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PE投資持ち分のセカンダリー取引について

最近PE投資の持ち分のセカンダリー市場が成長しており、注目を浴びています。市場の成熟に伴い、市場で扱われる対処も拡大して、より多くの参加者が市場に参入するようになりました。
当該市場での持ち分取引が徐々にメジャーなものになり、ポート整理やリバランスへの重要なツールとして受け入れられています。今回、諸々を整理してみました。

<定義>
・スタートアップに対する既出資持分の売却/購入を行う取引所
 └PE投資家/LPが投資撤退/資産流動化/ポートフォリオ調整を行う
  (ディスカウントバリューで購入できる可能性)
 └投資先の実績がクリアになった段階で出資価値を算定する場所
・PE独自の制約がセカンダリー取引需要を増大させることに繋がった
[Ex;PE投資のサイクル]
・PFファンドは通常10-12年だが、ファンドのライフサイクルが終了する前にポジション終了/整理する場合にセカンダリーマーケットは機能する
 └ソーシング;GP/FM(ファンマネ)が案件発掘し、LPの払込資本金の一部で出資
  →投資期間は3-6年
 └ハーベスティング;FMが出資持分を売却、投資家への利益分配を開始

<セカンダリー取引の概要>
-種別-
・セカンダリー取引では、投資家が所有権を買い取って、初期投資家のコミットメント(キャピタルコールなど)を引き受ける。特定の状況や関係者により、3つのカテゴリに種別分けできる
[1;LPセカンダリー取引]
・最も一般的な取引で既存LPがセカンダリーバイヤーに売却
 └買い手はLPに代わって全ての権利/義務を継承
[2;GP主導型取引]
・様々なタイプが想定しうるが、最もポピュラーなのは[継続的ビークル取引」
 └投資先企業/持分が新しいファンドビークルに譲渡され、追加投資と保有期間延長を実現可能に。既存LPは買い手に対して[ロールオーバー][キャッシュアウト]のオプションを持つ
[3;ダイレクトセカンダリー取引]
・投資家が直接保有する持分を売却する際に使われる
 └LPは既存投資家に持分を譲渡、新たな買い手には譲渡しない
 └Exit(IPO/M&A)の前に売却するための機会になっている
-価格-
・取引価格の算定では通常NAV(純資産価値)を参照する
 └算定式=(現在価値-負債)/発行済み株式数
 └FMによる四半期報告(投資家向け)の数値が用いられる
・最終価格は、通常ディスカウントされている
 └平均的なディスカウント率は14%。不況時には高くなり、市場が加熱すればプレミアムに反転することも
・取引は双方による法的合意が成立した時点で拘束力を持ち、不可逆的なもの
・ほとんどの場合、ファンドGPの同意が必要

<セカンダリー取引のメリット>
[売り手]
・投資家にとって、低流動性のPEポートフォリオをより柔軟に管理するための貴重な手段
 └出資持分の売却でキャッシュを生み、新たな投資に振り向けることが可能
 └資産売却に伴うキャピタルコールを回避することが可能で、その分を他の投資に振り向けられる
・ポートフォリオのリバランスや、優良なPE投資の早期利益確定の手段として活用しうる
 *流動性は保証されていないことには留意
[買い手]
・より成熟したPE資産であるセカンダリー投資を通じてJカーブの影響緩和が可能
・途中参戦により出資初期の落ち込みを部分的に回避でき、最初からコミットする場合と比較して高い年間リターンを享受できる可能性がある
 └マルチプルが低くなる可能性はあるが…
・ブラインドプールリスクを軽減しうる
 └プライマリー投資家と比較して、既知な企業に資金投入できる
 └投資先企業のパフォーマンス分析と、将来価値算定がしやすい

<成長要因>
・セカンダリー投資はグローバルで力強い成長を遂げている
 └2020年前半にCOVID-19で市場崩壊した後でも取引量は増大(21年;1000億USD突破)
・成長の源泉は下記の想定
 └投資家にとってのメリットの大きさ
 └市場の急速な多様化の進展;バイアウト中心だったが、プライベートクレジット/不動産/インフラ/天然資源など多くが対象に

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