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GMのUltium工場で大幅賃上げが実現、バッテリー競争力に暗雲が…

GMが全社でUAWと協定を結んだことでUltium製造拠点においても賃上げ/福利厚生改善などが達成されるとのことです。
GMがUltium拠点を直営対象としたことに伴うもので、職種によっては最低賃金が倍になるとのことで、Ultiumのバッテリー競争力は相当に下がりそうです。

https://uaw.org/wp-content/uploads/2024/06/Ultium-Highlighter-Final.pdf

1;GM-Ultium拠点の賃金/待遇アップ

 6/17にGMのUltium製造拠点の従業員は投票を行って[GM-UAW協定]の受入を可決、最低賃金の大幅引き上げが実現。
 オハイオ州ローズタウンの拠点での出来事で98%の圧倒的多数で協定は締結、協定内容は[複数の福利厚生][賃金体系の変更]などからなされるが、一部労働者はUAW加盟前にひして賃金は2倍以上に(35-40ドル/hで、加盟以前は15-16ドル/hだった)
 GMのUlitum製造拠点は開業時から離職率の高さ/安全衛生の緩さといった課題を抱えていた
 -離職率;自動車業界平均よりはるかに低い15ドル/hで経験を積んで早々に転職すると給与が上がる状態
 -安全衛生;製造速度/効率性が何よりも優先される環境で従業員の安全衛生は軽視
 
 22年に当該拠点はUAWへの加盟/組合結成に関して投票を行い可決、従業員は25%の賃金引き上げを勝ち取り。その後、UAWは全米ストを行って米国大手自動車3社すべてで大幅な賃金引き上げが実行された
 GMは当該拠点をサプライヤでなくGM直管理(UAWの基本協定下に置く)ことで合意。直近でGM-UAW間で新しい合意が交渉されており、当該拠点もその恩恵にあずかることになった。主な合意点は[残業手当の改善][特定の有給休暇][労働組合の安全衛生代表選出]など

2;最近のUAWの動き

 過去1年にUAWは様々な動きを見せており、下記のように社会経済トレンドに沿って積極性を強めている。
 -米国の全自動車OEM(外資含む)を労働組合化するキャンペーンを開始
 -Tesla性能拠点での労働組合結成を訴えるキャンペーンの実施
 -VWのチャタヌーガ製造拠点が初めて外資系自動車OEMとしてUAWに加盟

 UAWの積極化で業界全体で賃金がすでに上昇/改善しており、外資系メーカーもUAW協約を参考に賃金アップや待遇改善に動いている
 UAWによる闘争/協議/合意が業界全体、非組合員の待遇改善に貢献。一方でMerceds拠点での組合化が会社側のアクションにより失敗するなど、若干鈍化しているとも見える

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