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不動産あれこれ 第2回 不動産を買う動機

 なぜ「不動産を買おう」と思ったのか、その動機を整理してみよう。いろいろあったと思うが、私の場合、純粋な不動産投資が理由でなかったのは確かだ。次のようなことを考えていたと思う。

1.ひとりの大人として、自分の力で不動産を購入してみたい

(不動産を一度も購入したことが無い身内が何人かいて、彼らを反面教師として考え、不動産は決断力の問題なのだと思った)

2.祖父が所有している古い家があり、自分も愛着あるが、自分が相続すると決まっているわけではないから、みょうな期待や計算などせずに自分の力で新たに不動産を購入するほうがいい

 このようなことをまず考えていて、と同時にもともと投資にも興味があったことから、上記2点に加えて投資的な要素も含めて考えるようになった、という経緯もあったと思う(確か)。

3.純粋に自己居住用として、庭付きの戸建てを買う

4.自己居住用に購入するが、コンパクトな4~6世帯アパートを一棟買いして、そのうちの1室に住む

 と、このような2者選択の段階に入った。マンションの可能性は一切考えていなかったと言っていい。なぜなら、自分の敷地内で気軽に洗車できる自由を求めていたからである。少々変わり者に聞こえるかもしれないが、当時も今も、休みの日にクルマを洗車しながらいろいろ考え事をするのが、私にとっては重要な楽しみの一つでもあったからなのである。

5.都心ではなく、地方の郊外に住みたい

6.かといって隠居するわけではないので、23区内まで通勤可能なエリアに住む必要がある

 23区内まで通勤することを考えると、奥多摩はダメである。東京西部に住んでいた頃、しばしば走りに行っていた関係で、奥多摩は実はお気に入りのエリアなのだが、通勤となると常識的に考えて、頑張っても八王子や立川までがせいぜいになるだろう。また、奥多摩と言ってもやはり東京。交通の便の割には不動産価格は決して安くはない。

 とこのようなことをつらつら考えるにつれて、候補地となるエリアも自然と絞られるようになっていった。すなわち、

7.東京駅を起点とするなら、候補となり得るのは東京駅から南あるいは東のエリア

8.具体的には、南なら神奈川県横須賀市、東なら常磐線沿い、あるいは千葉県内房または中央部

 というこの辺りまで来ると、具体的に地名が上がってくるに至った。あとは実際の物件探しである。

9.気になる物件が見つかったら、とにかく問い合わせる

 ネットで見つけた物件に問い合わせを入れる。物件の詳細を知るための資料請求である。興味深いことに、資料を請求してもなんの反応も返ってこないことがわりとある。忙しいのか、こちらの聞き方が悪いのか、返事が無いのだから何もわからない。

 また、返事はもらえたものの、何か質問をするとまるで要領を得ない回答が返って来ることもわりとある。こちらの質問に答えていないのだ。こちらの質問には答えず、自分の言いたいことだけを並べたりする。

 このように、興味のある物件にただ問い合わせを入れているだけだというのに、普通のやり取りの出来そうな相手に当たる確率がかなり低いということに気が付いた。5件問い合わせたうちの1件、もしかしたら10件のうちの1件と言ってもいいかもしれない勢いだ。

 当時の私は、「本当に売る気があるのだろうか」などと思ったりしたものだが、今の私はこの状況を思い出してもさほど驚かない。返事がなかったり、こちらの質問に答えなかったりするのであれば、ハナから相手にしないだけのことである。多少なりともいろいろ経験した結果、この最初のころのやり取りが非常に重要な意味を持つということに、私なりに気が付いたからである。この段階でコミュニケーションが成立しないなら、相手にする必要はないと言えるだろう。

 さて、そうこうしているうちに、どうやら話の合いそうな営業担当が見つかった。提案されたものがこちらの要望に沿わないものだとわかると、すぐにこちらがイメージしているような物件をいくつか提示してもらえる。質問にもちゃんと答えている。今思うと、理想は、こういう人を何人か、それぞれ違う不動産会社に勤務している人を何人か知っていて、それぞれからいろいろな物件を紹介してもらえることである。だが、現実はそううまくいかないもので、この人ほど感覚の合う人はその後も出会ったためしがなく、信用できない人であればいくらでもいるのである。

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