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かつてアイドルファンだった私が『アイカツ!』にハマって癒された話

4月からアイドルアニメ『アイカツ!』を見始め、先日2ndシーズンのラストである101話まで視聴し終えました。
3rdからは主人公が星宮いちごから大空あかりに交代するという事なので、まずは一区切りついたと言えるでしょう。
フィナーレとしていちごが主役である『劇場版アイカツ!』『アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~』も観ました。
これで星宮いちごの物語はいったん幕引きになったと思いますし、わたしの中でも『アイカツ!』についてはかなり満足した状態です。


『アイカツ!』を視聴しながら、常に考えていたのは「アイドルとは何だろう?」ということでした。
もちろんストーリーの面白さや魅力的なキャラクター、目に楽しい衣装やダンス、耳に残る名曲の数々でいっぱいのこの作品を気楽に楽しめるエンターテイメントとしても受け止めていました。
それでも、たびたびいちごたちが口にする「ファンを笑顔にするアイドルになりたい」「見に来てくれた人の明日が楽しくなるようなライブにする」そういったフレーズが胸に刺さるのを感じてもいました。
それは痛みを伴うものではなく、はっとさせられる一種の感動のような刺さり方なのです。



わたしはかつてとあるアイドルのファンだった時期がありました。
当時は毎日夢中でアイドルの歌を聴き、映像を見て、最新情報をネットでせっせと集めるというまさに寝ても覚めてもそのことばかり考えている状態でした。
ですがいろいろなことがあり、そのアイドルのファンでいることについて「楽しい」という感情よりも「苦しい」という気持ちが上回ったことで徐々にそこから離れていきました。
人は変わります。
アイドルも、そしてもちろんファンであるわたし自身も。
あまりにも危うく脆いバランスの上に成り立つアイドルとファンという関係の不確かさに足がすくんでしまい、
正直今はもう誰かのファンになるという事ができそうにない気すらしていました。


そんなわたしにとって「ファンを笑顔にするアイドルになりたい」といういちごのまっすぐ過ぎる言葉は衝撃でした。
当たり前の事かもしれませんが、アイドルを応援することによってファンは幸せになるものだということを改めて知った気がしたのです。
そしていちごたちは自分たちも楽しんでパフォーマンスをしよう、と呼びかけ合ってステージに上ります。
アイドルも、ファンもどちらも最高の気分になれる。
こういう関係こそが理想的なのではないかと『アイカツ!』を観ながらずっと考えていました。


もちろん『アイカツ!』はフィクションです。
大人が観ても楽しめる作品ではありますが、基本的には子供向けのアニメですので、苦しいことや辛いこと、シビアな現実などはほとんど描かれていません。
もちろんアイドルがファンをがっかりさせるようなことも起こりません。
そして、そんな安心できる世界だからこそわたしはまた再びアイドルに夢中になるという経験ができました。
おそらく第一話を観たその時から、わたしは星宮いちごのファンになっていいたのだと思います。
彼女の一挙一動に、時にハラハラしたり笑ったりしながらも、着実にステップアップしていくそのひたむきな姿からずっと目が離せませんでした。
そしてステージに立ついちごの歌とダンスをただただ純粋に楽しむことができたのです。



『アイカツ!』はアイドルの側からみたアイドル活動の物語ではありますが、わたしはファン目線でずっと観ていたように感じます。
星宮いちごが神崎美月に魅了されたように、大空あかりが星宮いちごに憧れたように、わたしもまたアイドルに夢中になり、追いかける側としてこのストーリーを辿ってきました。
こんなになんの不安もなく誰かを応援できたのは本当に久しぶりの経験でした。
かつてアイドルのファンになり、そこから離れてから、自分のどこかがずっとくすぶり続けていた気がしたような気がしていました。
ですが『アイカツ!』を観たことでなんだか晴れ晴れした気分になりました。
ずっとふさがらなかった傷が、癒されたようにも感じます。


誰かのファンになって応援すること、その楽しさを『アイカツ!』が思い出させてくれました。
人は変わります。
そしてもう誰かのファンにはなれないかもしれないと考えていたわたしも、また変わっていくのでしょう。
『アイカツ!』を観て良かった。
心からそう思います。



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