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米VCが読む2023年

師走もだんだんと消化されていつの間にか折り返し地点を過ぎて、師匠たちのもラストスパートで在りますが、来年に向けた予測もちらほら出てくるのもこのタイミング。今回はBusiness-Insiderで米VCが占う23年度がなかなか面白かったので邦訳&備忘として。
サマリとしては
A;資金調達環境は激変、有象無象なVCは消え去って実績/規模あるVCがリードする環境へ
B;有望投資先は本年からの地繋がりで[AI(活用サービス)][オフィス回帰へのサービス][Fintech(決済)]であり、特に業界特化型が元気
C;地域的には中東/北アフリカが有望
D;大型Tech企業のレイオフに伴う頭脳流出でスタートアップ村の活性化につながりそう
といったところでありまして。

<Source>
アメリカVCが考える2023年のテックトレンドhttps://www.businessinsider.com/tech-trends-venture-capital-startup-predictions-2023

<中身>
(1)パーティーラウンドの終わり
・過去10年のファンディングトレンドは[少額x大人数]だったが、今後は[巨額x少人数]の投資家がメインとなってくる斯様な投資家は往々にして経験が豊富なためリードとしても作用する
(2)AIの黄金時代到来
・AI生成が民主化され、AIをソフトウェアに取り込む起業家増加。AIの黄金時代によって新しい時代のエンタープライズソフトウェアが生まれてくる。
(3)次世代C向けアプリの誕生
・TikTok/Snapchatの次のSNSアプリが作られ始めている。 Z世代/α世代が何を重要視するかを理解すると次世代SNSアプリが見えてくる。
(4)Startup市場はさらに悪くなって回復
・VCは全世界で$290Bの資金を抱えているが、今のマクロ経済での投資には慎重に。企業による価値評価を厳格、かつ証明することが求められる
(5)オフィス勤務の復活
・TwitterだけでなくSnapchatなど様々な会社がオフィス勤務へ回帰。このマクロ経済の中で生き残るために会社一丸となるために週数回はオフィス勤務を義務付ける会社が出てくる
(6)B2Bツールの競争激化
・コロナ禍でリモートワーク向け生産性向上ツールが多く出てきたが、昨今の不況下で各企業は予算縮小。MS/Googleなどの大手は安泰of安泰だが、スタートアップは機能性/UIUXの改善でしか生き残れない
(7)1号ファンドの数が減る
・過去2年間で多くのVCは単独GP化して自社ファンドを立ち上げたが、不況の中で資金はTopTierに集中する。1号ファンドは減少し、むしろ整理統合の方向性に向かう
(8)ユニコーン企業になるのが難しくなる
・過去にユニコーンはレアだったが、2021年だけ340社も$1B以上の会社に。 今後は再びユニコーンになるのが難しくなり、一つの大きなマイルストーンになる可能性
(9)特化型ソフトウェアの黄金時代
・特定業界のソフトウェアは多くのVCは市場規模不足で避けてきたが、徐々に変わっており[デザイン=Figma][営業=Salesforce]のようにバーティカルな戦いが行われている
(10)スタートアップM&Aの活発化
・過去2年間で大型調達したスタートアップはバーンレート次第だが、2023年は大きなチャンス。様々な業界で合従連衡及び整理がみられる可能性がある
(11)新しいテックバレーの出現
・多くのTech投資家が次の市場を探している中、中東/北アフリカが注目。直近でLightspeed/Index/500
Globalなどがローカルパートナーを採用したり、過去2回のYCombinatorでは32社がアフリカ企業だった。
(12)トップレベルVC上場
・2023年にはトップレベルのVC(a16zとか…)がPEと似たように上場する可能性
(13)Product-Lead時代の終わり
・PLで顧客獲得したスタートアップが多かったが、昨今の不況下で厳しくなる。コスト管理する会社が増える中、無料ユーザーは獲得できても課金ユーザーへのCVRは上がらない可能性が高い
(14)B2B-Fintechの勃興
・コロナが始まった当初はB2C/C2Cが人気だったが、この不況下で資金確保ニーズの高いエンタープライズ向けの需要は高まる。とくに決済領域は相当有望。
(15)レイオフからのスタートアップ
・大手Techのレイオフが増える中、アーリーステージ企業は今まで取りにくかった優秀人材を採用する機会でありつつ、起業も増えると思われる。
(16)セキュリティ予算の計上
・クラウド化を進む企業でサイバーセキュリティー予算が増える。特にコロナ期間中に新しいソフトウェアに切り替えた会社は危険で、よりサイバーセキュリティを気にする必要がある
(17)環境問題を解決するスタートアップ
・バイデン大統領の法律変更などもあって環境テックの領域がアツい

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