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ひまそらあかね氏は何故あそこまで石丸伸二を憎むのか?

 6月20日 東京都知事選挙公示当日の氏の出馬表明で、やっと彼があそこまで石丸伸二を憎むのか?がわかった気がします。以下で整理します。

🔲誤った前提 ”オタクアピールで得票アップ”

 ひまそら氏が繰り返し口を極めて攻撃してきたのが、石丸伸二のオタク度合に対する疑念です。
①「蒼天航路」が一番好きといっているのにこいつの本棚のコミックはは文庫版だ!嘘つき!
②「蒼天航路」に付箋を貼るほど熱心に読んでいるというが、本棚の写真に写るコミックには付箋が見当たらない!嘘つき!
③スピーチで「鬼滅の刃」を引用したのに上弦の鬼を一種類しか言えない!嘘つき!
④本棚の「らんま1/2」が日焼けしてる!古本屋でまとめて買ってきて並べたな!嘘つき!
⑤石丸はマンガ7000冊読んだ? 僕は25000冊。
…常識とか普通の人生で何が起こるかではなくて、(ひまそら氏基準の)オタクとしての正しいふるまいをしていないので、ずっと嘘つき呼ばわりです。  
 Netflixの『三体』で紅衛兵が大人を糾弾するようなテンションと正義感で、嘘つき呼ばわりを繰返しています。なぜここまで必死だったかというと、オタクアピールをすると選挙で得票できる、という前提をひまそらあかね氏が持っているからというのがひとつの理由でしょう。
 ただ残念ながら、東京都知事レベル以上の規模の選挙で考えると、そんな事例はありません。
 例えば麻生太郎元総理。マンガ好きで国際漫画賞を創設し、総理就任後は国立メディア芸術総合センターに予算をつけようとして失敗しています。その後衆院選で自民党は惨敗して2009年に自民党が下野することになりました。
 逆の事例は故石原慎太郎。東京国際アニメフェア(TAF)を提案して最初は丸々東京都のお金で開催したのが石原慎太郎都知事。ところが2010年に東京都の青少年保護育成条例を改正し表現規制強化。このときは、出版社各社が反発し2011年3月下旬のTAFへの参加を取りやめて同じ日程で別の大規模アニメ/マンガフェアを企画しました。(実際には東日本大震災が起こって分裂した双方開催中止)
 表現規制をきっかけに騒動になったのでオタク票は減ったはずなのですが、石原慎太郎は2011年4月の都知事選も圧勝。
 オタクが大規模な選挙の結果を左右するような票田であったことはありません。

 なのでまず、石丸伸二がオタクにアピールしようとしているという思い込みが間違い。安芸高田市長時代以降のMeet-upの動画や市長のスピーチで、様々なマンガおよびガンダム他を引用したり話題にしたりしているので、そのように解釈したくなるんでしょうけれど、いわゆるオタクがコレクター趣味と作品理解の度合いを追求する要素両方がそろっているものだとすると、石丸伸二は自分をコレクターであると説明したことはありません。また、オタクを自称したことがあるかどうかも定かではありません。逆に「自分はオタクではない」と明言することもありません。石丸伸二はオタクか?という議論に参加すること自体意味がないと思っているのでしょう。理由は既に述べたように、東京都知事レベルや政権選択レベルではオタクは票田ではないから。
 ちなみに上記①~④に対する石丸伸二の返答は以下の通り。
①「蒼天航路」大判コミック疑惑:NYに赴任するときに蒼天航路の大判コミックは処分した。
②「蒼天航路」付箋は嘘?疑惑: 写真が仰角で撮られているので映っていないだけ。
③上弦の鬼問題: 覚えていない。 (恐縮もしないし、開き直りもしない。事実として読んだ本の内容を覚えていなかった)
④「らんま1/2」古本屋購入スキャンダル: 随分前に買ったものなので自宅で日焼けした。
④読破マンガ冊数マウント: リアクション無し

恐らく④がポイント。ひまそらあかね氏は上級オタクは選挙で票を稼ぐことが出来ると本当に思っているのです。なので自分が都知事選に出馬しても、格好がつく得票数になると思っているし、石丸伸二がオタクの振りをしてオタクの票を削ろうとするのが絶対に許せなかった。
…こう考えると、ひまそら氏が都知事当選そのものに対してはそんなに必死でないのに、石丸伸二攻撃においては子熊を守る母熊レベルで必死であるというふるまいが説明できます。

🔲ひまそらあかね氏が無視している事実

 誤った前提をもとに腹を立て、嘘つきという答えを導き出す前提で政治家としてはどうでもいい事項を、見ている人が戸惑うレベルの必死さで(個人の感想です)並べる ひまそらあかね氏。
 石丸は怪しい!を繰返しますが、6/15ReHacQのライブ動画対談で直接対決の機会があったにもかかわらず、中国だかなんの宗教だか特定企業だかわかりませんが、石丸氏に対して彼が持っている疑惑について一切質問しませんでした。認知プロファイリング探偵を自任するひまそら氏だけあって、本当は石丸氏のことは細かいところまでチェック済で、「根拠のない批判はただの誹謗中傷」と断言されるところまでは予想可能だったのでしょう。
 仮にそのように切り返された場合、
A.奇妙な現象(石丸応援動画制作バイト募集/日本語ネイティブでないのが明らかな石丸支持者のSNS活動…)が起きている。
B.この奇妙な現象は ■■ の行為であると信ずる根拠がある。
C.したがって■■(陰謀の主体)が▲▲の目的をもって石丸伸二を応援しているのである。
…と説明しなければ無責任です。またB Cの根拠の説得力によっては、ひまそらあかね氏の知性と判断力に対しての疑念につながってしまいます。

 正直、私自身Aについては異論はないし私自身の経験とも一致するのですが、BとCが思いつきません。納得できる証拠/根拠/論証もみたことありません。ひまそら氏自身、

以上のことは言っていません。

 ちなみに■■に中国を代入しても成り立ちません。石丸伸二の著書『シン・日本列島改造論』でも、「軍事力を増大させ東シナ海や南シナ海で力による現状変更を繰返す中国や、核兵器とミサイル開発に突き進む北朝鮮など、国際秩序に反する動きをみせる国が実際に周囲に存在しています」と警戒感をあらわにしています。主張や発想のベースに、今の素晴らしい国日本を滅ぼさないようにするにはどうするか?という民族主義的なところがあり、中国や北朝鮮の立場から応援する意味は全くない。むしろ石丸伸二を攻撃している側が中国の手先ではないか?と疑うことすら可能です。
 また■■に公明党を代入可能か?ですが、6/11に公明党の石井啓一幹事長が都知事選では小池都知事を応援すると明言していますので成り立ちません。
 ■■はドトール? ドトールの鳥羽博道名誉会長が石丸伸二の熱心な支持者であるところから、ドトールの意を受けているのではないか?ということを言う人がいます。ドトール・コーヒーは別に北朝鮮のような悪の組織でもないし、何を言いたいのかよく分かりません。素直に考えて、飲食・コーヒーチェーンなど外食産業は東京が過密であるほうが営業の効率が上がります。とくに住環境とオフィス環境が劣悪である方が、ドトールコーヒーのようなサービスの需要は高まりますから、東京の過密解消を訴える石丸伸二は本来不都合な政治家のはずです。そもそも、鳥羽博道氏は、前原誠司(松下政経塾~民主党/希望の党?いまも政党助成金はもらってる?)を応援したり、安倍晋三と近かったりと様々らしく、鳥羽氏が特定の政党に近いという公開情報はありません。唯一考えられるのは、石丸伸二が絶対当選しない前提で彼の話題性に乗っかるという作戦です。X/Twitterでは#ドトール石丸 というハッシュタグも散見されますし、この作戦は成功していると思われます。良くも悪くも、石丸伸二にのっかることで、スタバ/コメダ/すなば…以上にドトールがバズったという、過去にみられなかったパブリシティ成功事例となっています。

🔲憎しみの理由

 陳腐な陰謀論を振り回さないために、ひまそら氏は石丸氏を攻撃するにあたって自身の以上の根拠を提出していません。更に、石丸伸二がオタク票田を刈り取ろうとしているという疑惑に関しては、そもそも都知事選レベルではオタク票田自体が意味のあるサイズではない、かつ、石丸伸二はただのマンガ好き以上のポジションからでてくることがないので、疑惑自体が成り立ちません。加えて、ひまそらあかね氏は頭のいい人で情報収集能力と分析能力がありますから、中国・公明党・ドトール疑惑が成り立たない理由を自分が積極的に無視しているという自覚があるはずです。
 それでも石丸伸二を憎む理由がある。
 
なぜなのかと言えば、人生観についての本質的な違いを嗅ぎ取っているからであると説明すると納得性が高いと思います。
 ひまそら氏は自己責任・自己完結を美学として実現してきた人生。自身が取締役を務めていたグラニ社との裁判で、3億円の和解を拒絶し総額6億円とされる賠償金を得て勝訴。悠々自適となったその後は本人の勘の赴くままに、ネット上の嘘つきの嘘と身の上を暴くという技術をエンタテインメント化。認知プロファイリング探偵として活動します。その中で、たまたま目についた人たちが、取得した公金を相当不適切と思われる形で支出して活動しているのに気づき、公金の出どころである東京都に対する情報開示請求にはじまる一連の活動がはじまります。都を相手どった情報公開裁判、攻撃された側からの反撃名誉棄損訴訟、それにともなって色々口を滑らした外野の人々への暇空氏側からの名誉棄損裁判…など裁判制度を活用した世直しがはじまりました。
 何しろ、ひまそら氏自身は何の組織にも属さない自己完結した人生。名誉棄損で訴えられる程度のことは、手間ではあっても裁判プロセス自体をYoutube動画やNoteでコンテンツ化して収益化も可能。自身の言論の自由と世直し活動のコストであり果実であり、なにより実感であるのでしょう。
 彼の裁判費用実費の部分は支援者のカンパでまかなわれていると思われますが、支援者たちも言論の自由と世直しへの参加の実感を楽しんでいる。ひまそら氏は自称「無職一般富裕オタク」だそうですが、少なくとも”オタク”の部分だけは多くの人が共感可能です。なのでオタク性についてちょっと常人の理解が追い付かない位の厳しさで他人を追求するのは、既に記述したとおりです。更に、オタク的支援者が共感可能な点のもう一つは、自己責任・自己完結の美学。
 どんな作品を購入・収集しようが、何の目的にカンパしようが、自分で稼いだ可処分所得を当てる分には当然自由です。それを突き詰めているのが,
ひまそらあかね氏の人生と言えるでしょう。

【子供達からみて、カッコいい大人になろう】

というメッセージでそんな価値観を否定するのが石丸伸二です。自己責任は当然という地点からはじまり自己責任以上を国民に期待しています。
 当たり前です。自分の稼いだ金でアニメみてゲームで遊んで、気に入らないやつらをSNSで攻撃し、不正をはたらいている誰かに対して誰かが起こしてくれた裁判にカンパするだけ、では日本の国は滅びます。快適で楽しい日本人の日常を守り、次の世代に伝えていくためにどうするか?を実践する姿をみせるのが石丸伸二がいう【カッコいい大人】。 
 実践するのは大変です。具体的には少子化を食い止め、さまざまな公共システムを維持するためであっても大規模移民は回避し、地方自治体の破綻を回避するにはどうするか?という話。

 石丸がこのような言い回しで明言したことはないと思いますが、自己責任・自己完結だけでは日本は滅ぶという立場なので、ひまそらあかね氏とその支持者たちの居心地が悪くなるのは当然でしょう。

 結果として彼らは、石丸伸二を背後で操っている巨大なナニカ が存在すると必死で主張しはじめてしまった。仮に巨大なナニカに操られている政治家であれば、自己責任・自己完結美学に反するオタクの敵です。嘲笑の対象でもある。そこで怪しい!嘘つき!怪しい!嘘つき!と連呼している。
 自己完結・自己責任を実現したしがらみのない人たちによる世直しという行為には当然意義があります。ただ、それをひっくり返して巨大な見えない敵の存在を主張することの妥当性は、今のところひまそらあかね氏の勘で正当化されているのみです。とはいえ、

”巨大な誰かに操られている=自己完結してない石丸伸二”というフィクションには麻薬的な魅力があるのでしょう。

 そんな魅力に魅入られた結果が、ひまそらあかね氏の高笑いのトーンだと解釈すると納得しやすい。そうはいっても、支持者の方々もそこそこ知的レベルは高いので、石丸伸二を理詰めで攻撃する限界は分かっている。結果として、人格攻撃可能なネタを拾って広めるということを熱心に行っている。
 
 ふたりの立場の本質的な違いはひょっとしたら、それぞれの父親との関係を比較すると分かりやすいかもしれません。
 ひまそらあかね氏の有名なエピソードは、家庭で暴力をふるう父親を彼が包丁で刺して警察沙汰になり、高校を中退したという話。自己責任・自己完結の原点のような話です。
 一方石丸伸二は父親について多くを語りませんが、「元気で飲めよ!」という父親の言葉を嬉しそうに紹介します。一定の距離はあるにせよ、次の世代への期待とメッセージが感じられます。

 両者とも東京都知事に当選する見込みは低く、上記のような比較自体に意味はありません。ただ、ふたりの立場の違いを観察すると、日本という国の現状を把握できるかもしれません。石丸伸二を攻撃し嘲笑するときのひまそらあかね氏の高笑いの切ないトーンは、自己責任さえ満たしていれば何をしてもいい国 という幸せな状態の終わりを私たちに告げているのでしょう。