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TeslaのAutoPilotに係る調査を当局が終了…不完全燃焼ながら。

NHTSAはTeslaのAutoPilotに係る1,000件弱に上る調査を終了し結果を公表しました。
当局はデータの正確性や中立性に課題があるとしながらも一定割合でTeslaの責任を指摘、一方で運転環境の悪さやもらい事故についても指摘。
完全自動運転には程遠いながらもADASの有用性については肯定する方向性でした。

1;NHTSAによるTesla調査の終了

 4/26に米国道路交通安全局(NHTSA)は、TeslaのAuto-Pilotの誤用による数百件の事故調査/事象調査を終了したと公表。
 対象には13件の死亡事故と、さらに多くの重傷事故が含まれる。同時にNHTSAは、23/12にTeslaが実施したAuto-Pilotのリコール修正が十分な効果があるかどうかを評価するべくの調査を開始

 NHTSAの瑕疵調査局は4/26に公開された文書で下記認識を明らかに。
 -[Teslaの弱いドライバー監視システムとAutoPilotの緩い動作能力に適切でない点の検証を幅広く行い、結論を出した]
 -[この不一致で、AutoPilotの動作能力に対するドライバーの期待とシステムの実能力の間に重大な安全上のギャップが生じた]
 -[結果として、このギャップが予見可能な誤用と回避可能な衝突事故につながった]
 
 本調査は2021年に開始、今回の調査終了はAutoPilotへの政府調査のひと段落となるが、他規制当局による調査はまだ継続
 -司法省;AutoPilot技術に関するTeslaの主張を調査中
 -CA州陸運局;AutoPilotとFSD(β)の機能を虚偽宣伝したとしてTeslaを非難&調査
 Teslaは[現在、自動運転/自律性の実現に向けた壁をよじ登っている]とし、障害が多いながらも徐々に進めているとしている

2;調査の内容

 NHTSAは23/08までに報告された956件の衝突事故を調査し、下記結論を得たとしている
 -489件;[評価へのデータが不十分][相手車両に過失]との結論
 -211件;[車両が別車両/障害物に衝突し、ドライバーが衝突回避/軽減のために十分な時間をとった事故]
 -145件;[濡れた道路など交通状態/認識困難な状態での路外逸脱]
 -111件:[ドライバーの入力でオートステアリングが不用意に解除された道路逸脱]

 NHTSAは3年の調査の中で対面調査/データ徴取/ヒアリングなどを行ってTeslaに依存してきたが、差出データに対しては下記のように批判
 -[Teslaのデータにはギャップがあり、AutoPilotを作動/運転する車両が実際に事故に巻き込まれる割合について不確実性が生じている]
 -[データレポートにもギャップがあり、重大な衝突でもAutoPilotが関与するすべての衝突を認識しているわけでない]
 -[Teslaのデータは主に衝突緩和装置(エアバッグ/プリテンショナー)の展開によるものだけで不完全である]
 取得データだけでは衝突事故の18%しか説明できず、テレマティクスを通じて通知されなかったAutoPilot関連衝突事故を調査できていないとした

3;Tesla/NHTSAの反応

 Teslaはドライバーに対して注意喚起/システム対応で自動運転機能の利用を促すが当局は不十分としており、23/12にはNHTSAも[悪用/誤用には不十分]としている
 (注意)AutoPilot使用時には道路に注意し、ハンドルから手を離さないよう呼びかけ
 (システム)車内のトルクセンサー/カメラを介してドライバー目線を測定
 (当局の批判)Teslaによる警告/確認は十分に行われていないとする

 Teslaはドライバーの監視強化を行うアップデートを実施&リコールを24/01に実施したが[ほとんど変わっていない]とNHTSAは指摘。NHTSAによると[リコール修正の一部では所有者のオプトインが必要で、ドライバーが安全装置の一部を簡単に解除できるようにしている]と指摘して意味がないとする。

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