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新アルバム「BARROCO バロコ」制作内幕話②

  2018年10月。山中湖でのレコーディングから二ヶ月ほど経って、まずはヴォーカル&コーラス録音、田尻有太のエレピの追加録音、三井大生さんのヴァイオリン録音に取りかかりました。場所は代官山Bang On Studio。山中湖でもエンジニアとして参加してくれた喜多野さんに協力してもらい、作業を進めます。喜多野さんはこのあと完成までの長い過程を一緒に進んでくれる事になります。当時この段階ではとりあえず出版を手伝ってくれるレコード会社にプロモーションかけるための行程でした。

 田尻くんは「すべては種子になる」のエレクトリックピアノを被せ、三井さんは「Mandar o Coraçaõ」「百年の孤独」の2曲にヴァイオリンを入れてもらいました。二人とも素晴らしく、数回の録音でOKだった記憶です。

 ちなみにヴァイオリンの三井大生さんは最近JAZZヴァイオリンオーケストラのCDをリリースしました。素晴らしい内容なので是非チェックして見てください。

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三井大生 「I Got Rhythm

 そして、田尻くんは最近「F.I.B JOURNAL DUO×青柳拓次+田尻有太」として作品に関わっています。こちらも素晴らしいです。

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EVERYBODY KNOWS, NOBODY KNOWS/BLIND ALLEY


 僕らの録音は何の問題もなくスムーズに進んだのですが、リリースしてもらえるレコード会社探しが難航します。自主制作でのリリースを視野に入れてレコーディングを進めるのですが、制作費用を貯めながら少しずつ捻出していくと、やはり結構な時間がかかってしまう。作品創りは「勢い」も必要なので、初期衝動が残っている段階でリリースしてしまいたいところでした。

 とはいえ贅沢は言っていられないので作業は進めていきます。「あなたがみてたもの」は当時ライブでもよく演奏していた曲で、一緒に歌っていたツチヤナナミをレコーディングに呼んで、無事に5曲は完成へと進んでいきます。

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 どうにかリリースへの道を模索しながらも、「手元にある5曲だけリリースするのはもったいない」「曲数を増やしてフルアルバムを作る」という考えが錯綜しながら悶々とした日々を過ごします。そんな中、自分の身体に異変が起きるのです。

 ある日、舌に違和感を感じるようになり、火傷のような口内炎のようなものが舌の横にできてチクチクと痛み出しました。痛みはわずかなもので全然我慢できるレベルのものだったので、近所の歯医者に行った時に軟膏薬を処方してもらい、塗ってやり過ごしていたのですが、一向に治る気配がなかったので一応大きな病院で診てもらった方がいい、ということで紹介状を書いてもらうことになります。その病院で事態は急変。「悪性であるかの判断はできないが、処置は一緒なので手術します」つまり舌癌の疑い。「え?え?」と戸惑う間も無いくらい、あっという間に手術入院の段取りが組まれ、2019年7月に手術→10日間の入院となります。ライブも一本中止にさせてもらうはめに。

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10日間の入院。舌が口の中一杯に腫れ上がりました。。。

 舌の一部を切除して、とりあえずは無事に手術終了。退院の翌日からライブでベースを弾くくらい、身体は至って元気でした。舌の経過も順調でしたが、切除した舌の部位から悪性の腫瘍が見つかり、しばらく通院しての経過観察という扱いになるのでした。(続く)


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【10年ぶりアルバムリリース】

予約、試聴もできます → https://diskunion.net/black/ct/detail/1008420239
SuzKen & the Kungo Bongos にて奇跡の生還を果たした男性SSW、SuzKen 。
およそ10年振りとなる完全ソロアルバム『BARROCO 』が完成した。
SuzKen の制作意欲の結晶とも言える一枚がリリース決定!
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前作から10年、男性SSW "SuzKen" の2nd アルバム『BARROCO (バロッコ)』がリリース。
自身の病気やコロナ禍の、長く険しかった制作の過程を乗り越えて、
今ようやく見つけた新しい音の兆しをここに体現した。
10人以上のジャンルを越えたミュージシャンが参加し、制作期間4年以上を掛けて、
作詞作曲からコーラス、ホーンアレンジまで全てを SuzKen 個人がプロデュース。
ここまでの生涯をかけて信じ続けたきた音楽への敬意溢れる、
そして今を全力で走り続ける人全員に捧げたい一枚に完成です。

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