バース・オブ・ネイション

Birth of A Nation みた(機内上映)。

検索したら「バース・オブ・ネイション」という日本語タイトルがついていて、日本で公開されてないのになぜカタカナのタイトルがあるのかな、とおもったら、昨年の東京国際映画祭で上映されたんですね。

19世紀はじめ米バージニア州。黒人奴隷ナットが彼らの過酷な状況に耐えかねて起こした反乱の史実を映画化。重いテーマ性からどこの映画会社も企画をピックアップなかったものの、プロジェクトに共感したNBA選手やカナダの製作会社の出資により、$10Mをあつめて製作。

2016年のサンダンス映画祭で上映されると争奪戦が発生し、きちんと劇場公開することを約束したFOXサーチライトが、ネットフリックスなど配信系を抑えて$17.5Mで獲得。サンダンスでの買付ディールの最高額としても話題になりました。

一方、世の中の様子としては、誰でもスマホでビデオ撮影ができるようになって、かつその動画を誰でも世界に発信できるようになり、ここ数年間、黒人に対する警察官による理不尽な暴力の動画による告発が全米で日々つづいてた。

黒人に対する不当な扱いは今なお厳しく、200年前の話なのに非常に実感のあるテーマの映画になってしまい、当初からアカデミー賞有力候補的な扱いで報道されてたんです。

…ところが公開前になって、監督・脚本・主演のネイト・パーカーと共同脚本のジーン・マクジャンニ・セレスティンの二人が大学生の時にレイプの嫌疑で告訴され2002年にネイトは無罪、ジーンの方は一回有罪になったけど控訴審で裁判が取り下げられて無罪…さらに訴えた女性は2012年にうつ症状などもあり自殺してしまった…というスキャンダルが発覚。配給のFOXサーチライトは、予定していた宣伝展開を大削減。

前評判を大きく裏切り興収は$15.8Mほどで終わった映画。映画そのものは、初監督作品らしく全体になにやら未熟な感じなんですが、勢いだけはあって正面突破感が強かった。スキャンダルがなければ、もちろん日本でも公開されただろうし、もっとたくさんの人にみてもらえただろうし、「それでも夜は明ける」 がまた注目されるきっかけにもなったんだろうと思うので残念な展開。

レイプ裁判といえば、ロマン・ポランスキー監督は、1977年に13歳の少女をレイプしその裁判後に米国外に逃げ出しています。その後、長年にわたりある意味ばっくれ続けていますが、「戦場のピアニスト」のアカデミー賞監督賞他たくさん賞も貰っています。最近では、自分が撮影していた映画クルーの数名からセクシャル・ハラスメントで2010年に訴えられて和解したケイシー・アフレックも、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で今回主演男優賞を受賞。

性犯罪者(嫌疑含)に対する世の中の扱いに不公平感があり、少ない事例ではあるんですがここにも黒人対白人という線が引けなくもない。ただ、ネイトの方は被害者の方が自殺されてしまっているので、そこがなんとも理詰めだけの話をしづらくて、残念な感じがいやましますけれども。

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