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GMは60億ドルの自社株買いを通じて株価上昇維持へ…EV投資は…?

GMが昨年度から続けていた加速型自社株買いプログラムの終了に伴って60億ドルの継続施策実施を発表しました。
経営陣からすると短期的に時価総額にインパクトのある自社株買いに将来のEV投資より価値があると判断したものとみられます。
(もちろんシグナリング効果もありましょうが)
これを受けて株価はダウ対比でも上昇、投資家はGMのため込んだキャッシュの還元に魅力を感じているようです。

1;GMの自社株買い

 6/14にGM取締役会は60億ドルの自社株買いの実行を決定、株主還元での株価上昇トレンドを維持させる。
 これまでに[23/11;100億ドルの加速型自社株買い][24/01;配当を33%引上げ(1株当たり12セント)]等を実施。GMの株価は本発表を受けて1%上昇、24年に入ってからは約32.4%上昇している
・GMのCFO;Paul Jacobson氏は下記のようにコメント
 -[当社はICE車事業の収益性に非常に注力し、EV事業の収益性を成長させるべくションの分配を行っている。資本の効率配分の一環として今回の株主還元がある]
 -[GMは過去数年間にブランド/製品ポートフォリオに投資。経営方針が一貫して力強い収益成長/利益率/FCF増加を齎している]

2;GMのEVへの現状…

 規模の経済を追求したUltum-PFについてコスト削減効果/バッテリー確保を喧伝していたが、同PFを活用したSilverado/BLAZERの生産台数は期待を大きく下回っている
 界隈の一部からは[EVへの先行投資より自社株買いという短期施策を選んだ]とも評され、EV戦略には[ラインナップ][品質][低価格]が求められる中でGMはそのすべてでビハインドしており、さらに重要なことに従業員への投資にも引き気味であるとする

3;競合他社の状況

(Stellantis)
 2021年に[35年までの完全電動化]を発表、CEOのCarlos Tavares氏は日和らずに目標達成に向けて動いている
 -[BEV市場は減速しているが当社は怯まずにEU29か国で13.8%のシェアを獲得、当社のBEVはフランスで先頭を走っており、売上は56%上昇して37.9%の市場シェアに達した]
 Stellantis傘下のFiat/Alfa Romeo/Lanciaなどを介してイタリアやドイツでも強い存在感を示すとともに、Jeepのブランド価値である[若々しさ][楽しさ]を再定義、JeepRenegadeを2.5万ドルという手ごり価格で発売する計画を発表している
(Ford)
 Fordは秘密主義なSkunkworksを通じて低価格EVのPFを開発しており、それに向けて優秀な人材をEV各社から集め、それまでの手頃価格EVとして[Marvelic(ハイブリッドPUT)]や[E-Transit(電動バン)]を発売して好評を博している
(Hyundai/KIA)
 Hyundai/KiaはEV市場で2桁成長をしておりTeslaに追いつかんばかりの勢いを誇る
 Hyundaiは[300マイル航続可能]なEV価格を業界の新車価格平均47,000ドルを大きく下回る水準まで引き下げ
 Kiaはデザインに注力、最近アップデートしたEV6や米国製の7人乗り;EV9に加えて、コンパクト;EV3などラインナップを急拡大

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