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Mercedsの米国2工場のUAW加盟は拒否へ

VWの工場加盟を皮切りに進む外資自動車メーカーのUAW加盟ですが、このほどMercedesの在米2工場は投票の結果、UAW加盟を否決しました。
米南部での労働環境の悪さは良く知られますが、投票期間中の会社による妨害なども告発されており、今後の展開は波乱含みです。

1;Merceds工場のUAW加盟が否決

 5/16にMercedsのアラバマ工場はUAWへの加入投票を行い、僅差で反対に。当該工場では SUV の EQS と EQE SUV を含む複数の自動車を製造している
 先だって4月末にはVWのテネシー州工場、5/15にはNew Flyer(加/EVバス)の工場がUAW加入を賛成多数で可決

 今回の投票は1週間にわたって行われ、投票権を持つ従業員5200人の投票結果は[賛成2045/反対2642]でVance/Woodstockの2工場の加盟は否決。
 投票はMercedesの労働者が呼びかけて開始、UAWに逆アプローチする方式で実施。UAWは4月に[在米の全自動車工場のUAW加入を目指す]とし、バイデン大統領も支持していた。
 抑々の所で、労働者は新経営陣のとの確執や意見/状況に反した労働シフトの設定に不満を表明していた

 Mercedesは投票に先立って投票行為について賛意を表していたが…一部従業員によると会社側は[勤務開始時の半組合動画][組合参加阻止へのコンサル起用][反組合看板の設置]等を行っていたとされる。
 -[全従業員が無記名投票を行う機会を確保し正しい情報に基づいた選択をするために必要な情報にアクセスしうる選挙プロセスを楽しみにしている] 

2;米南部の労働環境

 米南部の多くの州では[Lavor’s right act]に基づいて[最低賃金=低][労働組合=無視]が正当化され、労組組織率は低く労働者の権利の水準が低い傾向
 投票に先立って南部州の6人の知事は[UAWへの加入投票に反対する労働者を奨励]する共同声明を発表。アラバマ州知事は投票前に[自発的に労組を認めた企業への経済インセンティブを停止する]法律に署名していた

 ここ最近、アラバマ州の自動車製造業では最近問題が多く発生しており、連邦政府からの監視の目が強まっている
 -全米労働関係委員会;Mercedes/Hyundaiの不当労働行為に対する調査
 └同委員会;Hyundaiサプライヤーの摘発(児童労働)
 └ドイツ政府;企業統治に係る調査(Mercedesに対して)

3;UAWの動き

 UAWは23/09に米国の大手3社での同時ストライキを実行し、[大幅賃上げ][待遇改善]を勝ち取り。開始から6週間でUAWは3社全てと合意し各社から大幅賃上げやその他保証を勝ち取ったことに加え、Big3以外各社でも10%程度の大幅昇給を発表
 UAWのShawn Fain会長は[the UAW bump]と呼び、更にUAWは[U Are
Welcome]とのべて全米の労働者を支援していることを強調した
 UAWは他のすべての米国自動車メーカーを同時に労働組合化する意向を発表し、バイデン大統領もこの考えに支持を表明。UAWは他工場の従業員に対し、ウェブサイト(uaw.org/join/)を通じて労働組合カードに署名して加入意思を表明するよう奨励している

4;その他

 米国ではCOVID19以降の経済混乱を経て労働組合が少しずつ盛り上がっており、特にレイオフ/在宅勤務終了などの企業による一方的な施策に不満を感じている従業員が呼びかけに賛同
 不満を背景に労組は勢いを強め、多くの業界でストライキが成功して非組合だった労働力の組織化が進んだ

 一方で米国全体では労働組合員数が数十年にわたって減少…結果として賃金は労働生産性に追いつかず、収入分配の不均衡は拡大

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