問題解決に有効 「寝てからまた考える」
ビジネスに使えるエビデンス
ビジネスに使えるエビデンスをこちらのマガジンにまとめています。
無意識って強い
アイデア出しに困ったとき、天才たちや賢い人たちが良く取る行動に散歩があります。散歩ほど、アイデアが出てくる行為もないほど(※1)。エリック・サティ、スティーブ・ジョブズ、アリストテレス、ビル・ゲイツ、カント……散歩を習慣にしてた偉人はものすごく多い。実践してみて実感するのですが、散歩をすると本当にアイデアがいっぱい湧いてきます。
でも、これなぜか? 理由は、拡散思考。歩くことによって(特に屋外)、思考が拡散し、広がり、いろいろと思いつくし、思い出せるから。思いつくにしろ、思い出すにしろ、蓄積された記憶が引き出されているわけですが、これを上手にできるのが、無意識です。わたしたちの意識は、常識の範囲や思い込みの範囲でしか思考できません。しかし無意識は、様々な記憶との結びつきを模索してくれます。ぼぅーっとしたり、横になったりする、なんなら一回寝てしまうことで、意識が休憩に入り、無意識が活動し始めます。
1回寝ちゃうと問題解決しやすくなる
2013年のイギリス、ランカスター大学の研究(※2)や2019年のアメリカ合衆国のノースウェスタン大学の研究(※3)で、一晩寝てからあらためて難しい問題に取り組むと解決しやすくなることがわかっています。とくにノースウェスタン大学の実験では、問題を解いているときに音楽をかけて、寝ているときにもその音楽をかけると音楽をきかないでいたグループに比べて、聞いていたグループは55%も問題が解ける確率が高かったそうです。これは、寝ているときに問題を無意識に想起させているためです。人間は寝ている間に、記憶の整理のみならず、それにともなって記憶のリハーサルや統合も行っています。これにより、問題解決の糸口を無意識がある程度、整理してくれて、覚醒時にそれにアクセスしやすくなっているというわけです。
横になるとアイデアが浮かぶ
オーストラリア国立大学の2005年の研究で直立姿勢と横になるグループにわけてアナグラム問題(アルファベットを並び直して意味のある言葉する)を解いてもらったら、
という結果になりました(※4)。 理由は、横になると創造性や柔軟性を妨げる青斑核(locus coeruleus)の活動が抑制されるから。釈迦が横になっていたのもこのためかもしれません。
散歩の効用
散歩には、うつ病リスクの低下や病気の発症リスクの低下などの効果があるのですが、さらに脳がレベルアップする可能性もあるようです。マックス・プランク人間発達研究所などの研究(※5)によると、都市部で暮らす6人の中年を6カ月間ほど追跡し、過去24時間の行動、屋外で過ごした時間、水分摂取量、カフェインの摂取量、身体活動についても調査を行い、これらの要因が脳の構造とどう関わるかを兆歳しました。結果、
この右背外側前頭葉皮質とは、認知的コントロールに関わる部分。精神疾患がある人ほど減少しやすい部分であり、逆にこの部分の灰白質が多い人はメンタルが悪化しにくい可能性があります。日光を浴びたり、外に出る運動による影響も、あるのではないか?と思われるかもしれませんが、これらの影響を差し引いても、屋外に出るという行為には、右背外側前頭葉皮質の灰白質を増やす効果がみられたそうです。つまり、とりあえず屋外にでるだけでも脳がレベルアップするといえます。
まとめ
すごく単純に言えば、机の前に座っていても、アイデアは生まれないということになりそうです。アイデアや問題解決には、寝ちゃうか、散歩か、横になる、というのが良さそうです。意外!
参照
※1:Give your ideas some legs: the positive effect of walking on creative thinking
※2:Sleep on it, but only if it is difficult: effects of sleep on problem solving
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23055117/
※3:Targeted Memory Reactivation During Sleep Improves Next-Day Problem Solving
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0956797619873344
※4:Thinking on your back: Solving anagrams faster when supine than when standing
※5:Spend time outdoors for your brain – an in-depth longitudinal MRI study
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