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不動産あれこれ 第3回 大型バイクを走らせ物件選定~生活立ち上げ

 さて、ネットで見つけた物件に問い合わせた縁で知り合ったその人は、千葉県八街市にあるフランチャイズ系不動産販売会社「A」の齋藤氏で、年のころは30代前半くらいであった。

 メールで継続的に連絡を取りつついくつか物件の紹介をしてもらい、めぼしい候補が出揃ったタイミングでバンディット1200S(上の写真)で出撃して内見のはしご、という流れである。

 このあたりまで来ると、自宅としても使える4世帯くらいのコンパクトアパートという発想は薄れていたのを思い出す。具体的な候補となる物件はあったのだが、当面のランニングコストなどの費用が気になり、進める気になれなかったのだ。で、緑の多いエリアに庭付きの戸建てを買ってのんびり暮らす、というイメージのほうが強くなっていったわけだ。

 いま思えば、候補に挙がっていたようなコンパクトな一棟アパートに思い切って踏み込んでいっても問題なかったと思う。維持にかかるあれこれなど、あのサイズなら、戸建てと大差ないと言ってもいいくらいだ。

 ところで、不動産に関する興味深い言葉がある。それは、「物件は待てばあとからいくらでも出てくる」「いいと思った物件をパスすると、それよりももっといいと思える物件に出会える」というものである。最初の言葉は、内見ツアーで一緒に回っているときに齋藤氏が言っていた言葉である。2つ目の言葉は、ここ数年で知った言葉である。どちらも正しい、と思う。待てるほどにいい物件と出会える、と言っていい。だからやっぱり、不動産は決断の問題なのである。

 で、私は決断した。

 土地約60坪、建坪約25坪のごくシンプルな戸建で、緑の多い静かなエリアに立っていた物件だ。中古だが売主がリフォームをきっちり終えていて、この手の物件にありがちな水回りのトラブルなどの悩みも無さそうだったのが、大きい。理由としては、主に次のような感じである。

・手直しが全くいらない程度にリフォームが完了している

・土地と建物の規模がちょうどいい(大きすぎず小さすぎず)

・お手頃価格(もっと安くてもいいはずだと今なら思うが)

・2階寝室からの眺望がいい(こういうエリアではココ重要でしょ)

・2階寝室にクィーンサイズのベッドが入る

・1階に広いリビングがあり、大きな掃き出しの窓がある

・海から近すぎない立地(近すぎるといろいろ錆びたり劣化しやすいので)

 フラット35の住宅ローン申請は、齋藤氏いわく「最速のスピードで」通った。勤続年数などの属性は良くなかったのだが、クルマのローンを含め借り入れは一切無かったし、物件価格も安いし、わかりやすかったのかもしれない。

 齋藤氏の手際は良かった。不動産の購入、クルマの購入、その他もろもろ、日常生活で見かける営業担当やビジネスマンたちの仕事の運び方をみるにつけ、物事を手際よく気持ちよく進められる人が本当に少ないことに気づかされる。特別に難しいことを求めたり求められたりしているわけではないはずだが、当たり前のことをごく当たり前に実行できない人が非常に多いのである(問い合わせのメールが来たら返事をする、とかね)。

 さて、私のほうは新天地での生活立ち上げの準備がいろいろあった。まずはクルマだ。物件のあるエリアはクルマで買い物をする生活になるので、とりあえずの1台として安い軽自動車を買うことに決めていた。

 カーセンサーネットで見つけためぼしい軽自動車に問い合わせメールを出しまくり、実車見学の約束を取り付けて、バンディットを走らせていくつか見て回る。実際には店へ行く前にもうほとんど決めていて、金額的な最終確認をするだけだったと言ってもいい。

 もろもろの細かい準備は今は割愛するとして、次はやはり引っ越しの手配。当時はアート引越センターを使っていたので、相見積もりなどは取らずに即手配。引っ越し当日、当時住んでいた神奈川県にある分譲マンションから千葉の田舎エリアまで荷物を運んでくれたアート引越センターのスタッフは、到着したエリアを見てびっくり。まさかこういう「人里離れたエリア」まで引っ越しするとは思わなかったようである。むろん住所はわかっていたはずだが、「こんな人気(ひとけ)の無いところですか…」というのが本音だったのだろう。彼曰く、「夜とかこの辺り真っ暗ですよね?俺ビビりなんで、一人暮らしで夜こういうとことか絶対ムリっす!」

 「快適な」田舎での一人暮らしが始まったのである。

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