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自分を見つめて!「カニカマ人生論」

私はカニカマが好きだ。
程よい価格と、鮮やかな見た目。
そして、本物のカニかと思うような完成度。
ついつい手に取ってしまう。

note読書の秋企画でも「どの本を読もうかな~」と、タイトルを見ていたら「カニカマ人生論」という文字を見て心は決まった。
これだ。

いったいカニカマ人生論とは何なのだ?

内容を知らない間に読み始めたのだが、最初のページに書かれていた。

ーこのエッセイでは、背中を押すどころか、むしろヒクような話もたくさん出てくることだと思います。なにせタイトルも、「カニカマ人生論」。ここには本物の「カニ」の持つ旨味こそありませんが、B級グルメだからこその味わいや、ちょっと情けないテイストも芸のうち。気ままに楽しんでいただけたらと思っております。
引用「カニカマ人生論」P11より

なるほどなるほど。
本物のカニを真似しているのを芸と対比して、著者の清水ミチコさんを表しているのだなと思った。

テレビでお見かけする大ベテランの清水ミチコさん。
その幼少期は信じられないほどに気弱な少女だったことがつづられている。
え?うそ?信じられない。

それと同時に、どうすれば人を笑わせられるのか、ということを幼少期から考えていたという。
それもまた、え?うそ?信じられない!

エッセイの随所に遠慮がちな女の子が見え隠れしつつも、ちょっとどこかが突き抜けている。
自分の日常とも重なりそうなエピソードをつらつらと、やっぱりユーモアを交えて書かれていた。

何度も本を抱えてわっはっはっと大笑いしたり、くすくすと小さく笑ったり、にやにやした。

言葉の選び方が絶妙で、なんて軽快で楽しい文章なのだろうと思った。
読めないような難しい言葉は一切なく、誰でも読めて、時々ハッとするような美しい言葉もたくさんあった。

次々と手がページをめくってしまう。
なにこのエッセイ!?私もこんなの書いてみたいよ(失礼な!!)と思わせられるような、不思議な感覚になりました。

とても近い所に人を感じるような文章。
いいなぁ。

きっと小さなころから好きだったのだろうなというのも垣間見られた。
誰かを笑わせるということは、誰かを喜ばせるということだ。
それはお笑いでも、文章でも一緒なのだなと思った。

私がいちばん心に残ったのは「どんな人だって幸せにはなれないようになっているのよ」という風な言葉をミチコさんがうけたところ。
ふつう、人が落ち込んでいるときには「努力すれば報われるよ」とか「明日を信じて頑張りましょう」といった軽い感じの励ましの言葉がくると思っていた、のに。

幸せにはなれない?世の中はうまくいかないようにできている?
そんなー、希望がなくなっちゃう。
だからこそ、ちょっとうまくいった事、予定通りにできたら、うんと喜ぶんだ、という言葉が何年も忘れられないと。

確かに、自分がうまくいっていない、なんだかつまらないと感じているのは、自分以外のみんなが幸せで、うまくいっていると思っているからだ。
でも、本当に幸せかどうかなんてわからない。

みんな本当は上手くいかないことだらけで、そんな中でちょっとうまくいったことや、小さな幸せを感じて生きているのだと思うと、なんだか気が楽だ。
けっきょくはみんな人の目を気にして生きているだけなんだ。



私としてはカニカマの原料のスケソウダラは、何にでも変身出来て素晴らしいと思っている。
毎日蟹は食べれないが、日常にいつもカニカマはいる。
「まるでカニみたい!!」というのが最高の誉め言葉のカニカマ。

誰かと比べてしまう時、あーあ私もああだったらな。
そんな風にないものを求めている時だろう。
ちょっと待てよと。
自分にあるいいものが見えていないんじゃないのか?

だれもがうらやむ華のあるカニに生まれたかった。
そうだとしても、自分は自分で生きていくしかない。
自分の欠点だと思っていることも、見えていなかったいい部分も。
丸ごと愛して抱きしめたい。
そんな風に言えるよう、カラッと明るく生きていきたい。

そんな風に思ったのでした。


ポップも作ってみた!!



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