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【週刊ユース分析】ガンバ大阪ユースと森下時代を改めて調査!!

履正社高校の絶対的エースであり、僕も今年度のプレミア開幕前からかなり注目していた名願(みょうがん)選手が川崎フロンターレに内定しましたね。

独特のドリブルを武器にゴール前で決定的な仕事が出来るそのスタイルは川崎の先輩である三笘選手を彷彿とさせるんですが・・・彼の場合決してそのインスパイア系ではない、というのを明言しておきたいところ。
名願選手自身「はじめて見たときに”自分に似たタイプ”と感じた」と三笘選手のことを語っており、”2世”と呼んでしまうのは止めた方が良いかもしれません。

冒頭からなぜ川崎と履正社の話をしたのかというと、他でもありません。
名願選手が、超攻撃的スタイルを代名詞とするガンバ大阪のジュニアユース出身だから。
しかも彼だけではありません。今年のプレミアWESTには静岡学園に高橋隆大という強烈な個性もいるわけで。言わずもがなだが彼もまたガンバ大阪のジュニアユース出身。

ガンバのアカデミー出身選手を挙げだしたらそれだけで数チーム組めてしまいそうなのはJリーグファンなら共通認識だろう。ユース時代からその名を轟かせていた宇佐美貴史堂安律食野亮太郎だけではない。本田圭佑家長昭博鎌田大地など、ジュニアユース出身者を含めたら本当にキリが無い。
しかも、
ここで特筆したいのが彼らが皆、揃いも揃ってエリア近くでひと刺し出来る攻撃的スキルを持った選手ということではないだろうか。

恐るべしガンバのDNA。彼らの2種の歴史はどんなものだろうか。
それではいつものようにプレミア10年間の戦歴からおさらいしてみたい。



■プレミア10年間の戦歴

プレミア創設当初は関西リーグにいたため、実質ポイント加算されているのは8年間だけなのですが・・・それでも堂々トップ10入り
さすがです。

2015年にはWESTを制覇。
チャンピオンシップでは町田 浩樹(サン=ジロワーズ)、垣田 裕暉(サガン鳥栖)らを擁した鹿島ユースに0-1で惜敗しますが、この年代からは初瀬 亮、市丸 瑞希、堂安 律らを輩出してますね。
そりゃ強いわけだ。

ここ4年間(2020を除く)いずれもトップ3と安定しており、そろそろ初の日本一を成し遂げたいところ。


■上野山さんから森下さんへ

ガンバユースと言えば上野山(うえのやま)信行さんという名物指導者がいらっしゃいました。
トップ昇格し、栄光のガンバ時代を支えた宮本恒靖稲本潤一新井場徹橋本英郎大黒将志二川孝広らはみな上野山氏の教え子たち。

コチラのnoteでも記したように、上野山流の指導ポイントを私なりにまとめると、「予測、予知能力」そしてその下地となる「考える習慣」をとても大切にしている方だというのが読み取れます。

前回まとめた風間さんの哲学と共通するものがありますね・・・というか良い選手というのは考えながら強く行ける選手、と言い切れるのではないでしょうか。

いわゆる頭のいい選手というのは一つのプレーの中に、次のプレーだったりフィニッシュまでが見えている。それを一番顕著に垣間見るのがファーストタッチ。上野山さんはガンバの選手にそのクオリティを植え付けた張本人でした。

ユース指導者の代表的な存在


そんな上野山さんですが(恐らく熱烈なスカウトを受けたのだと思うのですが)2020年に讃岐へ移籍。
後任としてガンバユースを任されたのが、ジュビロ磐田サポにも馴染みの深い森下仁志氏でした。

森下さんについてはコチラの記事がとても面白かったので参考にさせていただきます。


我々(ジュビロ磐田サポ)にとっては苦難の時代を回顧させる森下さんの監督時代。今思えばあの頃の磐田を新任監督に任せるのは少し酷でした。
その後 京都、鳥栖、群馬とトップチームの監督を渡り歩きますが、いずれも良い時期はありませんでした。

そして古巣であるガンバのアカデミーを担当。ここで指導者としての才能を開花させるわけですけど、記事にはこんなコメントがありますね。

「その土地の人間味が出るのがサッカー。大阪はストレスがないです。自分の色に近いんでしょうけど」

テレビの「噂のケンミンショー」とか見てても、大阪人の気質って日本の中では独特ですよね。あの負けん気が個人的にはかなりサッカー向きだと思っているんですけど、森下さんの指導に合ったようですね。

記事の中にかなり好きな一文があったので紹介します。

「ボックスに近づくほど、ウチの選手たちの良さが出ますね。(G大阪のユースは)基本、そういう練習が多いし、そこは意識してやっています。サッカーはまず個人があって、次にグループ、チーム全体があるんですが、とにかく個のところでボールを奪える、はがせる、ゴールを奪える、というのが“大阪の血”なんじゃないかと感じるんです」
THE ANSWER より抜粋

全く以って同意。そしてその血は静岡県の西部、つまりは磐田辺りにも欲しい。素早い判断をしながら強く当たり、速く走るのってそもそも個人的な技術が無ければ到底できない訳でして。
個人があってチーム全体があるという大前提は、まさしくその通りだと言わざるを得ません。


あとやっぱりここが好きですね。

判断、ポジショニング、動き方、技術は重要ですけど、一番は『俺のところに出せ』っていう心意気で、そこを意識したトレーニングを自分はしています。
THE ANSWER より抜粋

中村憲剛さんが解説の中で「受けるのを怖がらない」と良く言うのですが、それはつまり「オレのところに出せ」と同義であって、やはり最低限このくらい突き抜けてないとプロでは通用しないのかもしれません。
メンタル的にも、技術的にも。



■注目選手!!

ベッタベタのベタですが、やはりこの選手を挙げずにはいられません。

中村仁郎 (MF ガンバ大阪ユース →ガンバ大阪)

2021年のユース時代からむちゃくちゃ上手かったですけど、しっかりJ1でも通用していますね。まさに「ボールを受けることを怖がらない」選手。何度も受けて、完全に攻撃のリズムの中心になっていますからね。

ここのところ緊急補強の煽りを受けてベンチ外が多くなっていますがインパクトは抜群。
FC東京の松木選手、ファジアーノ岡山の佐野選手と並べて今シーズンの3大高卒ルーキーと言っても良いのではないでしょうか。



■最後に

指導者にはどうやら、トップチームの構築に向いている方と育成に向いている方がいるようです。

現在ガンバユースを率いる森下さんは紛れもなく後者。
また讃岐に渡りトップチームの監督に就任するも、シーズン途中で解約となった上野山さんも育成向きの指導者なのかもしれません。

柏の育成基礎を作った吉田達磨さん(現甲府監督)、浦和の教え子を多く輩出した大槻番長(現群馬監督)、それからそれから風間さんも育成向きの指導者かもしれませんね。

この違いが何なのかは別のnoteでじっくり分析してみたいと思います!





本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!



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