不思議の国のアリス|翻訳20(第10章 ロブスターのカドリーユ①)
・はじめに
英文がスッと読めるようになりたくてアリスで英語勉強しています。
頭の中を整理するための訳なので、直訳ぎみで日本語がおかしい箇所があります。
最初から→不思議の国のアリス翻訳01
前回→不思議の国のアリス翻訳19
CHAPTER X.
The Lobster Quadrille(ロブスターのカドリーユ①)
【メモ】
◆Quadrille(カドリーユ、カドリール)とは
〈フランス語〉19世紀のちょうどアリスの時代に流行った4組の男女で行うダンスで、スクエアダンスの先駆けになったもの。
・実際踊っている動画 Quadrille
偽ウミガメは深いため息を吐いて、ヒレの裏で目をぬぐった。彼はアリスを見て何か言おうとしたが、嗚咽で喉がつまってしまい喋ることができなくなった。
「喉に骨が刺さったみたいになっちゃったね」とグリフォンは言って、偽ウミガメの体を揺すって背中をトントン叩いてあげた。ようやく偽ウミガメは声を出せるようになり、頬から涙が流れ落ちた。彼は再び話始めた。
the back of one flapper(※backはヒレの裏側のこと。手のひら)
throat スロート(喉)
have a bone in one's throat(喉に骨が刺さる)
「お前はあまり海の中に住んだことはないかもしれないが―」(「あるわけないわ」とアリス)—「多分、ロブスターに見せてもらったことはないだろう―」(アリスは「一回食べたことがあ―」と言いかけて慌てて口をつぐんだ。そしてこう言った。「そうね、ないわよ」)「—なら想像もつかないだろうなぁ。ロブスターがカドリーユを踊る姿がどんなにスゴイか!」
【メモ】
※この部分、どうしてアリスのが言う部分だけ括弧になってるんでしょうか。
いつものように段落もないので、流れるように会話してるイメージ?
「見たことないわ」とアリス。「それってどんなダンスなの?」
「それはね」とグリフォン「まず最初に、海沿いに一列に並ぶんだ」
a line(一列)
along(沿う)
shore(海岸)
「二列だ!」偽ウミガメは叫んだ。「アシカ、カメ、シャケと、それからクラゲを全てどける」
「いつもここで時間がかかるんだ」クリフォンが口をはさんだ。
Seal(アシカ)
clear(取り除く)
out of the way(道をどける)
some time(しばらく)※sometime[s]が「時々」
「—2歩前進—」
「ロブスターはそれぞれペアを組む!」グリフォンは叫んだ。
「その通り」偽ウミガメは言った。「—2歩前進、腕を組んでクルっと回る—」
「—そして別のペアと交代だ。そしたら同時に後退する」とグリフォン。
「それからがキモだ」と偽ウミガメが続けて「放り投げる―ロブ」
「ロブスターたちを!」グリフォンはピョンッと飛び跳ねて叫んだ。
retire(後退)
order(順番)
「—できるだけ遠くの海に投げるんだ―」
「それを追いかけて泳ぐ!」グリフォンはさらに大声で叫んだ。
「海の中でクルっと宙返り!」偽ウミガメも叫び出し、ドタバタと跳ね回った。
「またまた交代だぁっ!!」グリフォンは耳をつんざくほど大きな声で絶叫した。
caper(跳ね回る)
yell(大声、叫ぶ、怒鳴る)
「そして再び陸に戻ってきたら、最初の形に戻る」と偽ウミガメは突然落ち着いた声で言った。さっきまで狂ったように跳ね回っていた二人は座り込み、とても悲しそうにアリスを見た。
「あの、それはとっても素敵なダンスなんでしょうね」アリスは恐る恐る言った。
「よかったら少し見てみないか?」と偽ウミガメ。
「ぜひ見てみたいわ」とアリス。
「よし、では最初からやってみようじゃないか!」偽ウミガメはグリフォンに言った。「まぁ私たちはロブスターじゃないがな。どっちが歌う?」
「あぁそれなら君が歌ってよ」とグリフォン。「歌詞を忘れちゃってさ」
そしてダンスが始まり、格式ばった感じでクルクルとアリスの周りを踊った。時々、近くに来た時にアリスのつま先を踏みつけたり、前足をクネクネさせ足踏みした。その間、偽ウミガメはゆっくり悲しそうに歌った。
tread トレード(踏む)
【メモ】
waving their forepaws to mark the time
・mark time(足踏みする、好機が到来するまで待機している)
・fore(前方)
前足をくねくねさせて、足踏みした
「『もっと 早く歩けない?』
タラは言った 巻貝に
『後ろのネズミイルカが ぼくの尾びれを踏みつけるんだ』」
whiting ワイティング(魚のタラ)
porpoise ポーペス(ネズミイルカ)※小型のイルカで目がパンダみたいで可愛い。
「『見てよロブスターたちのあの姿 待ちきれなくてソワソワしてる
ウミガメたちも みんなソワソワ歩いてる!
みんな 相手を待っているよ
来てよ 一緒に踊らない?』」
「する、しない、する
しない、一緒にダンスを踊らない?
する、しない、する
しない、一緒にダンスを踊りたくない?」
「『何も考えられなくなるよ
どんなに楽しいことになるか
みんな 抱えて放り投げ
ロブスターたちと一緒に 海へドボン!』
だけど巻貝こう答える『遠いよ、遠い、遠すぎる!』
眉をひそめて海を見る
優しいタラに お礼はしたが
一緒にダンスは 踊らなかった」
notion ノーション(考え、意見、理解、意志)
askance アスカンス(斜めに、横目に)
look askance(横目で[怪しんで・非難の目で]見る、不信感を示す)
「しないの、しない、しないの
しない、一緒に踊ってくれないの
しないの、しない、しないの
しない、一緒に踊りたくないの」
「『そんなに遠くに行くことが 何か問題でもあるのかい?』
タラの友達 こう答える
『知ってるかい 向こうに岸があるんだよ
遠く遠くに行きすぎて 向こう側に行っちゃうよ
ここイングランドから 遠く遠くの
フランスの 近い岸に行っちゃうよ―
でも青ざめないで 愛しい巻貝
来てよ 一緒に踊ろうよ』」
scaly スケィリィ(うろこ状の)
further(さらに遠く)
beloved ビラヴド(最愛の、愛しい、愛される)
「する、しない、する
しない、一緒にダンスを踊らない?
する、しない、する
しない、一緒にダンスを踊りたくない?」
【メモ】
◆偽ウミガメの歌について
Mary Howitt著「The Spider and the Fly」という詩が元ネタらしいです。
超有名らしいのですが、検索しても日本語だと全然出てきませんね。
マジック・ザ・ギャザリング等で有名なトニー・ディテルリッジのイラストで絵本化もされています。日本でも「スパイダー屋敷の晩餐会」(訳 別所哲也)というタイトルで発売してるみたいです。読みたい!
※以下、ウィキペディアから引用して訳したものです。
The Spider and the Fly(クモとハエ)
「僕の居間に来ないか?」クモはハエに言った。
「それはキミが見た中で一番素敵な小さな居間だよ。らせん階段をのぼって行くんだ。キミがそこに行った時、素敵なものを沢山見せてあげるよ」
「あら、行くわけないじゃない!」と小さなハエは言った。「いい気にならないで。あなたのらせん階段を上った者は、もう決して降りることはないのよ」
parlour パウラー(居間、ラウンジ、リビング)
prettiest(pretyの最上級)
spy(見掛ける)
shew シュー(showの過去形。見せる)
vain ヴェイン(うぬぼれの強い、虚栄心の強い、つまらない、いい気な)
ne'er(=never)
「そうか、キミは沢山高く空を飛んで疲れてるんだね。僕の小さなベッドで休まないかい?」クモはハエに言った。
「そこは素敵なカーテンがかかっているベッドで、上等な薄いシーツも敷いてあるんだ。もし休んでくれるなら、僕が心地よく包んであげる」
「もう、休むわけないでしょ!」と小さなハエは言った。「いつもそんなこと言って誘ってるのね。あなたのベッドで眠った者は、決して、決して目を覚ますことはないのよ!」
weary(疲れた、うんざり)
soaring (空へ上昇する、舞い上がる)
awhile(a whileの誤用)
snugly スナッグリィ(心地よく、ぴったり)
ずる賢いクモはハエに言った。「親愛なる友よ、僕のこの温かい愛情をどうしたら分かってもらえるだろう?いつもキミを想っているというのに。僕の貯蔵室は美味しいものでいっぱいだよ。もちろんキミも大歓迎さ―よかったら一切れ食べてみるかい?」
「そんな、いやよ!」小さなハエは言った。「優しいクモさん、それは出来ないわ。あなたの貯蔵室に何が入ってるか聞いたことがあるの。だから見ようとも思わない」
cunning カニング(狡猾、ずるがしこい)
affection(愛情、好意)
store(店、備え、貯蔵)
「僕のキャラメルちゃん!」クモは言った。「キミは頭が切れて、賢いんだね。それになんて美しい羽根なんだろう、まるで薄絹だ。それにキミの瞳の煌めきといったら!僕の家の棚の上に小さな鏡があるんだ。ちょっと足を止めて自分の姿を見るべきだよ、愛しのキミよ」
「ありがとう、紳士なお方」彼女は言った。「嬉しいことを言ってくれるのね。あなたにおはようの挨拶を言うわ。別の日にも言うつもりよ」
witty ウィティ(機知に富んだ、気の利いた、シャレの上手い)
gauzy ゴージィ(紗(しゃ)、うすぎぬ、さ)
looking-glass(姿見、鏡)
bid(入札、命じる、挨拶を告げる)
クモは向きを変えてくるりと回ると、自分の巣に入っていった。
彼はよく知っていた。愚かなハエはすぐ戻ってくるだろう。
なので小さな隅に巧妙にネットを編み始めた。ずる賢く。
そしてテーブルを置いて、ハエを食べるための準備をした。
それから再びドアから出ると、陽気に歌を歌った。
「こっちへおいでよ、おいで 可愛いハエさん 真珠と銀の羽根で飛び
キミの体は緑と紫—頭の上には立派な触覚
瞳はまるでダイヤモンドの輝き その鉛の色は僕のもの」
den(すみか、ねぐら)
silly スリィ(愚かな、たわいない)
subtle サトゥル(繊細な、巧妙な)
wove(weaveの過去形・過去分詞。編む、組み立てる)
dine(食事)
hither ヒダァ(こちらへ)
crest(頂上、てっぺん、紋章、とさか)※ハエの触覚のこと?
dull as lead(鉛のような鈍い色の、非常に間抜けな)
あぁ、悲しいかな!愚かな小さなハエは本当にすぐに、
彼のずる賢いお世辞の言葉を聞きながら、羽根をブンブンとさせ飛び上がったり、近くにきたり、宙に絵を描くようにゆっくり飛びまわりながらやってきた。
その輝く瞳、緑と紫の色合いだけを考えて―
その立派な触覚だけを考えて、なんて哀れで愚かなことだろうか!―ついに
ずる賢いクモは飛び上がると、獰猛に、素早く彼女を捕まえた。
flatter(お世辞)
flitting(スイスイ飛ぶ、飛びまわる)
aloft(上に、高く)
hue ヒウ(色合い、色調)
fiercely フィウスリィ(獰猛に、凶暴に、激しく)
彼は彼女を引きずってらせん階段を上り、暗い巣の中の、
小さな居間の中に入っていった―だが、彼女は二度とそこから出ることはなかった!
―さて、可愛い小さな子供に、この物語にある、
くだらないバカバカしい、お世辞の言葉を言うことがないよう願っています。
悪い人には心を閉じて、目と耳を塞ぎましょう。
そして、この『クモとハエ』の物語を教えてあげて下さい。
―メアリー・ハーウィット(1829)
drag(引きずる)
dismal(暗い)
heed ヒード(心に留める、聞き入れる、注意する)
Unto(=to)
evil counsellor(悪だくみ)
クモとハエの話が教訓としてもよく出来てて面白かったです。最初ハエをオスだと思いこんでクモの甘々な言葉になんだこの夢小説はとニヤニヤしてしまったのですが、お花畑なのは私の頭でした。
アリスでパロられているのは最初の行だけみたいです。皮肉もなく可愛い詩になってますね。
それにしても、この章どうしたんでしょうか。ロブスターダンスに大はしゃぎする2匹が可愛すぎます。
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