラバンする」と言う。
そうか、プラバンか。と僕はいそいそとプラバンを探す。その間に娘は自分が描きたい絵を図鑑から探す。
アオサギにしたらしい。
プラバンをはじめたのは、たしか夏頃のこと。娘が3歳半になる前だったと思う。その時は、この「なぞる」という行為がまだ出来なかった。
なぞりはじめることは出来るのだけど、本当は曲がらないといけない場所で、娘の線はそのまま先に進んで行ってしまう。先を見ながらペンを動かすということが出来なかったのだ。
けれどどうだろう。今日はちゃんとなぞれているではないか。娘の成長の速さたるや恐るべしである。
色もちゃんと塗っていた。僕、まったく手伝ってない。すごい。
すごい可愛いのできた。なぜかアオサギの首に飾りがついてた。
娘がプラバンに集中してるので、僕はプラバンのあまりを使ってビーズを作る。こんな感じで作るとゴミがビーズになるよ。と、この前ある方に教えてもらったのだ。
娘はこれを見て、「わたしもやる」と言ってくる。そうか、やりたいのか。と僕が思っているそばから、娘はもう手を動かしている。俺の許可を取ってくれよな。俺がやってるんだから。と心のなかで思うが、親の情けで許してやる。
こんなのを描いていた。
オーブントースターでチンっとするとビーズが出来た。可愛くて驚愕。娘って、天才なのかなと思った。(←親なんてものはみんな我が子を天才だと思うなんてことは分かってるので大丈夫です)
僕が作ってたビーズの出来上がりはこれ。どう見ても娘が作ったやつの方が魅力的なので、思わぬ敗北感を味わう。
しかし今日はなんでもやる日だな。と思い、そういえばこれはどうだろうとアイロンビーズのことを思い出した。
↑この、娘の大変な時期を支えたアイロンビーズだ。2歳の時はものすごい没頭していたのに、娘は3歳になってからアイロンビーズをとんとやらなくなった。
でも、今日はやるかも。なんかすごいもん今日。そう思って、「ねぇねぇ、アイロンビーズ、久しぶりにやる?」とストレートに聞く。
すると、「やる。」と娘。
なんだろうこの、テンション高くも低くもない感じ。ものすごく淡々と「やる。」と言ってきたぞ。と僕が内心たじろいでいる内に、娘はもうアイロンビーズをはじめている。
カーネーションを作り、
コマドリを作り、
ちょうちょを作り、
はりねずみを作った。
図案の通りにアイロンビーズを置けるようになっていて、これまた驚く。これは3歳の頃には出来なかったこと。アイロンビーズをしていなかったこの8ヵ月の間に、娘は目もよくなってるし、手先も器用になっているし、思考力もついている。いまの娘には成長しかない。彼女はいつもどこにも留まっていない。
…と、こんなことをしていたら、あっという間に1日が終了。娘は、仕事を終えたパートナーと風呂にはいり、そのままお眠りになった。
そして翌日。
変わらず微妙に体調不良の娘。もうようちえん行っても大丈夫そうだったので、僕としてはちょっと悩んだのだけど、まだ本調子で無さそうだったため、念のため(先生やほかの子に迷惑もかけられないし)今日もお休みすることにした。
そして、今日も僕は娘と一日過ごしてよろしい。ということになった(なぜなら明日は僕がいちにち仕事するから)。
昨日あれだけ創作してたから、今日はさすがにもうしないだろう。と思いつつ、じつはきのう寝る前に、いまの娘が楽しめそうな創作を調べていた僕。
今日はこれだ!
と、「切り絵やってみる?」と提案。「やる」と即答の娘。そうか、やるのか。と思い、やり方を提示する。
娘はそれで切り絵の意味をすぐ理解したようで、僕が折った折り紙を奪い取るようにして自らハサミで切った。
今日もアグレッシブでとても良いぞ。と思う。
ひとつ切って広げると、「もっと」と言うので、よし。飽きるほどに折ってやろうじゃないかと僕も発奮。
僕が折り、図案を描き、
娘が切り、広げるという役割分担で、気付けばこんなことに。
何個つくったんだろ。すごい作った。こりゃ大量だなー!と僕が叫ぶように言うと、娘が「分からなくならないように番号書いとく」と言い、なにやら書き始めた。
3。
数字だ。なにを「わからなくならないように」したいのか分からないけど、面白いので見守る。
7。
7。
7?
だいたい7だった。
娘は、数字を1から29まで暗唱できる能力の持ち主だが、まだその意味を理解しきれてはいない。数字はものを数える時に使うもの。とは分かってるみたいだけど。
その後、塗り絵をしたりパズルをしたりして過ごし、図書館へ。そして、帰り道で紙粘土を購入。
家に帰ってきたら、僕がそこらで拾ってきては放置している木の実を用意し、「これ(と紙粘土で)でお城作るぞ!」と娘に宣言する。
でも娘は図書館で借りてきたハムスターのDVDを早速見ていて(最近、DVDを自分でプレイヤーに入れる技術を身につけた)、僕の声は届いていないご様子。
それならそれでいい。と、僕はその隙にパートナーの仕事場を見学しにいく。
パートナーは焼き菓子屋さんをやっている。
今年の3月に自宅裏に工房を移転したのだが、それをなんと床の張り替えから自力でやっていたので、この半年以上は休業状態。ずっとトンカントンカンウィーンと頑張っていた。その姿はもはや焼き菓子屋じゃなくてリフォーム屋だった。
11月に保健所の許可がおりたので、やっと再始動したところ。
アトリエこと
https://instagram.com/_atelier_koto_
どんな感じで仕事してるのか見てみたかったので、頑張るパートナーの仕事風景をバシバシ写真に撮った(つまり邪魔をした)。そんなことをしていると、遠くから娘の声が聞こえてくる。
「お城つくるんじゃないのー?」とのこと。
そうでしたそうでした。なんだよ。聞こえてたのね、それ。と娘のところに戻り、紙粘土を取り出す。
えっへん。
ここにある木の実を使ってお城を作るぞ。と僕は改めていう。
とその前に…と、僕が水やらなんやらを取りに行くと、娘はもう勝手に思うがままに作り始めていた。
こちらからなにも提示していないのに、身体がまず動いている。さすが、工房を自力で作る母ちゃんの娘だ。母ちゃんよ。娘はいま、お城を作っているぞ。と心で思う。
楽しそうなので、僕も紙粘土をいじる。お城がふたつあってもなんだしなぁと思い、よし、お城のそばに森を作ろう!と考えた。
パートナーが工房を作る際に出た端材に紙粘土をくっつけていると、すぐさまそれを娘に取られる。おい。俺がやってるんだから、俺にもやらせろよな。と思いつつ、親の情けで許す。
なんかいいのが出来そうな雰囲気がある。
こんなのが完成。なんかすごい!天才だ!この子は!!(←親なんてものはみんな我が子を天才だと思うなんてことは分かってるので…以下略)
手を洗ってくると、「お腹空いた。」と娘が言うので、そりゃそうだな。これだけ作ってればと思い、肉まんを与える。娘は「はい」と、ちょっとだけ分けてくれる。優しい。なんでそうやって分け与えることができるの?あなたは。と思っていると、娘の手には…「折り紙」が…。
まだやるのか!
これだけやって、まだやるのかちみは!
と思ったところで、「やっぱこれ見る」とハムスターのDVDを指さす。
うん。いいよ。なんかきみ、この2日間すごかったから、好きにしたらいいよ。飽きるまで見な。と許可を出し、娘はハムスタータイムに。次にうさぎのDVDに切り替え。テレビ画面を見ながら、ぴょんこぴょんこ跳ねて、うさぎになっていた。もうこれ、完全に風邪治ったな。
そんなこんなで日が暮れて、仕事を終えたパートナーが帰ってくる。これで娘の怒涛の創作2daysが終了した。すごかった。
**********
と、まぁこんな調子で、娘にはたまに創作が止まらなくなる日がある。
娘が創作しまくる時は、だいたい外でうまくいっていない時か、体調不良の時、あるいは自分を取り戻そうとしてる時なので、この2日間はたぶん「体調不良+自分取り戻し」の日だったのだと思う。
というのも、最近の娘はお友達とよく遊ぶようになって、毎日のように誰かに家に遊びに来てもらいたい!モードになっていた。親の目にはこれがちょっと過剰に見えていたのだ。
娘にお友達と呼べるお友達が出来たのは3か月前のこと。一緒に遊べる友達が増えてきたのがつい先月。まだ友達と遊ぶようになって日が浅い。それにしては、ちょっと遊びすぎっていうくらい遊んでいた。
娘はたぶん嬉しかったのだと思うし、友達と遊ぶってのを存分にやりたかったのだろうけど、おそらく無理はあったのだろうな。それで風邪ひいたんじゃないかってのが、僕が勝手に想像しているところ。
娘はわりと、心と体がすっきり繋がってるタイプに見えるので、今回は体の方が心にストップかけたのかなぁ。と思う。
まぁ実際のところは、ただ風邪ひいただけかもしれないけどっていうか、多分そうなんだけど、親っていうのは子どもの一挙手一投足に意味を見出したくなっちゃうものなので、この2日の娘の様子からは僕はそんな風に感じてしまった。
なんていうのかな。手を動かすことで、自分を確かめてる感じっていうか、なにかこう、自分のなかを調整してるような、そんな感じ。友達と遊ぶのは、他者を通して自分を知る行為でもあるから、この2日の娘は、創作を通して自分で自分を見つめたのかな。そんな時間を彼女は欲したのかもしれない。
子どもの創作は、遊びでもあるし、技術の習得でもあるし、心の調整でもあるし、本当に侮れない。今回の娘の大集中にもなにかの意味があったのだろうなと思う。
いまはまだよく分からないけど、振り返った時に、あの日の集中の意味ってこれだったのかも。というのが分かる日がくるかも知れないから、この2日のことを書き留めておこうと思った。
子どもって、本当におもしろい。
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