「たそがれ・マイラブ」(昭和53年 1978)大橋純子
「昭和女歌謡」で取り上げる1曲目をこの曲にしました。おそらく、異論はないと思います(笑)
作詞が阿久悠、作曲・編曲が筒美京平で、そして、歌が大橋純子ですから、そりゃもう、間違いようがない完璧なコラボレーションになります。
曲名が「たそがれ…」ですから、まだ終わってはいないけれど、終わりに限りなく近づいている曲なんだということがわかります。
一番の歌詞を見ても、
♪夕立が白い稲妻つれて 悲しみ色の日暮れにしていった
♪しびれた指 すべり落ちた 珈琲カップ 砕け散って
とあります。
特に、「夕立が白い稲妻つれて」という表現がとても好きです。普通、“連れてくる”なんて使い方はしません。
「珈琲カップが砕け散って」ですが、生前のお袋はこれをよくやっておりました。もちろん、お袋みたいに不注意からではなく、女と男の関係の終焉を表したものですが、焦げ茶色の木の床に白いカップがスローモーションで落ちて砕け散る様が、唄う度に私の頭の中で描かれます。
二番の歌詞の出だしの
♪今は冬 そばにあなたはいない
は、一番の「今は夏 そばにあなたの匂い」と掛けていて、微妙に韻も踏んで似させているのに、状況は全くの真逆です。
♪ひきさかれ 愛はかけらになって それでも胸で 熱さをなくさない
は、あなたがそばにいない寒い冬でも、自分だけは熱い気持ちがあるということを訴えています。
まあ、なにからなにまで、この阿久悠の歌詞は映像的で、それを見事にメロディに乗せたメロウ作曲キングの筒美京平、そして、サビの部分だけは少し声を張り上げるものの、歌詞の内容から、概ね、控えめに歌っている大橋純子のコラボレーションの集大成がこの曲になっていると思います。
彼女がベストテンでこの曲を歌っているのを見る度に、中学生ながらドキドキした覚えがあります。
そして、後に世に出る英国のユーリズミックスのアニー・レノックスの容姿がどうしても大橋純子と被ってしまった、という思い出もあります(笑)
♪「たそがれ・マイラブ」(昭和53年 1978)大橋純子
作詞:阿久悠 作曲・編曲:筒美京平
https://www.youtube.com/watch?v=h85EC4LmDMc