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天童高原の「でわかおり」は、「でわかおり」と違います。

「でわかおり」は山形県そばのオリジナル品種であり、主力品種です。
今回は、その「でわかおり」とは一線を画す、天童高原(田麦野地区)産「でわかおり」をご紹介します。


〇「でわかおり」という品種
山形県のオリジナル品種「でわかおり」は、昭和63年山形県で育種され、今日でも「最上早生」とならんで山形を代表する主力品種です。
栽培地は山形県内に限定されますが、村山地区、置賜地区、庄内地区と広範囲に広がります。山形県は北海道に次ぐ全国第2位の栽培面積があるので、かなり広い範囲で作付けされていることになります。
他県の方々に馴染みが薄いのは、品種開発時に他県では作付けされないように制約を設けたことと、山形県内でほぼ消費されることが考えられます。さらに、普通そば(2倍体)の中では、最も大粒の品種であるため、製粉時の脱皮のときに、通常設備では”割れ”が多くなることも普及を妨げた要因であると推測されます。
大粒のため、麺にした際にやや白めに仕上がり、すっきりと喉越しが良く、食感や甘みに優れていると定評があります。

一般的な「でわかおり」でも十分特徴がありますが、今回ご紹介する天童高原産「でわかおり」は、その一般の「でわかおり」とも一線を画しています。

では、その特徴をご紹介していきます。


〇どう違うの?
まず、粒の大きさが違います。一般的なでわかおりも十分大粒ですが、「天童高原産」でわかおりはさらに大きい粒です。びっくりします。なので、脱皮する際にかなり割れます。きれいな丸ヌキを希望する方には向かない原材料です。
しかも、収穫したそばの実(玄そば)は未熟が多くなります。そばの農産物としての生育過程では、まず殻の大きさが骨格として決まって、その後光合成などで生成されたデンプンが詰まってきますが、骨格が大きすぎて(粒が大きすぎて)、未熟のまま終わってしまう実が多くなってしまいます。
ただ、その分甘皮の緑色が濃くなります。通常の「でわかおり」はあまり緑色が濃い品種ではありませんが、唯一「天童高原産でわかおり」はいい緑色をしています。
この大粒であることと、緑色であることが天童産でわかおりの大きな特徴です。

なぜ、一般のでわかおりと違うのか?
まず、一般のでわかおりが普及していく段階で、従来生産されていた品種と交配された可能性があります。
その点、ここの地区は山間に囲まれ、他の品種の交雑が一切ないまま、今日に至っております。つまり、本当の純粋なでわかおりが、今なお栽培され続けているということになります。
この産地のでわかおりこそ、本当のでわかおりと言われています。

ただ、私は個人的は少し別の意見を持っています。
それは・・・、(まあ、特に裏をとっている訳ではないので、)きちんと立証できた時にお話しできればと思っていますが、もっと興味深いストーリーがあるのでは?と考えています。


〇天童高原(田麦野地区)ってどんなところ?
山形県天童市にあるこの高原は、奥羽山脈の面白山の山麓に広がっています。
またこの天童高原より下に広がる山間地区が「田麦野」と呼ばれる地区で、この一体にこの産地のそば畑が点在しています。
天童高原の種採取をしている畑の映像をご覧ください。


〇どうして希少価値があるの?
実は、私自身ここのでわかおりが大好きなので、この種を山形県内に普及させて、でわかおりの品質をアップさせようと考えていたのですが・・・。それを阻んだのが、数年目に行われた「農産物規格の改定」・・・つまり、「容積重重視」への変更なんです。容積重とは・・・で(g/l)で表されます。なので、隙間がたくさんできる大粒の蕎麦の実は容積重が小さくなります。容積重が小さくなると等級が落ちます。さらには規格外になってしまうこともあります。すごくいい品質でも・・・です。「等級は品質を表さない」といういい例です。

せっかく好きな種(天童高原産でわかおり)を普及させても、等級落ちして生産者が不利益をお被るのでは意味がありません。なので、県内の普及はあきらめました。

結局、このでわかおりの種は、この地区でのみ栽培されることになりました。
しかも小さな産地なので、とってもとっても希少価値があります。
また、不作の年は全く出回らず、豊作の年でも常に数量限定のため、業務用で販売することははほとんどありません。


今回、希少価値が高く、地元でもほとんど知られていない産地のそば粉を販売いたします。
この機会にぜひお試し下さい。

天童高原マトリックス

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