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#183 営業部長が言っていた

僕はどちらかというと技術寄りの職歴なので「営業」という職種についてあまり詳しいわけではないけれど、
数年前に とある営業部長さんと一緒に仕事をさせてもらった時に、確かに!と感じたことがあった。


■絶対に

それは年度初めに僕が計画を発表していた会議の最中だった。”補佐役”としてその営業部長さんが会議に同席していて、そして最後に
「フォーカスして追いかければ絶対に結果はでる」
と言った。

絶対に、という言葉はビジネス上ではいかにもキナ臭くて、それこそ部長職ともなれば使う人はいないのだが、それ故あえてその言葉をチョイスしたように見えてとても記憶に残っている。

そして結果は、出た。


■攻める

営業という職種は難しい。どう難しいかというと、意識を相当高く持たなくては知らぬ間に受け身になっているからだ。
つまり誰かに何かを頼まれて、それをこなすだけで日々過ぎていく状態。

本当にあっという間に1年が過ぎてしまう。

それに対し、
狙いをしっかり定めて、それに順じた行動を心掛けると、少しづつだけど攻めの姿勢が出てくる。
そしてこれが刺さるところには、刺さる

”刺さるところには”というのが何とも心もとなくて心配になるが、実はこれが良い。
こんなことがあった。


■捨てる(捨てられる)

ある商材があった。そしてその商材を持って行くと必ずこう言われた
「○○(他社の同類商品)の方が安いよ」
セールスにおいて金額的な劣勢は致命的だ。興味があるから紹介してと言われて駆けつけて、あっちの方が安いよ、と言われればテンションも下がる。
メンバーの誰もが「だりーな。これ売れないでしょ」と口に出さずとも思っていたに違いない。

売る側は「値差」というナタを振りかざされるととても弱い。しかし、冷静に整理すると安いあちら側の商品と、安くないこちら側の商品を比べると「品質」それから「カスタム性」という点で優れていることが見えてきた。

しかしここで、「だからウチのは高くてもしょうがないんです!」と言ってもこれではダメだ。

ここでフォーカスの話が出てくる。

この品質、このカスタム性があるからこそ使ってくれそうな業界はどこだ?と、まずはそれを内部でディスカッションして2つの業界に絞った。
そして、
そこを攻めていく計画を立て、それ以外の引き合いは全部捨てることにしたのだ。

引き合いがあってもそれはお断りし、その代わり(引き合いが無いのに)ここだと思う業界には積極攻勢に出た。
非常に勇気のいる決断だったけど、そこで営業部長の言葉だ。彼はあえて”絶対に”という言葉を使い、我々に気持ち良く退路を断たせてくれたに違いない。


■契約

業界を絞った時、ここが契約してくれたら良いね、と言っていた会社から大きな契約を取ることが出来た。
”捨てて”、”攻めて”からたった1年の出来事だった。営業部長の言う通り、注力したら結果が出た。

出来過ぎの展開だったけどポイントはいくつかあったと思う。

まずは攻めの考えを持ったことで売る側が疲弊しなかった事。これまでは引き合いがあれば全国どこへでも行き、そして疲れて帰って来た。それが自分たちの望むところにのみ行くことが出来るのは大きな変化点だった。

そして、売る側がポリシーを持っていればおのずと発言にも力が入り、説得力が増したというのも大いにあると思う。
セールストークだけじゃない。「○○の方が安い」と言われたとき「確かにそうですね。御社の場合は○○を採用された方がコストも抑えられて良いかもしれません」と素直に言うことが出来た。面白いことにこの肯定が更に我々の信頼感を増す。

それからもう一つ大きな変化点だったのが、ポリシーを明確にしてブレずに発信したことで、それが外部に伝搬し仲間が増えたことだった。

実際に大きな契約を勝ち取った時も、この仲間の存在が大きかった。彼らは僕らがターゲットとしていたその会社の担当営業だった。担当と言えば聞こえは良いが実態は御用聞きのようになっていて攻め手を欠いていたわけだ。

そこで我々の商材を聞きつけて一緒にやらないかと提案してきた。それからは素晴らしかった。水を得たように動き回り、僕らを誘導し、わずか1年で目的達成までこぎつけた。
彼らとしては”担当”としての日頃の成果を感じただろうし、こちらとしても「売れるわけねぇ」と思っていたものが見事な燃料になったのを目の当たりにして大いに驚いたのだ。


■何か一つで良い

その気になれば結果はでる。愚痴ったり諦めたりするのはまだ早い。
捨てるのはそれそのものではなく、どっちつかずになっている曖昧な状態だ。

何か一つに注力して、それに対して自信をもって行動する。そうすれば絶対に結果は出ると営業部長は言っていた。




本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!

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