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野心的なEV目標@米国への自動車各社の反発

 Bloombergによると、自動車各社がバイデン政権のEV目標/施策に対して反対表明をパブコメで行ったと報じています。従前OEMは基準が厳しすぎると、逆にTeslaは基準が甘すぎるとして反対表明したとのこと。
 しかし各社ともワシントン事務所がしっかり政策を抑えて意見表明している点、ロビイング/GRが機能していると感じますです。日本企業でもToyotaは本当にしっかりしてるよなあ…。

1;バイデン政権のEV目標

 バイデン政権はBEV販売促進を通じ自動車由来の温室効果ガスの削減を達成すべく、米政府は2027年の新車モデル以降は史上最も野心的な排出規制を課す計画を公表。
 提案基準では2030年に最大70%の車両がゼロエミッションとなることを義務化、従来の[2030年までに乗用車/小型トラックの新車販売台数の50%をゼロエミッションとする]ことを目標とする政権目標を大きく上回るもの
 本施策を通じ、EPAは2032年の新車モデルではEVが[小型車の67%][中型車の46%]を占めるようになると予想。
 各自動車OEMは制限充足に対してEVの製造/販売を大幅に増やす必要があるが、現在米国でもBEV/PHEVは市場シェアが9%台であり、目標達成には相当のハードル…

2;各社の反応

 自動車OEMは基本的に反発姿勢で、Teslaも反発。ただ、反発の理由は180度異なっておりFollowと取るかBehindと取るかで姿勢が異なる。特にEVの積極的/非現実的な販売台数の強要は重要な鉱物資源供給を圧迫すると指摘。
[Toyota/Stellants]
 下記の理由により本施策/計画の大幅な見直しや撤回を要請。
 (1)消費者の選択をEVに限定させる事実上のEV義務化
 (2)非現実な販売強要で、重要な鉱物資源/戦略物資の供給圧迫に繋がる
 (3)本施策/規制案は過度に楽観的で、PHV車を差別している
[Toyota]
 特にToyotaは激しく反発、下記のコメントをパブコメ送付
 (1)バッテリー製造に必須な鉱物資源の不足、鉱物資源が米国で採掘/精製されていないこと、不十分な充電インフラ、高コストなBEV製造、といった重要な課題を過小評価
[Stellantis]
 EPAはEV市場の成長に楽観すぎる予想(完全移行)で、EPAは製造能力の遅れや消費者の支持といった課題を過小評価している。前提条件の確からしさに関わらず、基準順守を強要するのは間違っている
[Ford]
 2032年基準への移行は抗えないので、[2027-2029年における要件緩和]を要請
[Tesla]
 テスラは逆に規制が甘すぎるとして批判。小型車のEV化は順調に進んでおりもっと厳しい要件を課すことを要請するとともに、2032年モデルのBEV普及率目標を69%以上とするように要請

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