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百円コンサルティング4月号 AI人材はMLBと同じ年俸制にしたほうがいい

未来予測専門の経済評論家の鈴木貴博が好き勝手に書くWEB経済紙「百円コンサルティング」です。4月は新卒の入社の季節。ということで今月号は新卒人材の給与について政策提案をしてみたいと思います。ただし新卒全般ではなく、とても希少な人材についての話。それはAI人材の給与をどうするのかという話です。

百円コンサルティングは3か月過ぎるとバックナンバーは販売停止になります。一度購入された雑誌はnoteがある限りは読み続けられます。

AI人材はMLBと同じ年俸制にしたほうがいい

AI人材は引く手あまたで、そもそも普通の学卒と比べて年収が高いことが知られています。いくつか数字をひろってみるとAIエンジニアの平均年収は598万円、データサイエンティストの年収は699万円という数字があります。

AI人材を想定して新卒の年収を設定している企業もあります。ソニーは大学院卒の最高年収を730万円に設定しています。NECは研究職としての採用であれば新卒で年収1000万円もありという方針。どちらもグローバル人材の確保のためだと発表していますが、基本的にはAI人材を確保するために作られた特別ルールだとお考えください。

この数字を見て「AI人材はいいなあ」と思うかもしれませんが、実はこれでは全然だめなのです。

たとえばGAFAMの一角であるグーグルでは新卒エンジニアの給与は13万ドル(約2000万円)程度から。最近景気減速で状況は多少変わるかもしれませんが、中国のIT大手でたとえばHuaweiは新卒でも技術者なら3000万円という水準です。

日本の某大手IT企業で、企業名を話したら誰でも「あそこは最高の企業だ」と言うはずの会社があるのですが、そこのトップの方とこの話をしたところ「正直、東大の情報科学専攻の優秀な学生は、外資と競争になったらうちではとれない」と本音を吐露されていました。

「じゃあその会社も3000万円だせばいいじゃない?」
と思いますよね。たぶんそこの会社はその気になればそれはできます。子会社としてデータサイエンスラボみたいなベンチャーっぽい組織をたくさん作っているので、東大情報科学のトップランクの学生をそこ所属にして役員級の給与を出してもいいのです。

しかしそれをあえてやらない。やらない理由がある。ここがそのトップの方が本音でおっしゃる最大の難点です。

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