見出し画像

三匹が行くコロンビアの旅(11)

<20XX年2月15日>
 朝4時半に起床。
 発生した「事案」に関し、職場の人間を何人か捕まえて情報収集。リモートでも出来るこの手の作業は、日本国内にいようが国外にいようがあまり関係ないから好都合だ。その他、毎日の業務のフォロー。

 マリー、ラウラ、ルイジからもらったケーキがなかなか減らない。ここ3日間くらいは朝食の後のデザートとして食べている(栄養バランス的にどうかと思うが…)。ルピタに対しては、「朝ご飯を全部食べたらケーキを食べよう」などと言って、毎朝きっちり食べさせることに成功しているので、これはいわば作戦勝ちか。この日の朝もきっちり食べたルピタ。
 すぐそばではアナやドニャ・クラウディアが、ルピタに与えられた「試練」を辛そうな様子で見ている。

 当初の予定では10時出発ということだったものの、みな起きるのが遅かったのでスケジュールは大幅に遅れている。アレクサとアナは朝7時の教会へ行くという話だった気もする…。
 ディエゴのランドクルーザーにどやどやと乗って出発。フリエータはディエゴの母と姉、その姉の2人のキッズをピックアップしに行く。

 ボゴタを離れ、昼ごろ、クンディナマルカ県(日本式に「県」と呼ぶのは妙な感じだ)にあるレストラン「La Granja Tenjo」に到着。ここがディエゴファミリーとの初めての会合の場所だ。私にとってはもちろん初めてだが、アレクサファミリーにとっても、ディエゴファミリーとの家族ぐるみの集まり自体が実は初めてなのだという。
 時を置かずして、フリエータの運転でディエゴのお母さんとお姉さん、お姉さんの2人のキッズが到着。駐車場で軽く初対面の挨拶をかわし、建築資材の再利用と思われる材料で作った動物のオブジェが並んでいる様子を眺めながら中へ入る。

 La Granja Tenjoは、広々とした敷地に屋外のテラス席をふんだんに配置した開放的なレストランで、かつ、敷地内に子ども向けの遊具がいくつも設置されていて、子ども向けのパークといった印象もある。さらに、敷地内にはニワトリ、アヒル、クジャク、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ダチョウ、シチメンチョウといったたくさんの家畜、家禽類も飼われており、客は動物たちにえさを与えることもできるようになっている。いわゆるふれあい動物園を併設しているようなもので、実にユニークなレストランだ。工作教室のようなコーナーもあり、子どもを飽きさせない。ボゴタの中心地から1時間ほどで来れるアクセスの良さもあり、週末ともなると、ボゴタから家族連れが多数押しかけてきて激込みになるらしい。それも当然と言えば当然の魅力が満載の場所と言える。ゆっくりできる家族ぐるみの食事会にしたい、という思いがみなにあったため、今回は特に平日を選んで集まることになった。
 それにしても、このような面白いコンセプトのレストランがコロンビアにあり、しかもボゴタから気軽に来れる距離にあるとは恐れ入る。Sopoの生鮮食品マーケットへ行った時にも実感したが、家族連れが楽しく過ごせるこのような場所がコロンビアにあるとは、日本にいる誰が想像ができるだろうか。
 レストランの入り口で見たのと同じ感じの動物のオブジェが、あちこちに配置されている。金属の廃材や古タイヤなどを使い、大小の動物を形作っている。素人の作品ではなく明らかにプロの手によるもので、その手のアーティストが協力していることをうかがわせる。そうした点も、日本のレストランではまずお目にかかれないのではないだろうか。

 さて、ルピタの様子だが、いつも通り最初のうちは相手の家族を前に恥ずかしがってしまい、盛んに抱っこしてもらいたがってばかりであったが、園内に動物がたくさんいることに気づいたあたりから徐々に活動的になり、食後はキッズ3人で仲良く遊ぶ姿が見られるようになった。

 昼食はというと、こういう場所に来たら肉を注文したくなるというのが私のサガなので、Tボーンステーキを注文。いきなりおカネの話で恐縮だが、550gで日本円にして約2000円である。日本のファミリーレストランでよく見かけるステーキがだいたい200g前後のサイズで、お値段はファミレスにもよるがだいたい2000円前後だと思う。これを踏まえると、550gというのは日本人的には全くの規格外のサイズで、5000円くらいにはなりそうである。日本国内でもボリュームたっぷり感のあるハードロックカフェのステーキでも12オンス(約340g)で5000円くらいなので、550gで2000円のステーキはやっはりありえない。そしてうまい。

 週末にこうした郊外のレストランで食事をするのがボゴタ市民の間では人気があるらしい。日本人が週末に家族そろってすしを食いに行くようなものかもしれない。レストランはもちろん、周辺の交通渋滞も大変だという。

 園内にはダチョウとエミューもいて、図体がデカいのでルピタはもちろん大人でも少々ビビるが、レタスを顔の前に持っていってやると丁寧に食べる。決してガッついてはいないので、意外な感じ。

 午後5時半、ディエゴファミリーと別れ、帰路に就く。
 途中、日本に持って帰るお土産を買おうということで、スーパーマーケットEXITOに寄る。これまでの旅の習慣で、旅先のお土産は観光客向けのお土産店で買うのではなく、地元の人が普通に利用するスーパーなどで普通に売られているものの中から選ぶことにしている。なぜなら、それがその国の標準的な商品だからだ。その国にとって普通のものを普通の金額で買って、それをお土産として日本に持って帰る、これほどその国らしいお土産はないだろう、というのが私の主義である。
 このEXITOで、私たち3人へのプレゼントとして、アレクサファミリーがブーツや運動靴を買ってくれた。アレクサはシルバーのテニス(運動靴)を、ルピタは青い運動靴だ。恐縮ながら、成長の早いルピタには中古の靴ばかり買っているので、新品を買ってもらってうれしかったに違いない。私はというと、必ず一足は用意しているデザートブーツに悩まされることが近年多いので、これを機にコロンビアらしいデザートブーツが欲しいと思い、Brahmaのwaterproofタイプを選び、買ってもらった。高いわりにすぐボロボロになってしまう5.11 Tacticalのデザートブーツに比べ、Brahmaはアタリだった。
 ついでに、自腹で普段使い用のポロシャツを購入。コロンビア製のリーズナブルなポロシャツを選んだ。
 そうこうしている間に、20時の閉店の時間が迫ってしまい、お土産は明日に延期することに…。明日は少々遠出とアレクサの祖母宅訪問を予定しているので、お土産をじっくり買う時間があるかどうか、少々怪しい感じもする…。

 午後8時、帰宅。長い一日であった。みんなでLa Granja Tenjoの良いところなどを話し合う。
・でかくて安いステーキ
・敷地が広いだけでなく、キッズパークがとにかく広い
・家畜にエサをやれる
・廃棄品を再利用した美術性、デザイン性の高いオブジェがいたるところにある
・ボゴタ市内から1時間というアクセスの良さ
などなど。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?