見出し画像

上海汽車までもが遂にレイオフへ、EV狂想曲も終章へ??

中国自動車大手の上海汽車が本体EV事業及び合弁事業での従業員レイオフに動いていると報じられています。
グローバルでのEVシフト減速の中、中国においてもBYD/Tesla以外のEVはどこも青色吐息な状況です。
そんな中でのレガシーOEMでかつ国有企業のレイオフ…中国のモビリティ事業も転換点を迎えています。

https://www.reuters.com/business/autos-transportation/chinas-saic-aims-slash-jobs-gm-vw-ventures-ev-unit-sources-say-2024-03-31/

1;上海汽車によるレイオフ

 中国国有の上海汽車(SAIC)が大幅な人員削減を計画/実施していると報じられており、中国企業としては異例の動きが発生。
 今回のレイオフは[上汽GM;従業員の30%][上汽VW;従業員の10%][飛凡汽車(EV子会社);従業員の50%]が対象。SAICはグループ全体で20万人以上を雇用するが、直近提出資料によると24/01-02の売上高は前年同期比で16%減少

 中国企業(国有)による大量解雇は極めて稀ながら、BYD主導のEV戦争の中でSAICはEVから手を引く可能性もある…。中国市場/近隣市場におけるBYD/Teslaの攻勢に抗えず市場を奪われている…
 調査会社;Counterpoint Researchによると、中国では100ブランド/300モデルのEVが国内で氾濫しているとのこと
 報道によると、人員削減は2024年内にかけて実施予定で、解雇の殆どは[より厳格な業績基準による退職勧告+インセンティブ付与]で行われるとのこと

2;業績評価と各社反応

(業績評価)
 SAICは従業員をA~Dのランクで評価する方式を採用しており、退職はこの評価に基づいてなされると報じられる
 [D評価=退職金提供][C評価=不快な立場に異動させて退職強要]しているとのことで、昨年には上汽VW従業員(ホワイトカラーに適用)の約10%が[C]か[D]評価を受けたとのこと
 SAICは報道に反論しており、担当者は[規模の縮小計画はないし、低評価従業員への退職強要も計画に無い]とする。実際、今年初めに2,000人の従業員を採用したと発表している
 VW担当者は人員削減へのコメントを避けたが、[業績評価は全従業員が職務要件を満たす資格がある証明への仕掛けではある]として含みを持たせた

3;その他

 SAICは上海本社の中国大手自動車メーカーで、第一汽車/東風汽車と並んで中国三大自動車メーカーと呼ばれる。外資との合弁や買収を果敢に実行、下記のグループ会社を抱える
 -Maxus;2011年設立された上汽集団の完全子会社でMG(南京汽車経由)/Roewe(MGのIPRベースの自主ブランド)などを所有し海外市場にも展開
 -上汽VW;旧上海大衆汽車、VXとの合弁でID.3 EV/Audiなどのモデルを製造
 -上汽GM;旧上海通用汽車、GMとの合弁でシボレー/ビュイック/キャデラックを製造
 -上汽通用五菱汽車;GM/五菱汽車との合弁で商用車を製造
 -上汽大通;英LDVのIPを元に創設された自主ブランドで商用車(バン/ミニバン)及びSUV/PUTを製造
 -汎亜汽車技術中心;GMとの合弁で設立された技術開発センター

 現況、中国ではEV販売が自動車総販売の23%を占め、引き続き増加傾向にある。基本的に合弁でないと中国での販売はNGだが2018年に中国政府はTeslaに特別措置を適用して合弁でない完全自社法人を設立して展開している

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?