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2021.11.26 ソバアレルギー研究の現在地

11月26日(金)
今日は、何度かお話ししているソバアレルギーの研究について現状をお話しします。

研究開発はうちの会社独自でも行っていますが、もっと大きな研究は、農水省の「農研機構」という研究者の組織で行っています。我々の所属する「全国蕎麦製粉協同組合」がそこに協力しながら進めているという形です。

そこでは、モチ性のソバの品種の開発や、湿害対策の研究なども行っていて、
ソバアレルギーの研究はその中のひとつです。

先日、実はそばのアレルギーで我々中小のそば粉屋は守られてるかもしれないという話をしましたが、それはアンチテーゼとしての話で、普通に考えると、そばのアレルギーは我々業界の大きな敵なので、無くす研究をどんどん進めてもらいたいと考えています。


で、今どんな進み具合かというと、少し暗礁に乗り上げています。
一つはコロナ禍で臨床実験が進んでいないということと、もう一つは研究費がつきにくくなっているという問題です。

研究費がつきにくいのは、この研究の成果が本当に役に立つのか疑問に思われているということです。
というのは、アレルギーの無い(あるいは少ない)そば品種を開発した場合、どうやって普及させるか・・・という大きな課題が解消できていないからです。

そばは他家受粉なのですぐに畑で交雑するし、国内外の品種を全てアレルギー対策品種に変える事は不可能なので、製粉工場をはじめとする様々な場面でのコンタミが問題になります。
ちょっといい解決策は思いつかないんです。


でも、だからと言って研究を止めたら、もう二度とノンアレルゲンの蕎麦の研究はできないようにも思います。
今まで蕎麦業界みんなが悩みに悩んでいたアレルギー問題を、変える事ができるかもしれない初めてのアプローチなので、ぜひこのチャンスを大切にして未来につなげて行きたいと思っています。


そこで農研機構として、少し攻め方を変えるようです。
まずは低アレルゲンの品種を作って、
これからの全ての国内の新品種の開発(育種)に、その遺伝子(性質)を入れていく・・・という方式を取ろうと考えています。

アレルギーのない蕎麦の品種を作る!というよりも、ステルス的にアレルギー被害が少なくなっていく・・・というイメージです。


私のモットーは「蕎麦2.0」を目指すという事です。
江戸時代から続く蕎麦文化のバージョン1.0としたなら、次の世代へのアップデートを目指すという意味です。
蕎麦業界の未来のためにも、これからのいろんな研究開発に関心をもって、主体的に進めていきたいと思います。


それでは本日もよろしくお願いいたします。

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