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個展の感想

みなさんこんにちは!

今日は横浜市新市庁舎で開催した個展の感想についてです。

行動が制限された社会状況での開催にもかかわらず、本当にたくさんの方にお越し頂けました。

インスタでもお伝えしましたがこの場で改めてお礼申し上げます。

本当にありがとうございました!


驚いたのは、何度も御来展してくださった方がたくさんいらっしゃったこと。

僕の知る限り最大で5回。

数々、嬉しいことがありましたが、それだけしっかり見て頂けるというのは作家冥利に尽きますし、苦心して展示してよかったなと感じました。

僕も作品たちも感謝の気持ちでいっぱいです^^

本当にありがとうございました。(2回目)


さて、ここからは個展の裏話です。

YouTubeでは写真展の楽しみ方をお話ししましたが、無事に展示が終わったので改めて振り返りたいと思います。


今回は下記の4本構成です。

1.  個展への意気込み
2.  個展中止の検討
3.  個展への想い
4.  個展の感想

3,500文字なので所要7分。

お越しくださったみなさまには特に読んで頂きたいなと思います。


それでは始まります。


1. 個展への意気込み

まずは意気込みについて。

作家次第かもしれませんが、僕の考えでは、自分の活動や作品に対する想いが強ければ強いほど、その想いに比例して個展開催のための体力が必要になります。

体力の定義は制作面における創造力

そして経済面における相応の資金力

制作面についてはYouTubeでお話ししたので、ここでは経済面のお話を。


個展における費用で最も変動率が高いのは言うまでもなく作品制作です。

具体的に解説します。

一般的な写真展というのはプリントした写真を『スチレンボード(裏がスポンジみたいなやつ)』にマウントする手法が多いのですが、僕の展示ではこのスチレンボードを使用しません。

理由は明白。安っぽいからです。

全国の写真家やラボを敵に回したいわけではなく、ただ僕がそう思うだけなので誤解のようにお願いします。笑


まだ写真家を名乗る前、名乗った後、後学のために東京中のギャラリーを巡りましたし、いわゆる著名な作家さんの写真展にも足を運びました。

その度にこのスチレンボードで展示された作品たちを見て不憫だなと感じました。

そして何より感動を得ることができませんでした

いずれ自分が展示する際、これではダメだなと感じて他の手法を試しました。

そして現時点の僕が採用しているのが『額装』『アクリル加工』です。

この二つの手法であれば作品たちが映えますし、写真そのものに付加価値が生まれます。

実際に、これまで僕が見てきた世界中の偉大な写真家たちも採用していますし、そこで得たような感動を日本の展示で感じたことはありません。


話を戻します。

上述した二つの手法、そしてそれらを大判プリントで制作する。

結果、スチレンボードでの制作と比較すると単純計算で10倍程の費用が必要になります。

つまり僕が個展を開催する場合は相当な気合いが入っているということです。


同時に、僕が滅多に個展を開催しない理由はここにあります。

YouTubeでお伝えしたように、写真を引き伸ばして展示して、見てねー!で終わり。

ではなく。

見てくださる方の気持ちを考えたい。

中途半端なものを出すくらいならやりたくない。

こんな頑固な性格と偏った思想が災いした結果、前回から3年ぶりの開催となりました。笑


2. 個展中止の検討

話を進めます。

YouTubeで解説した制作面と先程ご説明した経済面。

このような裏話を背景にして昨年末から着々と準備を進めていた写真展。

実は開催一週間前にレストラン側から驚きの通達を受けました。

相手のある話なので詳細は伏せますが、その内容というのは開催2日前迄まで開催か中止か本気で迷う水準でした。

ただ、既に予約をされている方がいて、楽しみにされている方がいて、購入したいとお伝えしてくださっていた方までいらっしゃる状態で中止をするのはプロとしてあり得ないという判断のもと、粘り強く交渉をしてなんとか最後までやり遂げることができました。

ついでに3日間の在廊時間も勝ち取りました。笑

開催直前、個別のご連絡やインスタで僕がジタバタしていたのはこれが原因です。


3. 個展への想い

黙っていれば誰も知る由もない情報であり、場合によっては自分が不利になるような話を突然持ち出した理由。

それは、今回の個展はYouTubeでお話ししたようなエンターテインメントとしての空間には程遠いものであったからです。

お越し頂いたみなさまに対して失礼な言い回しに聞こえるかもしれませんが、これはあくまで僕の脳内の話で、世の中でいうところの平均点は超えていると思います。それは冒頭お伝えしたように、何度もお越し頂いたみなさんが証明してくれました。


それでも尚。

もっと楽しんで頂けた

もっと感動して頂けた

そんな空間を作りたかった

というやるせ無い想いを今でも抱えています。


僕が写真家をしている理由はいくつかありますが、その中でも特に重要な割合を占めているのが、多くの人に感動して頂きたいということ。

それもただの感動ではない。

あの日、あの時、あの場所で僕が経験した全身に鳥肌が立つあの感動。

30分経っても足の震えが止まらない体験。

大袈裟でもなんでもなく、それは自分の人生が決まった瞬間であり、いつか自分もそんな人間になると胸に誓った瞬間でした。

全く同じ水準の感動は厳しくても、30分持続させることは厳しくても。

僅か1分でもいいから誰かに心が震えるほどの感動体験をお届けしたいという強い気持ち。

その境地に少しでも近づきたかった。


ですが、今回の展示では制約が多すぎてどうにもなりませんでした。

トークショーもなし。

当初は在廊もなし。

作品点数も限られる。

展示方法もワイヤーのみ。

その他もゴニョゴーニョやゴニョリータな不条理がたくさんありましたが。。。


それらの中で最も悔しく感じているのは

ディナータイムのレストランの雰囲気をお届けできなかったこと。

みなとみらいの夜景が綺麗に見える立地。

薄暗い空間の中でしっとりと照明が当たる作品。

フレンチ料理とその料理に合うお酒。

そうして気分を高めた状態で鑑賞する作品たち。

個展動画で瞬間的にお見せできていますが、本来はあのような雰囲気で鑑賞して頂きたかった。


僕がこのレストランでの展示を受けた一番の理由が失われ、お越し頂いた9割の方が日中の光に影響された反射だらけの中での作品鑑賞となってしまいました。


このように半年かけて制作し、お金もたくさん使ったのに、僕が思い描いた半分も実現できなかった今回の個展。

120点でもなければ100点でもない展示だった。

もう一度お伝えしますがこれは僕がそう思っているだけです。

みなさんからどう見えているかはまた別の話ですし、願わくばせめて80点は頂きたいなと思っています。


4. 個展の感想

このような結果になりましたが、今の僕は次に向かう気力に満ち溢れています。

みなさんからご褒美を頂いたからそんな気持ちでいられます。


久しぶりの再会がたくさんあった。

初めましての方もたくさんいらっしゃった。

友人も来てくれた。


たくさんの笑顔をもらい。

たくさんの温かいお言葉を頂いて。

真剣に作品を見てくれる熱い眼差しを感じた。


半年かけた制作面の苦労も、過去の個展史上最も動いた経済面の不安も全て吹っ飛んでいって、ただそれだけで全て報われたような気がしています。

これがGUEST BOOKを宝物だとお伝えした理由です。

大切なスペインの記憶と作品。それらを展示するための個展にお越しくださったみなさまへの感謝の気持ちが刻まれた大切な宝物。

お越し頂いたみなさま、本当にありがとうございました。(3回目)


長らく語りましたが今思うことは。

まだまだ未熟の一言。

社会情勢も、今日書いたことも、全てが言い訳。

これが今の僕の現在地。


夢は過去に叶えてしまいましたが、僕は今でもその延長線上にいます。


全ては自分が楽しく生きていくため。

そしてみなさんに楽しんで頂くため。

いつか人生を変えるほどの衝撃をお届けするため。


写真撮影技術だけではない写真家としての活動。

まだまだ成長できる喜びと想いを遂げられなかった悔しさを。

次回の個展、もしくは自分でギャラリーを持った時に晴らしたいと思います。


今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。

目標年齢まであと2年と2ヶ月。

頭の中で思い描いている風景を実際に見るために走り続けたいと思います。

これからも応援、よろしくお願い申し上げます。


2021年6月12日


※ 個展の動画をまだ見ていない方はこちらからどうぞ。




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