【週刊ユース分析】セレッソ大阪U-18と風間改革を改めて調査!!
僕はこれまでU-18年代の過去10年間の戦歴を数値化し、順位付けを行ってきた。その中で特に目を引いたのが関西勢の強さ。
京都サンガ、ガンバ大阪、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸の関西4大ユースはいずれもトップ10に名を連ねる。
その中でも、特に大阪は強い。
ユース勢に加えて履正社がプレミアリーグに昇格したほか、阪南大高、大阪桐蔭、それからプロ多数輩出の興國高と、高体連勢も全国トップクラスがズラリ。
僕は2019年の時点で下の図を根拠に2種のサッカー王国は大阪であると結論付けた。
(ちなみに静岡は3位)
そんな大阪のトップオブトップであるセレッソ大阪U-18が今もなお進化を止めず、とんでもなく強い。
この流れは当然U-18だけにとどまらず、2022年の夏にU-15、U-18、それからU-18女子と3カテを制したのは衝撃的だった。
そんなセレッソについて改めて調査してみようと思う。
まずはいつものコチラから。
■プレミア10年間の戦歴
当然ながら降格経験は無く、全体の4位と超強豪。
2014年には中山雄太(ハダースフィールド/英)、上島拓巳(柏)、伊藤達哉(1.FCマクデブルク/独)らを擁した柏ユースを破って日本一に。
この時の中心選手は、庄司朋乃也(金沢)、岸本武流(清水)などでした。
近年は降格の危なさは無いものの、優勝争いからは遠ざかっていたわけですが・・・今年度の躍進の裏にあの男の存在あり、です。
そう、
風間八宏 セレッソ大阪スポーツクラブ技術委員長 就任。
2021年1月の出来事でした。
■風間改革とは
今回はサカダイさんのコチラの記事を参考にさせていただいた。
風間ワールドと言えば“止める・蹴る・運ぶ・受ける・外す”の基本動作を高いレベルで徹底的に求めるというもの。
現在、国内最強といえる川崎フロンターレや、昨年ルヴァンを制した名古屋グランパスの選手個々の質を見ていれば下地としての風間時代があってこそ、というのは説明不要。
監督としては名古屋時代のJ2優勝が唯一のタイトルですが、奇麗な花を咲かせるための土壌づくりのプロといったところでしょうか。
本当に職人肌な方なのだと思います。
個人的にはフジテレビ「すぽると」のマンデーフットボール時代に若き内田恭子アナや本田朋子アナが噛みまくってる横で冷静沈着に解説をこなす風間さんが好きでしたね(笑)。
ニッコニコのアナからの「マンデ~」の振りにあんなに抑揚のない「セレクション」をかませるのは風間さんぐらいですよ。まさに職人の立ち振る舞い。
そんな下地作りのプロが「育成」に本腰を入れたら・・・そりゃ結果は出るでしょうよ。と思って注目していましたが、思ったよりもすぐに現れましたね。さすがです。
■頭を使う技術、ボールを扱う技術、体を動かす技術
僕が風間さんの哲学の中で一番好きなのは、頭を使う技術というのをしっかりと言語化されて(しかも一番先頭に持ってきて)徹底していること。
鬼のようなスプリント、鬼のようなハイプレスはJ1リーグにおいて勝つための必要最低限の要素になっていますが、
それら誰もが見てわかる肉体面の強さは、鬼のような判断の速さがあってこそ、というのを気付かせてくれます。
ジュビロ磐田の鈴木政一監督も、「判断の質」というのを良く言われてましたけど、
その哲学をメソッド(トレーニング)に落とし込み、組織横断的に浸透させ、成功体験を積ませて選手を一段高いところに連れていけるのが風間ワールドではないかと。
それを象徴するSOCCERKINGさんのこちらの記事もかなり面白い。セレッソが3カテ制覇を成し遂げる9か月前の記事ですね。
今回の偉業は完全にこれのおかげなんじゃないかと。「スペトレ」。
やってますね。人材交流。
特筆すべきは「技術を追求するうえで女子選手でも、小学生でも、相手が誰であれ妥協しない」ということ。
身体能力的にキツイ環境の中で同じものを求められる。そりゃ頭使いますよ。重心のずらし方とか、体の向きとか。
こうしてまず女子が結果を出して、次にU-15が結果を出して、そして満を持してお兄ちゃん(U-18)が結果を出したわけですね。
■注目選手たち!!
もう今更挙げなくても・・・な選手が多いのですが恒例なので。
とその前に、17歳でトップ昇格し既に結果を出しているFW北野颯太選手についてはU-18所属ではないということで今回は除きます。
FW 木下 慎之輔(セレッソ大阪U-18/3年)
11節(リーグの半分)を終えた時点でのWESTの得点王。2種登録もされています。
わたくし知らなかったんですけど、木下選手 夏休みまるまるブラジルに居たんですね!サッカー留学をしていたとか。どおりでクラブユースであまり名前を聞かなかった訳だ(汗)。
トップに北野選手がいて、それから木下選手がいて、U-15時代はどんだけ点取ってたんだ!と思いましたが、
面白いのは木下選手が点を取りだしたのはここ数か月の出来事であるということ。ライバルチームからしたらポッと出の「あいつ誰やねん!」状態。まさに漫画の世界。
きっかけは、サイドハーフ → センターフォワードへのコンバート。
フォワードって少年時代から一番サッカーが上手い子がやってきて、大人になってからもその才能が認められた人だけが残る、みたいなイメージがありますけど、
他からそこにコンバートされて爆発的に開花するパターンもあるんですね。びっくりしました。
そしてそして、このコンバートの裏にはやはり風間さんあり、でしたね。
MF 皿良 立輝(セレッソ大阪U-18/2年)
得点王・木下選手の11得点を追いかけるのは誰だ、と見ていくと10得点でピタリと追走しているのがこの皿良選手。しかも2年生の中盤の選手。
ザ・レフティ。名前もサララとカッコいいので映画のタイトルになりそうです。
『左利きのサララ』 近日公開
冗談はさておき、とにかく上手い。パスもドリも何でもできてシュートも打てる。2年生ですか(ため息)、セレッソアカデミーは本当に人材豊富です。
絶対に覚えておくべき選手ですね。
DF 石渡 ネルソン(セレッソ大阪U-18/2年)
高校2年生ながら2種登録されており、飛び級で日本代表U-19候補に選出される逸材。
トップチームと練習も重ねているようで(対峙する)清武選手あたりからかなり良い刺激を貰っているみたいですね。
ナイジェリア人の父を持つ体格に恵まれた選手がこの年齢で経験を積んでいることは日本代表を鑑みても大変頼もしい。
セレッソ的にも瀬古、西尾のアカデミー出身CBコンビの活躍が記憶に新しいだけに注目せずにはいられないでしょう。
■ヤンマーとハナサカクラブ
ところでセレッソアカデミーの大きな特徴として、ハナサカクラブというのがあることを知っている人はどのくらいいるのだろうか。
ハナサカクラブとは育成専用のサポクラみたいなもので、会費はクラブ運営費とは完全に分け、育成組織の活動をサポートするためのみに活用されるというもの。
パトロン精神を掻き立てる様はまるでアイドルグループやキャ○クラの世界観。いやしかし、
これって”支援を受けている”という感覚を、まだ未成年の選手たちが肌で感じるという点でとてもよい仕組みだと思うんですよね。
地域の大人たちのお金で海外遠征とかしてたらそりゃ感謝も大きくなるでしょう。
将来的には、
推し選手がトップチームに上がったり移籍金が入ったりしたらその一部がペイバックされる、みたいな仕組みがあったら凄いかもしれません。
投資対象っぽくなっちゃうので未成年には向きませんか。。。(汗)
いずれにせよ、セレッソユースOBといえば
柿谷曜一朗、丸橋祐介、山口蛍、扇原貴宏、一森純、杉本健勇、南野拓実、瀬古歩夢、西尾隆矢、藤尾翔太、松本凪生、北野颯太・・・とまぁ柿谷世代以降を挙げても有名選手ばかり。
見事に花咲いています。
あと、もうひとつだけ特筆したいのが母体であるヤンマーの存在。
ヤンマーと言えばトラクターなどの農機具でお馴染みなんですが、このビジネス的発展地として目しているのが東南アジアや南米地域。
ユースの木下選手がサッカー留学したブラジルのレッドブル・ブラガンチーノ(元セレソンのパウリーニョやセルジオ越後が所属していた!)は、実はヤンマーが南米進出の足掛かりで提携したチームなんですよね。
また、東南アジアへも同様にビジネスの足掛かりとしてサッカーを結び付けていて、新たなファン創出を目論んでいるんですよね。
ヤンマー恐るべし。(羨ましい)
■最後に
土壌(選手層の厚さ)、そして一日の長がある育成の仕組み、母体であるヤンマーとのビジネス的戦略の一致、
そしてそこに風間八宏の存在。
清水商業出身の風間さん。そしてそれを連れてきたのがやはり東海大一出身の森島社長ということで・・・。
静岡出身の私としては、あからさますぎる流出劇にハンカチを口にくわえて引っ張りながら「ヒーーー!!」となっている状態です。
プレミアリーグに話を戻すとジュビロ磐田U-18もエスパルスユースもセレッソだけには負けたくない!って感じですね。
ちなみに前半戦は磐田も清水もセレッソにはやられておりますので・・・次節は絶対に勝たなくてはいけません!!
いずれにせよ、
セレッソユースはもともと強豪でしたが、まだまだ進化を遂げていることが良くわかりました。学ぶべき点は大量にありましたね。
この記事はセレッソサポさんというより、他サポさんにこそ読んでもらいたい内容となりました。
それだけ、セレッソ大阪のアカデミーは大注目なのです!!
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
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