手話通訳者全国統一試験「手話通訳の理念と仕事」2021過去問⑳解説〜手話通訳の技術〜
2021年度手話通訳者全国統一試験の過去問について、参考文献をもとに独自に解説をまとめたものです。
問20.手話通訳の技術
問題解説
(2)が正しい。
(1)はデカラーシャドーイングトレーニングである。
モデルが表現した手話の単語を1〜3語遅らせて、モデルの手話表現のあとを追うように真似るトレーニングである。1〜3語遅らせて真似るためには、読み取った手話の内容を一定時間記憶しておく力や、1〜3語遅れて手話を表現しながら、モデルがその時点で表現している手話をあわせて読み取るという操作を頭の中で次々と行わなければならない。
手話通訳の実際は、読み取った手話を日本語に翻訳しながら、同時に、継続して表現される手話を見落とすことなく記憶して、手話が構成する意味を把握し日本語に翻訳するという、高度な連続的作業が求められる。
(2)はイントラリンガルトレーニングである。
「イントラリンガル」とは、同じ言葉で言い換えるという意味である。通訳の対象者や場面に合わせて言葉を使い分ける力を高めることを目的としている。例えば、年長者へ伝える場合、丁寧語を用いたり、逆に自分のことを伝える場合、へりくだった言葉遣いをしたりする。
(3)はシャドーイングトレーニングである。
モデルの手話や音声による表現を、ほとんど同時に真似て表現するトレーニングである。手話表現において真似るときは、手話の動作の強弱・スピード・方向・大きさ・位置・表情・体の向きなどできるだけ同じになるように表現する。手話を正確に読み取る力を高め、同時にさまざまなモデルの手話表現を身につけることを目的に行われる。
(4)はサマリートレーニングである。
「サマリー」とは要約するという意味である。表現された話しのポイントを押さえ、要約して表現し直すトレーニングです。表現された内容を理解する力、内容を再構成して表現し直す力を高める練習方法である。表現された話を通訳の対象者が正しく理解できるように、翻訳する力を身につけることがこのトレーニングの重要なねらいである。
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