そば粉用製粉機の特徴について 〜鈴木製粉所の7種類の製粉機〜
鈴木製粉所では、数多くの種類の製粉機を保有し、それぞれの長所を生かしてそば粉を挽いています。今回は、ほとんど表に出ることのない製粉機の種類と特徴を公開します。
1.ロール製粉機(roll mill)
2.石臼製粉機(stone mill)
3.胴搗製粉機(stamp mill)
4.金属臼製粉機(粗挽き)
5.水冷式金属臼(ミクロパウダー)
6.アルファ化製粉機(加熱式金属臼)
7.大型臼製粉機(MOLA)
1.ロール製粉機(roll mill)
①原理
・異なる速度で回転する、2つのローラーの隙間を原料が通過した際に製粉
・ローラーには目的に応じた目立てが施されている
・篩と組み合わせて、順送りまたは循環させて製粉を行う
②特徴
・一度に大量の製粉が可能である
・一番粉、二番粉、三番粉…といった、目的に応じた挽き分けが可能である
・黒めの粉を挽くことが比較的容易である
・焼け付くことが少ない
・篩で粒度をコントロールしやすい
・循環で熱がこもりやすい
・しっとり感が出にくい
・イメージがあまりよくない
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
2.石臼製粉機(stone mill)
①原理
・下臼を固定し上臼の重みと回転で、原料を引き裂くせん断力で製粉を行う
・上下石臼の摺合せ面には目的に応じた溝が目立てされている
・回転により、上臼と下臼の溝の交点が外側に異動し、原料(粉)を外に押し出すし、最後に摺合せ部分で細かい粉になる
・篩にて挽き残し部分の除去を行う
②特徴
・ゆっくりと熱を逃がしながら製粉する
・香りを閉じ込めながら製粉する
・粒度分布が広く食感が豊かになる(微粉を多めにできる)
・しっとりと打ちやすい粉になる
・焼け付きやすい
・目立てが大変
・製粉スピードが遅い
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
3.胴搗製粉機(stamp mill)
① 原理
・数本のスタンプ(杵)と搗き臼にて粉砕する、古来からの製粉方法
・摩砕方式の為、原料のダメージを極限的に抑えながら製粉を行う
・一定時間搗いた後、篩分けを行う
②特徴
・熱を逃がしながら、素材の良さを損なわない製粉できる
・現在、そばを胴搗製粉している事例はほとんどないので、差別化できる
・粒度分布の幅が広く、多様な食感になる
・繊維部分を製粉するのに時間がかかる
・機械のメンテナンスが困難
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
4.金属臼製粉機(粗挽き)
①原理
・すり鉢状の2つの金属臼で製粉する
・臼間距離と篩で粒度を調整する
・篩上を循環させて製粉する
②特徴
・粗挽き、極粗挽きの製粉が得意
・一度に多量の製粉が可能
・しっとり感はでない
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
5.水冷式金属臼(ミクロパウダー)
①原理
・製粉する臼部分は金属臼でダクタイル鋳鉄製
・下臼を固定し、上臼を回転させて、石臼方式で製粉を行う
・上下の金属製臼を冷却水を循環させながら、摩擦熱を冷却する
②特徴
・ダイヤルにて好みの粒度を調整できる
・焼け付きのない微粉砕が可能
・消耗部品が高価
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
6.アルファ化製粉機(加熱式金属臼)
①原理
・製粉する臼部分は金属臼でダクタイル鋳鉄製
・下臼を固定し、上臼を回転させて、石臼方式で製粉を行う
・上下の金属製臼を過熱させて、製粉と同時にアルファ化を行う
・そば粉と蒸気を吸引し、粉が焼け付かない様に製粉を行う
②特徴
・デンプンをアルファ化させたそば粉を挽くことができる
・超微粉になる
・一般生菌数を低く抑えることができる
・小ロットで製粉できる
・水分が少なくなる(10%以下)
・ヒーター温度が下がると製粉できない
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
7.大型臼製粉機(MOLA)
①原理
・大型の臼による、石臼方式の製粉を行う
・下臼を固定し、上臼を高速回転して製粉を行う
・大型シフターで篩分けを行う
②特徴
・石臼と比べてたくさん製粉できる
・石臼の目立てが不要である
・しっとり感は出にくい
・細かい粒度調整はしにくい
③そば粉拡大写真
④そば粉粒度分布
鈴木製粉所では、その他にも「ピンミル」の製粉機も保有していますが、単体での製粉を行っていないので、今回は掲載しませんでした。
そばの製粉メーカーは、各製粉機の特徴を生かし、目的に合った製粉方法を選択しています。
今回は「製粉機」に焦点をあてた内容をまとめてみましたが、次回は「そば粉」に焦点をあててみます。
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