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ムダに独自の方法をあみだそうとする認知バイアス “NIH症候群”

認知バイアス大全マガジン


第二次世界大戦中、日本の陸軍と海軍はなぜ協業しなかったのか?

第二次世界大戦時、日本の陸軍と海軍はあらゆる分野において独自開発にこだわっていました。機関銃も陸軍と海軍それぞれで開発しています。陸軍は、輸送用小型潜水艇すら海軍と協業したり、依頼するのでははく独自で開発しました。協業すれば合理的だし、ましてや戦時中、合理やスピードや戦略のほうが優先されるべき状況のはずなのに。これは「NIH症候群」というものが原因でした。


NIH症候群

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NIH症候群(Not invented here)とは

他の人や会社が開発したアイデアを採用したがらない傾向

です。NIHは、「Not Invented Here」の頭字語(とうじご)です。このNIH症候群のために既存の製品をわざわざ独自で再開発しようともするため、独自技術症候群自前主義バイアスとも呼ばれます。また歯ブラシ理論とも呼ばれています。これは「誰もが歯ブラシを欲しがり、誰もが歯ブラシを必要としており、誰もが1本持っているが、誰も他人の歯ブラシを使いたがらない」という意味です。他にも「車輪の再開発(Reinventing the wheel)」という慣用句にもなっています。「すでに生み出されたものを自分で生み出そうとして時間を無駄にすること」という意味です。独自開発はもちろんそれ自体悪いことではなく、必要である場合も多くあります。特許の問題やマーケティング戦略のため必要になることもあります。なので独自開発が悪いわけではなく、よく考えれば、無理に独自開発しなくて良いのにそれにこだわることが悪いということです。

勉強するときにも発症する“NIH症候群”

「努力が無駄になる人、報われる人」というセンセーショナルな内容の記事がnoteあります。

この記事のなかにこういう一文があります。

「解決法は自分で見つけるものではない」

わたしたちが何かしらの困難に直面したとき、独自の工夫で解決しようとしがちですが、それと同じような困難が人類史上でおそらく何千回と発生しているはずなんです。まったく同じじゃなくても近い問題が。であれば、そういう解決法が載っていそうな本を探す、ネットで探すということから始めたほうが良いはずなんです。これもNIH症候群です。

この解決方法を使うコツは、上記の岡さんの記事にも書かれていますが、課題の精度を上げることです。問題は何か?ということを具体化すると解決方法も具体化していきます。

わたしも最近身につけた知識なのでまだまだ馴染んでいないので、受け売り感ががっつり残っています。

対策

解決法は自分で見つけるものではない。解決法は真似する。問題の精度を高め、解決方法を探す。探してもないとき、独自で考案する。

この解決方法を使うコツは、上記の岡さんの記事にも書かれていますが、課題の精度を上げることです。問題は何か?ということを具体化すると解決方法も具体化していきます。

応用

(まだ)特に無い


オススメの本

『不合理だからうまくいく』

NIHの応用のヒントが行動経済学関連のダン・アリエリー氏の『不合理だからうまくいく』のなかで解説されています。


『失敗の本質』

日本軍がいかに失敗したのかを学べる古典に近い本。


『失敗百選』

失敗関連で、失敗を集めた本。こちらも名著。著者の中尾政之さんの『想像はシステムである』も便利な本でした。


『予想どおりに不合理』

NIHの応用のヒントが行動経済学関連のダン・アリエリー氏の『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (』もすごく楽しくバイアスを学べる本です。


論拠

NIH症候群は、マサチューセッツ工科大学のラルフ・カッツ(Ralph Katz)氏とトーマス・J・アレン(Thomas J. Allen)が、1982年に発表した論文(※3)のなかで定義した言葉です。


参照

※1:Not invented here

※2:Investigating the Not Invented Here (NIH) syndrome: A look at the performance, tenure, and communication patterns of 50 R & D Project Groups

※3:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1467-9310.1982.tb00478.x





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