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コロナショックで売上が7割減った、とある地方の飲食店がやったこと。〜「飲食体験」を商品に!編〜

こんにちは、新潟・長岡のSUZUGROUPオーナーシェフの鈴木将です。

昨日公開した前編「テイクアウトの売上を伸ばす!」には、たくさんの反響をいただきありがとうございました!


ドタバタとした一日でしたが、なんとか今日は後編を更新したいと思います。
いよいよGWも始まり、3,4月の種まきがどのような実績を産み出すかという緊張感もあり・・・更なる状況変化に備えても準備をすすめなければいけません。

昨日の記事もたくさんの方に見て頂いたので、今回も地方のリアルな視点でなにかしらお力になれたらうれしいです。

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それでは、さっそく。

【取り組み④】家庭でも楽しめる商品開発

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こちらも3月からすぐに取り組み始めました。これはまだ種まき段階で後半の説明ともリンクしてくるものです。まず、家庭で楽しめる商品開発とは・・・。

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1つ目(上記写真)は、地元の4つの飲食店さん、老舗お団子さんと共同で開発した「母の日の為のオードブル&お赤飯」。(←僕の地元長岡市のお赤飯は全国的にも珍しいお醤油で味付けをする赤飯なのです)

自粛要請を受けた飲食店である僕たちはものすごい危機なのですが、同じく学校が突然休校になり子供のお世話をしなくてはいけないお母さんたちもすごく大変ですよね。そして、いつもだったらGWにお祖父ちゃん、お祖母ちゃんちゃんに会いに行けるのに気軽に外出できない状況でありすごく寂しい期間でもあります。

そんな今年はものすごく特別な「母の日」なのです。だからこそ、我々飲食店が手を組んで場を少しでも盛り上ることができないと考えたのがこの「母の日オードブルとお赤飯」です。

そして2つ目は下記の3種類の商品です。冷凍パックにした、無添加・7大アレルゲン不使用のお子様向けのカレー新潟の春を象徴する野菜「雪下にんじん」を使用した「雪下にんじんのイエローカレー」。

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そして、現在閉店中の店舗のランチメニューで絶大的な人気メニューをアレンジした、日本酒で仕立ての特製ソースとゴロゴロ野菜の入った「新潟ナポリタン」です。

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飲食店を応援していきたい!という様々な活動や支援がおこなわれていく中、同時に考えておかなければいけないのは、経済の悪化に伴う個人収入の減少です。
このコロナショックで先行きが見えない日々が続いています。もちろんたくさん支援したい気持ちもあると思いますが正直限界もあるんじゃないかなとも思っています。

それで、飲食店が終わる。そう言ってるわけではありません。飲食店が食を提供しているだけであれば、値段が高く使いづらいだけかもしれませんが、僕は飲食店は「食を体験する場」を提供していると考えています。

今までも「体験」をビジネスにとたくさん言われてきましたが、その体験がなんだったのかと言えば「飲食を楽しむ体験」こそが飲食店であって、体験ビジネスとか言われるそのずっと前から僕たちはそれをやり続けてきました。ただ、時代が変わり「体験する方法」が変わったと考えればいいのだと思います。これが短期的なの長期的な戦いになるのかはわかりませんが今までも「体験」を売ることをやってきた飲食店ならきっと新たな可能性を見出せるはずです。

今回僕が提案した「飲食を楽しむ体験」という点で、この3つの商品は
通常の店舗での販売価格が1000-500円程度のものが冷凍商品で
半額以下で楽しめる
商品で、それをアレンジして楽しむことも可能です。
更に、中食向けの半加工品なので家庭内での調理をする場を創るお手伝いも、
ある意味で飲食店だからできることなのかもしれません。

その他、You Tubeでのレシピ動画配信や僕個人のSNSでは人気メニューのレシピ公開なども始めてます。

「飲食を楽しい場」をどうプロデュースできるか。ここでいう「場」は、お店ではなく、お客様が求めている「場」です。そんな視点でサービス精神満載の飲食経験者であればなにかひらめきが出てくるかもしれませんね。

※パック詰めなどの加工品で販売をする場合もそれぞれ保健所の許可などが必要になります。SUZUGROUPでは総菜製造業、ソース製造業、飲料水製造業などの許可を得ており、新商品をリリースするときはよく保健所に相談しながら商品開発を進めています。電話等でも対応してくれます。こちらも自治体により対応が違う場合もありますので、近隣の保健所にご確認ください。

【取り組み⑤】店舗イメージを一新するブランド転換

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これは4月からスタートしたばかりの取り組みで実績は少ないですが、一気にいろいろ進めていく中で、手ごたえや反響なども出てきた取り組みなので共有します。

店舗イメージを一新するブランド転換はなにかと言うと・・・単純に「店舗名を変える」それだけです(笑)

自分たちはずっとお店にいて様々なことに対応し、変化していってるので、常に変わっていると思い込んでいるものです。しかし、たくさんの飲食店がある中では、なかなかお客様には情報として届いていないものです。

もう一つのポイントは「情報をシェア」できるということ。それは例えば飲食店だった店舗が「テイクアウト専門店」になります!とか・・・こちらからやっていることを言葉として情報発信することでよりリアルにシェアできるのです。

最近はSNSで簡単に情報発信できる時代ですが、首都圏と違い地方の情報ツールはアナログを含めて様々です。その中でもっともシンプルでどのツールでも活かせるのが「口コミ」です。なので、シンプルな情報提供をしながらお店の情報をシンプルに言葉として発信することはとても重要です。

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これは前回の③と同じような表現ですが、お客様が「なにか食べたい」と思って実際に思い出すのは3~5店舗だと思っています。その3~5店舗に残っていなければそもそも来店動機にもなりません。情報を整理してわかりやすく、そして今のニーズにどうマッチングするかが大切です。

ちなみに僕の店舗では、

・和食ベースの居酒屋店
➡船盛のお刺身や炭火焼などを器で提供する仕出し屋
・野菜を中心にしたダイニング
➡野菜を中心にした健康的なお弁当屋さん
・DELI&CAFE業態
➡ローカルとオーガニックをテーマにしたグローサリー(食品店)

という言葉に情報を整理しました。
それぞれ、エリアに対してのターゲットも明確で、利用してくださった方からの口コミやSNSでの拡散が、少しづつですが広まっています。

そもそも地方はいろんなアクションに対してそこまで早く反応が帰ってこないのを覚悟した上で、お客さんの満足度を読み取りながら、修正しながら、とにかくやり続けることで少しづつ成果が出てくるものと思います。

飲食店でのお客様の気持ちを読み取る力をここで発揮してください!
わからなければ、お客様に直接聞くことなんかも、僕はいいと思います!

【取り組み⑥】Youtubeの動画配信サービス

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YouTubeもはじめました。
これも僕がYouTuberになるなんて想像すらしてなかったのですが、真面目に取り組んでます。

SUZUGROUPでは2つのチャンネルをほぼ同時に開設しました。
1つ目は王道のレシピ動画
2つ目はゆるフワなLIVE配信動画
それぞれ目的と内容を紹介していきます。(③④の紹介につながってきます)

1つ目のレシピ動画。
これは単純なレシピ動画ではありますが、レシピを紹介しながらお店の魅力やコンセプトを伝えることで、家庭でも同じ感覚で食を楽しむ「場」につながってきます。
レシピは飲食店にとっては命です。それを公開するのはある意味でものすごく度胸のいること。ですが、レシピを公開することで、お客様に安心感なのかこだわりなのか、美味しさを通してお店を魅力を伝えることができると思います。

その中で僕が実践してるのは、売り出している新作弁当のお弁当のレシピなどの紹介と、④で紹介した冷凍のカレーなどのアレンジレシピなどの紹介。
実際に販売しているお弁当のレシピ公開は「売れなくなるのではないのか?」という不安もあると思いますが、あえて公表することでお客様が一度試してみようと思ってくれるかもしれません。
さらには、公開したレシピの材料セットを販売してみたり、オンラインで同時にLIVEで料理教室をしてみたりと幅を広げることで、お客様がお店のことを思い出しながら料理ができる、飲食店ならではの体験を提供できるのです。

YouTubeという無料の配信サービスを使いながら、どうやってキャッシュポイントを生み出すかはとても重要なので、やりながら、いろいろな角度でチャレンジしていくことが大切だと思います。

2つ目のゆるフワなLIVE配信。
こちらの動画のタイトルはうちの名物スタッフ久保田(通称くぼケン)をメインにした「くぼケンのカオス酒場」(毎週金曜19:30から配信しています。)

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LIVE配信で新潟の日本酒を紹介したり、新潟の美味しい情報を発信しています。完全な素人が日本酒を飲んで、つまみ食いしながら食レポをするチャンネルです。

この目的は「ゆるさ」。
オンライン飲み会にも限界が見えてきて新たな可能性を考えていた時に、お店のスタッフと飲む(スナック的な感覚で)それも、顔を合わせてではなくYouTubeの配信なので簡単に参加できて、簡単に抜けらる。そんな場があれば、新しいオンライン飲み会の場を飲食店が創れるのではないかと思いついたのが、この企画です。

昔懐かしの、笑っていいともの「テレフォンショッキング」的なコーナーを作り、あえてテレビ電話ではなく音声だけの参加でゲスト出演してもらったり、くぼケンという素人が不器用な手さばきで料理をつくったりと「ゆるさ」と「突っ込みやすさ」をこの場にしっかりと作ることを意識してLIVE配信をしています。あまり真面目になりすぎると、参加者が聞き手だけになってしまうので、それだとつまらない。

だから、「ゆるさ・素人感」・・・お店にいるような、そのままを出してやることで、それがおのずと楽しめる動画になるのではないかと考えています。この酒場を参加者が気軽に楽しめる場にすることに加え、次のステップとしては毎週紹介する食材や日本酒を事前に告知し、配信と同時に同じお酒や料理を楽しむことで、自然と自社の売上にもつながり、参加者の満足度にもつながる仕組みを考えています。

動画配信をやってみての感想ですが、情報発信の新しい在り方を感じました。リアルな場の体験やサービスができない今、オンラインで飲食店のサービスを伝えることでそれが貯まっていき、アーカイブされたものはリアルタイムでも動きがあることに魅力を感じています。

通常の飲食店であれば、1対1の対応でベストなパフォーマンスができたとしても、それはアーカイブできない。ですが、同じことをやっていてもオンラインでのサービスはどんどん広がっていき、1つのチャレンジが100にも1000にもなる可能性がある。
実際に、この小さな一歩に見えるチャレンジでも、オンラインショップで配信初日に6件のオーダーを頂くことができました。

飲食店というノウハウを活かしながら、それをオンラインのサービスへ転換していく。長期戦となるこのコロナウィルスとの戦いの中で僕は少しではありますがこの可能性を感じつつあります。

そして、これからの飲食店の新しいカタチ

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僕は1980年生まれ、この2020年で40歳になりました。

高校を卒業してそのまま料理の道へ。当時はまだバブルが崩壊したばかりで、感覚的にもバブル世代の先輩たちと厳しい修行の中過ごしてきました。

そのあと、少し年を重ねて後輩が増えてきて、管理職を任せられる20代後半には、徹底的なコスト管理がある意味で人事評価に繋がるような世界で(ものすごく厳しい条件)、自分の時間を削って人件費コストをカットしたり、仕入れ業者をある意味でいじめて原価率をカットしたりしてきました。

世の中の流れ的にも大きな変化が生まれていました。20代前半は先輩の為に率先して動き、20代後半は後輩の為に必死でコスト管理をする。28歳で独立した頃には、「飲食業はブラックだ」「働き方改革だ」などと言われはじめ、(この言い方が正しいのかわかりませんが)仕事量を増やしてなんぼだった職人の世界が大きく変わる転換期を経験しました。

僕自身ものすごく仕事の覚えが悪く先輩によく怒られていたので、仕事量を増やして自分の身に沁み込ませるのが一番いいと思ってやってきました。そしてそれをしないように効率的に仕事を伝えるにはどうすればいいかを必死で学んできました。(決して昔の厳しい先輩や、先輩に甘えてた後輩を恨むような思いはなく、その経験があるからこそ今の考え方にシフトチェンジできたし、底力がついたということに感謝しています。)

時代の変化だけでなく、僕の故郷で起こった中越震災、中越沖震災そして、経済が揺らいだ東日本大震災や更には、世界規模で大きな影響が出ている新型コロナウィルス・・・。これらの出来事は、今まで積み重ねてきた僕の大好きな飲食業の根本さえも変えてしまうような、大きな波として押し寄せてきました。

今、僕とこの時代に生きる経営者や管理職は、今まで全くやってきたことのないノウハウを新たに考え、構築しながらやっていかなければならない世代なのです。

先が見えないこの状況。
経営者として、今まで経験のしたことのない先が見えない経済状況、そして売上の大幅な減少、更にお客様を大旗を振って呼ぶことができない環境。地方でも、商業施設や駅のテナントや歓楽街・駅前に位置する飲食店は、三密状態を懸念されることから集客が厳しく、それでもなお頑張って営業を続ける店舗は、感染対策やスタッフのケアをどこまでできるかという点で、見えない敵と戦う不安しかないと思います。

コロナウィルスは敵なのか。
次のステージに立つために、そして今の経営者はある意味で昭和世代の根性論も持っているからこそ考えて欲しいのが「コロナウィルスは敵なのか?」ということ。とにかく困った状況にいるのは確か。でも困ったと言って立ち止まっていても何も変わらない。国の大きな制度も導入するのもいい、でもそれだで助かるというわけではない。
このコロナショックという現実と、どう向き合っていくか、ということをスタートしなければいけないのではないかと思います。

そして、次のステージへ。
日々変化する状況の中に、きっとなにかしらのヒントがあるはず。それを読み解く力が試されていると思います。「想像力」をフル活用して現実をみるのではなく、未来志向で物事を捉えることが大事です。

僕たちはお客様にどう喜んでもらえるかという提案をしてきました。今後はそれだけでなく、「お客様の未来のために、どんなサービスや商品が必要なのか」それを提案していかねばならないのかと思います。経済はニーズに対して動きます。ニーズを創っているのは情報であり、商品であり、お店です。それを創っているのは我々経営者です。

だからこそ、なにを提案してどのような社会を創っていくのかの創造力が必要だと思います。経済が社会をつくり、地域をつくる。だからこそ僕らは何を売るのかが重要で、それを判断する力が試されています。これだけ厳しい状況ではありますが自社だけの利益だけを考えず、地域の未来を創る会社、地域に利益を還元できることこそ今後必要になってくる。

短期的な乗り越えなければいけない壁を捉えることと、長期的なビジョンをしっかり持つことが経営者そして会社としての軸になると思います。

ここまで僕が説明してきたことは、「短期的な壁」に対する解決のヒントだと思っています。参考になるものがあれば、即チャレンジしてください。立ち止まっている暇はありません。今は考えるより実践が効果的、失敗したらすぐ辞めればいいだけです。

僕たち世代は、ある意味でとても不幸だなと思うこともあります。これだけのことがこの10数年で起こっているんですもの。なかなかないですよ。
でも、だからこそ大きな気づきがあった世代でもあります。

僕は、様々な経験を受け止め、悩み苦しみもがいてきたからこそ、今こうしてこれだけのピンチな状況でも前を向いて進んでいます。料理人は想像力が大事。きっと料理に携わっていた人たちはたくさんの想像力をもっているはず。今こそ「食」という力が試されている時。僕は食の力を信じています

最後まで長文を読んで頂きありがとうございました。


これで終わりにしたいと思いますが最後の最後のお願いです。
クラウドファンディングに挑戦しています。
4月29日23:59で終わります。

もしSUZUGROUPの活動に共感して頂けたら、最後のご支援をお願いいたします。どの会社、家庭も大変なのはわかっています。

ですが僕は経営者としてではなく、いちSUZUGROUPのファンとして、この会社の取り組みが次の世代に重要な存在だと思っています。目標は達成しておりますが、まだまだ足りない状況です。ぜひご支援頂ければ嬉しいです。

そして、この壁を乗り越えたときには、地方の飲食店の新しいカタチをSUZUGROUPが創り、みなさんに貢献することをお約束します。

応援よろしくお願いします!!

SUZUGROUPオーナシェフ 
地域をデザインの力で料理する料理人
sho suzuki

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