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血縁を重視する国、ニッポン。

「親子になるのに、血のつながりは重要じゃない」と信じて息子を育ててきた。
しかし、息子を迎えてから差別を感じたことがあるし、周りの養子縁組仲間からもそういう話を聞く。

もちろんいろんな考えの人がいるわけで、養子に対して偏見をもつ人がいても仕方がないと思う。
しかし、それが「役所」や「病院」だと、すんなり理解できない。

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特別養子縁組では、家庭裁判所での申し立てのほかに役所でさまざまな手続きをする。
住民票、マイナンバー、児童手当、健康保険…。
全て終わるのに、結構な時間がかかる。

詳しくは書けないが、”普通”の親子であれば絶対に引っかからないであろう手続きに引っかかった。
他の自治体ではOKなのに、なぜか私が住む自治体ではNGだったのだ。

何度も説明しても「できません」の一点張りで、本当に苦労した。

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また、病院での差別にあった人も少なくない。

通常、赤ちゃんの1か月健診は産まれた病院で受けるが、新生児委託で居住地が遠方になると行くのが大変なので、育ての親の家付近にある病院で受ける。
(それでも、場合によっては産まれた病院で受けるケースもある)

しかし、事前に電話で「特別養子縁組を前提に養育していて、1か月健診をお願いしたいのですが…」と問い合わせると、断る病院があるのだ。

1か所や2か所断られることは珍しくなく、私の知り合いには4か所目でやっと受け入れてもらえた人もいる。

なぜ断るのだろうか。
どのような経過で産まれたのか分からないから、関わりたくないのか?
それとも養子そのものに対する偏見なのか?
私にはよく分からない。

さらには、予防接種を受けさせてもらえなかった人もいる。

その人は医師からはっきりと「予防接種の付き添いは、血のつながった家族でなければならない」と言われたそうだ。
この話を聞いたときは心底あきれた。

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日本は、虐待や貧困などで苦しむ子どものサポートに力を入れようとしている。

しかし、現実をみれば偏見があるし、なにより役所や病院といった住民にとって平等であってほしい場所がこうだと「そんなのきれいごとじゃん」と思ってしまう。

もちろん、全ての役所や病院がこのような対応なのではない。
息子が通う小児科は皆さん親切にしてくださるし、以前特定妊婦のサポートで関わった役所はスムーズに対応してくれた。

差別や偏見があるのは一部なのだろうけど、こういうことがあるとつくづく日本は血縁を重視する国なのだなぁと思う。

「大切なのは血縁ではなく、子どもにとって幸せな環境を整えること」

虐待や悲惨な事件が減らないなか、この考え方が広く理解されるのはいつになるだろうか。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!