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Fordは直近でEVからPHV/HVに資源シフトへ

直近でFordは新型EV2モデルの上市遅延を発表し、代替でPHV/PHEVの生産を強化すると公表しました。
トヨタも直近の好調さがHVに支えられてる中でEV投売りが確認され、EV市場の変調が益々進んでいます。
Fordのこれまでの歴史の考えると、こういった環境から新しいモデル/車両を産んで危機を脱してきたところ、面白い動きがあるかもしれないです。

https://www.carsdirect.com/toyota/bz4x

1;FordのEV上市計画遅延

 4/4にFordは次世代EV-PUTと3列EV-SUVの2モデル生産を延期すると発表、[PUT:26年][SUV:27年]の販売とする予定として、代わりにハイブリッド車の生産/投入を進める方針
 CEOのJim Farley氏はここ数か月にわたってEVの遅延について布石を打っていた
 -23/10;計画していた120億ドルの投資を延期
 -24/02;決算会見で[ハイブリッド車は業界のEVシフトに重要な役割を果たし、長期にわたって存在し続ける]と語った。

 今回の遅延は本体でのFCF確保/短期利益獲得を目指しているとみられるが、環境の不透明さと企業規模を考えると当然の動き

2;Toyotaの動き

 一方のトヨタは直近販売台数に関して[HV車の旺盛な需要を背景に米国売上高はYoYで22%増加した]と報告。
 現状での資源配分は[BEV<PHV/ICE]で、CarsDirectによると4月以降、トヨタは2024年型bZ4Xを10,000ドルの割引リースを提供していると報じられる。1月に価格/スペックを公表し、日は経っていないがNYをメインとする複数の東部地域で現金割引が確認できたとのこと。

 リース時の新車コストを下げるメーカーのインセンティブである[リースキャッシュ方式]で提供されており、価格は43,070ドルから。CarsDirectによるとbZ4X XLEが[299ドル/月x36ヵ月][契約時;3,999ドル]でリースできるオファーを確認している。
 ちなみに、メーカー小売希望価格は47,734ドルで年間許容走行距離は10,000マイルで設定。他地域でも9,000ドルの割引が付いたプログラムを確認できたとのこと

 ちなみにトヨタのFY24-1QにおけるbZ4Xの販売台数は1,897台で、前年同期比で9%増加。米国総販売台数に占める割合は0.4%…

3;Fordのこれまでの危機離脱史

 Fordの歴史を紐解くとスタートアップ的な動きをした時に最高の成果を発揮する点でOEMの中では異例な会社ともいえる
(Mach-E)
 2015年頃のEV黎明期、Fordは[フロントに電気モーターを搭載した完全に合理的なクロスオーバー]を構築することを目指した。デザインは空気力学を考慮したが、地味すぎてマーケティング部門からは酷評を食らっていた
 トップの判断で計画を白紙に戻して2年の猶予を与え、2019年にMach-Eを上市。米国のEV販売で数四半期連続2位を獲得するのに貢献したクロスオーバーが誕生
(Taurus)
 1980年代前半に日系OEMが米国市場を席巻する中、特徴である[箱型&重厚]といったデザインを捨て、Taurusを開発。洗練デザイン/広々空間/手頃価格のモデルはすぐにヒットし、3年間で100万台を販売。会社を窮地から脱する救世主に
(Exproler)
 1990年に発売されたSUVであるExprolerは4ドア/快適装備を追加して家族向けの車両としてモデルチェンジして市場開拓に成功。それまでは牽引/オフロードなどの実用性に重点を置いた2ドアモデルがほとんどだった
 Fordの従来型乗用車の需要を食ってしまった部分はあるが、それ以上に需要/市場を生み出してその後10年の発展の礎になった

4;FordのEV開発

 Fordは様々な課題に直面、前任CEOたちは下記の方式で車両開発を行ってきたが抜本的な変革を求められている
 前任;デザイン/プラットフォーム/製造技術を組合&適合させつつ、車両心臓部であるエンジンは不変
 今後;レガシーを捨てて白紙状態から始めるか、少なくとも心臓部の考え方を捨てるよう要求されている

 Fordに関してはMach-E/F-150LightningはEVとしてだけでなく車両として優れているとされる。価格に関しては課題を抱えるが、最近の値下げで需要が増えたことは一つの光明かも。また、充電インフラは業界として抱える課題だが、CCS-2及びNACSの併用や政府による後押し施策が走行する可能性はある
 諸々の課題はあるが、EVの価格競争力アップ/利益計上が出来ないのならば、より安価に製造する方法を見つける必要があるし、既に低価格EVの開発に向けた[SkunkWorks]を設立して動き始めてはいる

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