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須坂キラビト vol.11「点と線が輪(和)になれ!板金加工で丸く大きく伸びる企業に」

地域おこし協力隊のーすがお届けする連載「須坂キラビト」は、須坂市に関わるキラリと光る情熱を持つ人をテーマに、活動のきっかけ、これまでの苦労や未来の活動についてもお話を伺います。

第11回目は 伸商機工株式会社の宮川岳洋さんを取材しました!

宮川岳洋さん。
伸商機工株式会社 代表取締役社長。静岡県袋井市出身。
2歳の時に祖母が住んでいた須坂市にUターン移住。
現在2代目として代表取締役社長をつとめる。

【Uターン移住からはじまった家業】

――――はじめまして!協力隊のメンバーが焚火台などでお世話になっており、今回のご縁を頂きました。まず会社について簡単に教えて下さい。

『こちらこそ繋がりが出来て嬉しいです。伸商機工は50年前に父が創業しました。伸商機工になる前は床暖房の販売、メンテナンスをする「伸商設備」という会社からスタートし、住宅への販売がメインでやっていました。しかし、寒冷地であるがゆえに1人で販売・メンテナンスをすることに身体が追いつかなくなってしまいたたむことにしたと聞いています。それから当時の父の友達などの縁があって今の「伸商機工」になったそうです。』

――――随分また違う方向に!“板金“って皆さんのイメージが付きにくいかもしれません。簡単にご説明をお願いします!
 
『なかなか表に出ない仕事なのでイメージしにくいかもしれませんね。板金といっても定義が広くていろいろな仕事があるのですが、簡単に言えば“金属の板を加工する”という仕事です。例えばテレビ、パソコン、電車、飛行機、車、など様々なところで“筐体”として使われていたり、マスク、衣料品、食品、薬、半導体などを作る“装置の部品”として使われることもあります。主役にはなりませんが(笑)』

レーザー加工機

――――いろんなところに幅広く使われているんですね。
 
『まさに縁の下の力持ち、見えない産業の1つなんです。須坂市にも同業者がいくつかあって、それぞれが県内のメーカー協力会に加入しています。受託を受けた仕事の納期に対応できない時にお互いに仕事を振ったりもしますし、業界的には珍しいかもしれませんね。』

――――私の前職時代は“同業”といえばライバルで獲った獲られたの世界でしたからちょっと考えにくいですね。でも、最終的なユーザーに「良いものを届ける」という意味ではとても大切なことのように感じます。

【株式会社鈴木での下積み時代】

――――社長になるまでは何を?
 
『新卒で須坂市の「株式会社鈴木様(以下敬称略)」に就職しました。社会人としてのスタートと家業を継ぐまでの勉強期間も兼ねて取引先だった鈴木さんにご厚意で働かせてもらいました。』

――――鈴木さんでは何を?
 
『本当に今でも感謝しきれないのですが、毎年いろいろな部署を経験させて頂き様々な勉強をさせて頂きました。私も今は採用して雇用する立場に立っていますが、当時鈴木さんが私にしてくれたことの大きさに気が付きました。どんなことをやっても、この恩は返しきれないですね。本当に感謝しています。』
 
――――業界全体を考えて、取引先である方も受け入れて送り出してくれたのかもしれないですね。私自身もこのお話に感銘を受けました。
 
『鈴木さんとは今も取引先としてお付き合いをさせて頂いております。鈴木さん以外にも業界には“この業界を盛り上げたい”という考えの人がたくさんいて面白いんですよ!同じ業界でも競合先っていうよりも“協合先”といった方がしっくり来るかもしれないですね。』

鉄の曲げ加工

―――今、会社の代表として大事にしていることはありますか?
 
『まずは社長として“しっかりと方向性を決める”ということ。出来るだけいろいろな方向に行けるように丸くいたいのですが(笑)今は多様性の時代でいろいろな考え方があるし、その中で意見の食い違いや、合う合わないは出て来るけど、私としては“方向性を示し導く“ということを考えています。もう1つは”種まき“を怠らない事。現在、近隣の小中学校や高校などで板金に関することを授業を通して周知したりしています。会社の存在意義って世間から必要とされることだと思っていますし、地域の声を拾ったり、私の授業を受けた子たちが将来会社に入ってくると嬉しいし、何か別の事が生まれるかなと思っています。』

――――面白いお考えですね。
そんな小さなニーズを拾っていく活動もはじめたとか?改めてこちらも教えて下さい。
 
『今まではBtoBに重きを置いてきたのですが、ある勉強会に参加しているうちに私たちのような多品種小ロットの業界でも、もっとBtoCに力を入れた方がいいと考えるようになったんです。もともとお客様から図面を頂ければ“商品”にしますという会社だったので、それが個人間であっても変わらないということを学びました。そこで立ち上げたのが「まるのび商会」という部門です。』
 
――――名前の由来について教えて下さい!
 
『元々の会社の“伸”を使って、丸く伸びるということで“まるのび”です。私自身、尖っていたくないので(笑)個人のお仕事の“点”と私たちの“点”が繋がって線になり結ばれて、世界に広がって“輪”になればいいなと思っています。後付け感ありますか?笑』

焚火台
焚火台を折りたたんだ様子

――――いえ、大丈夫です!笑
名前に社長の人柄がすごく出ていますね。実際にはどんな商品を扱い始めたのでしょうか?
 
『板金でレーザー加工機の技術で出来るものなら図面があれば割となんでもできます。今、アウトドアブームで焚火台の依頼も来たりしています。誰でもオリジナルロゴを入れて作ることもできて、須坂市のふるさと納税でも焚火台を扱ってもらってます。円谷プロ公認のウルトラマンの焚火台も結構話題で、小さな企業だからこそできる柔軟さでニーズに応えたいと思っています。』

ウルトラマンの焚火台
胸につけてるマークは流星

――――確かに、これも板金の技術が成せる技ですね。
そろそろ締めに入っていこうと思います、これからどんな会社を目指していくのでしょうか!?
 
『やはり働きに来てくれる人が楽しめる会社を目指したい。私の身内に障がいのある人がいて、将来的にはそういう人達の自立支援も出来る仕組みも作っていきたいと考えています。私たちは“モノ”作りの会社なのですが、そういった“モノ”作り以外にも“コト”作りにも積極的に関わっていきたいですね』

外国人労働者や障害者雇用も

――――市民としてこれからの須坂市に期待したいこと、夢はありますか?
 
『須坂はとにかくポテンシャルの高い町。私自身、須坂市を離れて別の場所で暮したこともあるので戻ってきたときに良い町だなと再認識しました。ここからは個人的な夢ですけど、くだもの街道周辺に温泉付きの道の駅が出来たら毎日でも入りに行きますね(笑)私の夢はこポテンシャルある須坂市が若い人たちの力でドンドンと変わっていくところでしょうか。そういう意味でも協力隊にはとても期待しています!私自身もポテンシャルを生かしたまちづくりに関わりながら頑張っていきたいです。』

――――ありがとうございます。最後は私の身の引き締まる言葉で締まりましたが(笑)これからも丸く太く大きな輪になることを応援させて頂きます!
この度はありがとうございました!

【のーすレコメンド】

小さくできるしオリジナルロゴも入れられる焚火台。
ウルトラマンにバルタン星人・・・そそられるなぁ・・・

【のーすレポート】

前職は鉄工業界に居た私。
CADの製図や部品の展開など専門用語も入ってくるのはそのおかげだったりもします。転職って悪いイメージで取られがちですけど、こういうインタビューに行くといろいろな業界をもっと経験したかったなーと思ったりもします。
社長が点と点が線になり輪になる、という言葉を多く使われていて仕事をする上でも人間関係や、昔からの繋がりを大切にしているのだなと感じました。
社長のお父さんが今の形の会社にしたのも、高校時代の友人たちとの関係もあったそうです。
人生、どんな形でどんな人が関わってくるかわからないので、誰にでも親切に、その人の長所を大切にする方がいいかもしれません。
この鉄工業界でも競合という関係よりも、協業を大切にしていて“社長の人柄”と業界が似ているな・・・と感じました。日本でも、このように信頼関係で成り立っている業界がまだ残っているのだと少し安心もしました。
大手に勝っていくには柔軟性も必要。そのような考え方も勉強になります。

そして、やっぱり自分もキャンパーなので、オリジナルロゴの焚火台は憧れます!
いつかオリジナルロゴの焚火台を作って販売してみたい!と考えた、のーすでした。

【この記事を書いた人】

のーす

のーす(北 直樹)
1986年7月3日 石川県金沢市生まれ
2022年8月神奈川県川崎市より須坂市に移住し妻と二人暮らし
現在、須坂市地域おこし協力隊として活動中
趣味:レザークラフト、野球、DIYなど
好きな歌手:吉川晃司、氷室京介
主な活動:空き家バンク、信州芋煮会
夢は須坂市の特産品で6次産業の企画・開発・営業で起業すること


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