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埋込デバイスの動向と今後

 コミュニケーションやサービスを受ける手段として通信デバイスは発達してきたわけですが、固定電話→携帯電話→スマホ→ウェアラブルと来て、次は何だろうなあと考えてみると…次は体内埋め込みなんだろうなあと考えて色々調べてみました。
 メインはやっぱり医療目的なんですが、スウェーデンなんかでは決済認証や切符の認証で用いられていると。こうなると本当に財布も鍵もスマホも持たなくて外出できる世界がやってくるんだろうなあと思います。何で認証するかは規格が乱立しそうですが機能面だけ考えると「国境なき生活」がリアルになろうかと。コロナで非接触/遠隔がデフォになる中では色々考える時の良いスパイスになりそうです。

<埋込デバイスの概要>
・スマホやウェアラブルデバイスの延長線上にあり、情報の収集/指示を通じた利便性享受が可能
 └狭義には体内埋込タイプのチップ/デバイス、広義には飲込タイプも含まれる
 └情報通信端末で、[所有]→[携帯]→[着用]の次段階
・活用方法は多様だが、データの利活用/マネタイズが肝
 └データの収集(これまで以上に精緻/機微なデータ)
 └データの解析(データ量がけた違いに増えて解析工数は増大,一方で予測等への活用も)
 └データの利用(あらゆる分野での予測精度向上,マーケティング高度化など)
・新しいデータ利活用PF/エコシステムの造成が急務
 └データはバイタルだけでなく、コミュニケーションデータなども対象になるが、既存データとの組み合わせによる高度化も想定される
 └Biz展開にはシステム/技術連携しての仕組み造成が重要(現状のウェアラブルで形成されるエコシステムも参考に??)

<有望な活用分野>
(1)日常行動での活用
■Three Square Market(米)xBiohax internationa(瑞)
・希望者に個人情報を登録したマイクロチップの皮下への埋め込みを実施
 └充電不要なRFIDチップを使い、ICカードなどを持ち歩くことなく、家/車/オフィスのカギの開閉や鉄道乗車などが可能に
 └スウェーデン国鉄では体内埋め込み型チップが乗車券の代わりに利用可能
(2)デジタルメディシン
■大塚製薬(日)xProteus Digital Health
・チップ埋込錠剤「Abilify MyCite」/センサ付きパッチ/アプリで構成されたデジタルメディシン
 └チップが胃液に反応してシグナルを発し、患者腹部に張るパッチがシグナル受信してアプリで管理
  →Abilifyは向精神薬として高効用だが、指示通りに服薬することが前提。症状特性から困難だった。
(3)予防医療
■Endotronix(米)
・心臓の圧力を在宅モニタリングするデバイス「Cordella」を開発、心不全の予防に役立てる
 └心不全の原因;肺血管収縮/血管内壁肥厚/血栓形成等を事前に察知し、投薬等で予防。
 └背景には、心不全になった後の薬剤/ガイドラインは充実しているが予防/予後の不備が多いこと。

<普及推進に必要なTech>
(1)全固体電池;電源の長寿命化
・電解質を液体でなく固体として薄型構造/重階層により大容量/高耐久性/高速放充電が可能に
・患者負担の軽減を実現する必要
 └Ilika Technologies(英)がナノテク活かした全固体電池を商用化済み

(2)生体発電;電源レス
・心臓の拍動や呼吸による肺の動きなどから発電、駆動エネルギーを確保する技術
・ドラッグデリバリー/モニタリング/治療など、医療活用での範囲拡大/商用化への道筋
 └ニューメキシコ州立大(米);心臓の拍動から駆動エネルギーを確保する低周波圧電エネルギーハーベスターの開発
 └MIT(米);人体埋込デバイス(バッテリーフリー)にワイヤレスで電力供給&通信可能なTech;「In-Vivo Networking(IVN)」を開発。動物実験(豚)では体表から10㎝の深さに位置するデバイスに1m離れた距離での電力供給を実現

(3)分子ロボット;ATPへの反応
・生体分子/人工高分子を材料とする超小型ロボで、駆動系(動力源)/制御系(指令発出)/センサー(実行切替)から成り、生体分子に搬送にして自立動作する
・分子レベルの精度になれば、生体内での計算/診断/治療/細胞膜構築などへの応用が可能
 └北海道大学(日/角五准教授);分子ロボ製造に成功

<課題;究極は人々の価値観がどう変わるか>
(1)個人情報の取扱
 ・個人認証/支払といった日常行動の円滑化、予防医療が可能になる一方で情報管理に懸念
(2)セキュリティの担保
 ・機器に対する不正アクセスを防ぐソフトウェアの開発/更新
(3)人体への安全性
 ・医療当局の判断によるが、徐々に緩和方向に進んでいる
└US-FDA;RFIDチップ=皮下埋込してOK(2005)
└ナノテク/バイオ技術の進化で安全性が高まれば社会実装も進んで、日常利用シーン拡大

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