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短歌 新作7首 『ミントのガム』

距離をおいても、飛び越えて来てしまうもの。
壁をつくっても、乗り越えて来てくれる人。
押し引きを繰り返すうちに、手に入れたり、失ったり。
いま手の中には何が残っているのかを、一つひとつ丁寧に確認している。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

ミントのガム

鉄条網で守ってばかりいたせいで自分の腕を傷つけていた

君の噛むミントのガムが隣から香って距離を飛び越えて来る

ニンゲンの心は壊れやすいので両手で抱きかかえてください

俺の歳と同じ築年数のビルがなんかボロくて痛む膝小僧

伝説の大泥棒になりすまし無実の罪で罰を受けたい

もう君の横顔を忘れたいから埋めずに捨てたタイムカプセル

帰るまで大事にとっておいたのに割れてしまったイチゴ飴みたい


57577展

訪れてくれたあなたの足跡と共に続いてゆく物語
会期:2022年1月29日(土)〜3月27日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、3月21日は開館)、2月10日(木)、3月10日(木)
会場:町田市民文学館ことばらんど 2階展示室
〒194-0013 東京都町田市原町田4丁目16番17号
観覧時間:午前10時から午後5時
観覧料:無料
出品作家:岡野大嗣、木下龍也、伊藤紺、鈴掛真

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