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短歌 新作7首 『雨ざらし、のち月あかり』

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長い日々を共に過ごしていれば、楽しい時間ばかりじゃなくなることもある。
相手の嫌なところが見えてきたり、つまらないことで何度も衝突したり。

その度に、軌道を定め直して、また歩幅を合わせ無言で踏み出す。
あるとき、ふと後ろを振り返れば、いつのまにか随分と長い道のりを共に歩んできたのだと気がつく。

誰かと暮らすっていうのは、そういうことなんじゃないかと思う。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

『雨ざらし、のち月あかり』 鈴掛真

シャッター音ばかり鳴らした沈黙に負けてしまわぬように何度も

#ファインダー越しじゃないのにそれっぽくフィルターかけたあの子の世界

泥んこの足跡ふたつアスファルトに描いて出来た新しい道

結ばれた冷たい夜の真っ暗な部屋を最初に照らすライター

偽物はこちら側かもしれないと抱かれた俺が鏡に映る

分け合おうベッドに移る体温と冷めてしまった缶コーヒーを

雨ざらし、のち月あかり君がどの道に迷っても迎えに行くよ

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