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春の魔力


春ですね〜🌸

どこからというわけでもないけれど、
最近ものすごく春を感じますね。

私は季節で言うと、本当は秋が一番好きです。

春も好きっちゃ好きなんだけど、
私はやっぱり秋が落ち着く。体に合っている。

でも今は春なので、今日は春の話。

春が好きだけど、春がちょっぴり苦手なお話。


全ての始まりの季節


春は、全てのものが一斉に動き出す季節。

新年度も、新学期も、
植物の芽吹きも、冬眠からの目覚めも、
新しいものは何もかも、春にやってくる。

それぞれが輝かしい目標を新たに立て、
みんなが希望に満ちている。

春の陽気は何か素晴らしいことを予感させ、
人々はみんな、これから始まる新生活への期待を
大きく膨らませる。

でも。それだけだろうか。

春は、希望しかない季節だっただろうか。


私の場合、
春に感じる感情はそれだけではない。

いや、あるいはみんなそうなんだろうと思う。
周りの人達もみんな、本当は
同じ気持ちを抱えていることを肌で感じる。

私は春になると、
ゲームをしているかのような錯覚を覚える。

みんなが腹の内を隠しながら、
ニコニコと笑顔を交わし合うゲーム。

春には、ついこの間まではその気配すら感じなかった
春特有の新しい風が吹き始める。

この風は、新鮮さという形で
我々に良いように作用することもあるし、
ゾワゾワと嫌に体を撫でることもある。

どちらにせよ、
この新しい風を意識することはタブーだ。

春は、この新しい風が吹いていることに
気付いていないふりをしながら
今まで通り生活をしなければいけない。


私は春になると、
そういう謎の大きな圧力のようなものを
肌で感じるのである。


新しい環境となり
みんながお祭り状態になっているような、
でもそれを隠さねばならぬような、
みんなが同じ気持ちなのに
それを口に出して言ってはいけないような、
そんな異様な雰囲気を春に感じてしまうのは
私だけなのだろうか。


ニコニコと笑顔でお互いを探り合い、
牽制し合ったかと思えば、
この人はどう自分の日常を変えてくれるだろう?
と都合良く相手に期待する四月。

恐る恐る何かを覗きこむように、
変化をさらに探し求める五月。

それはまるで、
ずっとお互いを気にしているのに
いつまでその素振りを見せないでいられるか、
というある種のゲームのよう。


相手の腹の内を覗き込みたくてたまらないのに、
笑顔の裏で相手がどう出るかをじっと観察し、
自分がどの位置につくのが正解か
瞬時に考えを巡らせる。


まるで人狼だ。

しかも、このゲームのややこしいところは、
この心の奥底の危うい感情を隠しながら、
新しい環境への希望に満ちているふりをしながら、
行わなければならないところだ。

どんなに不安でも、憂鬱でも、
希望に満ち溢れるこの春という季節に
笑顔を絶やすことなど許されない。

仮に誰か一人がこの不安に潰されて
笑顔を失ってしまったら
このゲームは途端にゲームオーバーとなる。

みんながそれに呼応するように
潰されてしまうから。


変化を恐れているくせに、
一方ではみんながそれを渇望している。

春という季節は、人間のその矛盾に満ちた欲望が
一番顕著に現れる季節だと思う。

長い冬が終わり、
暖かくなることが人々を陽気にさせ、
それを助長しているのかもしれない。

そりゃあ疲れるわけだ、と思う。



厳しい冬を越し、
一年をかけてようやく自分のものとなったはずの
見慣れた景色が、春の新しい風が吹くことで
たちまち一変してしまう。

それは、みんなが恐れていることでもあり、
求めていることでもある。

春の風は、強制的にそれを執行する。


「また一からやり直しだ」

この諦めにも希望にも似た感情が、春にはある。

だから私は春が好きで、ちょっぴり苦手なのだ。


今年も、ワクワクと少しの憂鬱と共に、
春がやってくる。



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