【エッセイ】一番好きなスタバのお店はどこですか？
理由はわからないが、私はスターバックスコーヒーが大好きだ。学生の頃にキャラメルフラペチーノにハマったのがきっかけ。
あれから何年もたった｡年を重ねるにつれて、飲み物の好みが変わった。クリームやシロップがたくさんのった甘いものから､ホットコーヒーやカフェラテといったシンプルなものへ…｡
オーダーするものは変わったが､相変わらずスタバ通いは続いている｡
友人や家族と一緒でも一人でも気兼ねなく過ごせる雰囲気や、どこのお店に行ってもスタッフが明るくて親切なところが、何度も足を運びたくなる理由なのかもしれない。
また私は､旅先でもスタバを見つけると立ち寄っている。知らない土地でも､ほろ苦いお馴染みの味のコーヒーを飲むと、昔から知っている人に再会したような、ホッとした気持ちになれるからだ。
どこに行ってもスタバがあるものだから、日本全国にどのくらいお店があるのか調べてみた。すると、1685店あることがわかった。
(スターバックスコーヒーHPより)
中には「コンセプトストア」と呼ばれる､その土地ならではの店舗や、ドライブスルー､高速道路のサービスエリア､病院内など至るところにお店がある。
どのお店もスタッフの接客や、居心地の良さは変わらない。
それを踏まえた上で「一番行きたくなるお店は?」と聞かれると同じ県内にあるF店と答えている。
F店は、私が住む仙台から北へ1時間ほどの街にある。内陸にあり、新幹線の駅がある地方都市だ。F店は駅周辺の市内中心部にあるイオンの向かいにある。
今までなぜ行きたくなってしまうのかがわからないでいた。
コンセプトストアなど特徴がある店でもない。一般的な郊外型の店舗でドライブスルーがある｡
私が住んでいるところでも同じようなところはある。
なのになぜか､行きたくなってしまう。
特に今の雪が積もる時期に…｡
どうしてだろう｡
なぜ、車で一時間かけて来たくなるのだろう…そんな想いが頭をよぎりながら、昨日もドライブがてら、来てしまった。
窓際の席に座りコーヒーを飲んでいた。窓の外には、先週降った雪が溶けずに残る歩道と街路樹の南天､そして向かい側のイオンが見える｡ありきたりの東北の市街地の風景だ。
けれど、どこかで見たことがあるような懐かしい景色だった｡
ふと思い返すと､生まれた街の景色に似ていることに気がついた。
私が生まれた岩手の内陸の街は、新幹線の駅があり、イオンがあり、冬は雪景色が当たり前…という場所。
生まれただけではなく、祖母の家があったので子どもの頃､長期の休みはその土地で暮らした。
冬休みには、新幹線で行った。年が明けると､祖母や従兄弟と地元のイオンに初売りに行った｡雪がたまった側溝に足を滑らせてはまり、膝から下がびしょびしょに濡れたこともあった。そんな思い出がよみがえってきた。
今となっては祖母も亡くなり､行く機会はなくなったので、あの頃を思い出すと幸せと切なさが入り交じったような気持ちになる。
そっか、私がF店を一番好きなのは､窓の外の景色が生まれた街の風景に似ているからなのか…
そんなことをふと、思ったのだった。
もちろんF店も、店員さんの接客やサービスも気持ちよくて､居心地が良いお店である｡だからこそ、なおさら行きたくなるのだろう。
みなさんは、どこのスタバのお店が好きですか？