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つくばラーメン街道

今からおよそ40年前、茨城はつくばで万国博覧会があった。工期が遅れたり偽木造建築物が作られたり、ガス爆発を隠蔽したりする事は、無かったように記憶している。子供の頃の事だから分からないが。

開催に合わせ、交通渋滞の解消を狙い(このあたりが40年前の発想)、ウサギやタヌキしかいない田舎に片側三車線の巨大バイパスが建設された。科学万博の為ということから、サイエンス大通りと名付けられた(同時期に開通したもう一つのバイバスはエキスポ通りとされた。茨城県命名、なんという安直な)。正式には剣道19号取手つくば線ということになっている。

だが今一番相応しい呼び名は、つくばラーメン街道、である。それまでほとんどラーメン屋など無かったこの地域だが、今や道沿いに10軒以上の店がしのぎを削っている。喜元門や洋介といった「ニューウェーヴ系」、山岡家や大勝軒といった「定番系」、角ふじや五右衛門などの「独自系」など百花繚乱。そのどれもがなかなか個性的であり、競合というより共存している関係にあるのが面白い。

その中でもトップランナーは、間違いなく三水であろう。「つくばとんこつラーメン」を掲げ誕生したこの店は、それまで地元にはなかった背脂ラーメンと、朝4時まで営業というスタイルで若者を中心に熱狂的な支持を得た。ラーメン不毛の地とも思われた場所での成功は、その後多数のフォロワーを呼び、現在のラーメン街道と呼ばれるまでに成長してきたのである。

三水のラーメンは、今やオールドスタイルである。スープは背脂強く、濃いめの味付け、しかもぬるい。麺は非自家製。チャーシューもたいしては旨くない。それでも、である。それが、と言った方が正しいかもしれない。食べたくなるのである。無性に。

私の家族はみな「三水中毒」である。私や弟たちが実家に帰省し何日かいると「そろそろ三水行くか」となる。そして食べて「あー味変わんないなぁ」とつぶやく。激うまとかじゃないんだけど、なんか安心するというか、そんな感じなのである。

つくばラーメン街道、食べ歩き(クルマじゃないと無理だけど)をするなら、三水は外してはならない。味は好き好き、保証の限りではないが。

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