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【木型と樹脂型】真空成形型の種類について。金型と比較した違いとメリットとは?


【プラスチック(樹脂)の真空成形について】


成形業界では代表的な成型方法の一つである真空成形。PMMA(アクリル樹脂)やABS樹脂を材質とし、高温度で加熱したシート状のプラスチックを耐熱装置により真空成形する成形方法です。真空成形型には木型や樹脂型、金型などいろいろな種類がありますが、金型はショット数が多く、型の耐久性が必要な場合に用いられるため、比較的高価な成形型です。その反面、樹脂型、木型の特徴には、

  • 短納期

  • 費用が安価

  • 試作費用を安く抑える

といったメリットが挙げられ、弊社では主に試作用・量産用の樹脂型、木型を製作しています。真空成形用樹脂型の製造工程では、マスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)、捨て型、樹脂型の全部で3種類の型を製作します。今回はその3つの型についてご紹介したいと思います。

▽真空成形型の製作手順とは?


【木型、樹脂型の製造手順】


マスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)の作成

今回のご依頼は、自動車アクセサリーパーツです。

真空成形用 木型(マスターモデル)
写真の穴は真空孔と呼ばれる、真空成型時に空気を吸引し、型とプラスチックシートの間を真空状態にするための穴です。

こちらは、真空成型用の樹脂型を製造するうえでベースとなる、マスターモデルです。ケミカルウッドと呼ばれる合成木材を材料に、CAD/CAMで作成したNCプログラムデータをもとに、3次元曲面加工ができるNCルーターで切削加工しました。ケミカルウッド型は木型ともよばれ、木型で試作の成形をする場合はこちらが用いられます。材料のケミカルウッド(合成木材)を、作成したNCプログラムに従ってNCルーターで成形するので、樹脂型や金型に比べて安く、納期が短いことが特徴です。量産生産前の試作や、3次元データの具体化として、モデルを作成したい方にもおすすめです。
▽ケミカルウッド(合成木材)とは?


▽真空成形用トリミング治具の製作も行っています。

マスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)の塗装

型取り前に、ウレタンサンディングシーラー塗料をスプレーガンで吹き付け、マスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)の保護と離型処理をします。

真空成形用 木型(マスターモデル)ウレタン塗装

こちらの工程は目止めと呼ばれ、型取り時の樹脂がマスターモデルに付着する脱型不良を防ぎます。

▽離型処理の説明動画

▽ウレタン塗装について


型を取る(捨て型の製作)

離型処理を施したマスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)にエポキシ樹脂を盛り、捨て型を作成します。

真空成形用 捨て型 型に反転をとる
自動車、二輪車の小型のパーツをはじめ、浴槽といった大型のものまで型取り可能です。

▽型取り作業についての動画

▽アルミ型(金型)のご注文も承ります。

樹脂型(完成品)

真空成形用 捨て型 型に反転をとる
今回ご紹介したほかにもにも、バイザーやガーニッシュといった自動車パーツ、スクリーンなどの二輪車部品や、浴槽、洗面器などの水回り品を得意としています。

捨て型に樹脂を盛り、エポキシ樹脂でガラスクロスとガラスマットを積層し、樹脂型を作成します。その後、表面を研磨し手整えたり、寸法のチェックを行った後、別途作成した真空BOXの上に組付けます。
▽FRP製のスーザフォンも同様の工法で積層しています。

【プラスチック(樹脂)成形型の製作を承ります。】


いかがでしたでしょうか?以上が、プラスチック(樹脂)成形型真空成形更新型製作の流れになります。3DCAD/CAMデータによるNC加工から、マスターモデル(マスター型、ケミカルウッド型)、捨て型、樹脂型の製作まで、試作から量産まで一貫して制作が可能です。

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