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Exxonの長期事業戦略

 クルマOEMで仕事してると、どうしても脱炭素/EVから逃れられず、マルクスじゃないけど「妖怪が全世界を徘徊している。脱炭素という妖怪である」とか思ってしまうわけであります。自動車業界でこれだから石油業界とかエライことになってるよなと思い、石油メジャーはどう捉えてるのかなと調べてみました。
 やはり、長期の未来を予測して備えてる…というか未来を作っていこうって気概がある。良かれ悪しかれ今の世界を形作ってきただけのことはあるなあと感嘆であります。事業進出クライテリアとして[優位性][収益性]を掲げて運用しているあたり、日系企業の今後の運用にも示唆に富むなと思いまし。

サマリ

 Exxonは23年4月にエネルギートランジション戦略を公表、気候変動問題への積極姿勢をアピールする内容で[2050年;Netゼロ]を推進するために新事業野の創出を目指すと表明。

 基本線は21年発表の[Low Carbon Solutions]を踏襲、上流の石油/LNGの生産目標や投資額等への指摘はなかったが投資基準などが明確に。

1;Netゼロへの道

 2050年までの継続的な排出量削減には、[利益][負担]のバランスを消費者/社会のニーズをとらえ、経済的な困難/エネルギー市場の混乱/供給不足といった事態を回避するのが重要。
 今後は様々なステークホルダー(政府/企業/大学など)と前例のないコラボで技術科空芯を生むことが必要と捉えており、Netゼロに向かう中でコラボ前提での新事業構築を行うが、まずはロードマップ整理と収益化企画が必要
 大前提としては[大規模な地球規模のエネルギーシステムの変更(再エネシフト)]に備える必要があり、その時(2050年)にGHG排出枠市場は14兆USDと試算するが、Exxonはこの市場の主導的な地位を確保するために動く。狙うターゲットドメインは3つで[CCS/水素/バイオ燃料]である。

2;目標と戦略

 2050年のNet0に向けて[技術革新][市場創出][一貫性のある政府政策]を以て実現を目指す。2023-27年の5年で低炭素ソリューションに170億USDを投資、特にCCS/水素/バイオ燃料の3セクターを当面の脱炭素の投資先とする。投資地域はインフレ削減法による優位のある米国がメインで、低炭素投資の60%は自社操業の排出削減に割当、残り40%は第3者へのサービスの提供(発電/産業輸送/重工業)にむける
 脱炭素の事業化に向けて成長目標を3つのフェーズに分ける
(1)今後数年間
既存延長での基礎事業の構築を狙い、顧客満足/確実な収益を伴う事業を証明する
(2)今後5年後以降
-脱炭素が事業構築する想定で、規模的に拡大してコストが下がる想定
(3)今後10年後以降
-脱炭素がコスト削減/一般普及を通じて事業化するフェーズ

3;脱炭素ビジネスへの戦術

 技術を成熟度別に分けてアプローチする想定であり、既存技術/設備の活用、本質的な意味での脱炭素の認識拡大の必要性を掲げる
(1)自社;リソース保有/技術;未成熟
 当該分野ではExxonがリードし、他企業/研究所/アカデミア等と連携して独自価値を出す。
 例;DAC(直接空気回収法)/水素製造の代替技術/炭素貯留など
(2)自社;優位性なし/技術;必要不可欠
 パートナーシップを模索して、連携先企業の技術/事業を活用してサービス化/コスト削減を狙う
 例;三菱重工とのCO2回収に関する連携
(3)成熟した生産技術分野
 優位な競争力を持たず、他社からライセンスを購入/生産を行う分野
 例;アンモニア生産/再エネ分野

4;優位性と事業化

 自社の優位性は[1;技術][2;事業遂行][3;統合されたバリューチェーン]にあり、特に(3)は高いアドバンテージが得られると期待する。Exxonは水素/バイオ燃料/CCSといった数多くの可能性を保有、地域ごとの特性に応じてサービス提供する想定(例…米国;メキシコ湾沿岸でのCO2削減ソリューション提供事業を出す(LNGバイヤーに対する回収-貯留のソリューション)
 ビジネスモデルとしては、市場循環的な石油/天然ガスのビジネスと異なり、(1)自社の優位性/(2)成長市場/(3)長期契約ベースの安定収入/(4)10%以上のROICが特徴のビジネスを立ち上げる。優位性を活かして事業遂行すれば、自社の規模/統合サービスで一層優位に立てると判断している。
 事業化へのクライテリアとして[優位性][収益性]を置いて判断する

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