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鈴木羅文
2024年2月29日 20:00
耳の奥から、暗い寒空へ響く。生きていてもろくなことなどないだろうか。有益な経験とも、思い出とも感じさせない。取るに足らない記憶と、ありふれた情報が、適当に積み上がっていくだけ。目を開いても、息をしても、苦しいだけ。 何も良いことは無いとまで思い詰める。仲間が去っていった。厄から逃げるように。万に一つのチャンスを無駄にした俺の元に、あるのは効き目のない薬と、どうしようも
2024年2月16日 16:00
新たな鋼鉄は、燦然と輝きを放ち、 態度は、最大級に燃え盛っていた。特別な空気感を纏った時代の跡。 後を追うようにして探りゆく俺。あの熱狂から、二十年以上経つ。 あの興奮から、24年目を歩く。昨今の世相。窓の外はすっかり焼け焦げており、 辺り一面に立ち並ぶのは廃墟の群。寝ぼけた目をこすり、愕然とした。 これは悪夢じゃない、現実なんだ。同じく俺の体内は、くすぶっていた。
2024年2月3日 12:05
目に及び、脳に至る、 脈打つ波状の電磁界。あらゆる情報とともに押し寄せる気持ちの渦。社会が引き起こした洪水に、 知恵や関心が流されていく。永久的に一瞬一秒を奪い合う、 喜怒哀楽の何かが欠けている。無数のデータ、メモリーによって構築された、そこは画面上の無機質な空間。人との繋がり。誰しもが思う、 それは弱く脆く、あっけない。だから現実に生きる今日、忘れ得ぬ一周前。
2024年1月20日 20:00
胸に突き刺さる、記憶の断片。噴出するのは、濁りきった脈。生きるために流した、赤黒い涙が泣き叫ぶようにドクドクと溢れる。激しい濁流にまみれ、震えた身体が洗われ、あっという間に死へ染まっていく。そんなことを考えてしまう近頃の、破滅的な昼下がりに横たわる手前。果たしてどこまで、この耐えがたい苦痛を抱えたまま過ごさなくてはならないのか。もう終わってもいい。なるべく早く。
2023年12月31日 12:00
今年が終わる。何かやり残したことは無いかと考えた僕は、描きかけのまま放置していた一枚の絵に再び取りかかった。10月末、気持ちを虫ばむような憂鬱や葛藤を浄化させるために描きだしたものの、つい考えすぎ、気にしすぎ、ごたわりすぎてしまう持ち前の厄介な性格が仇となる。心の中に渦巻いている負のエネルギーは大きくなる一方。次第にしんどくなった僕は、描くことを止めてしまった。混沌とした