不思議の国のアリス|翻訳19(第9章 偽ウミガメの物語②)
・はじめに
英文がスッと読めるようになりたくてアリスで英語勉強しています。
頭の中を整理するための訳なので、直訳ぎみで日本語がおかしい箇所があります。
最初から→不思議の国のアリス翻訳01
前回→不思議の国のアリス翻訳18
CHAPTER IX.
The Mock Turtle's Story(偽ウミガメの物語②)
他のプレイヤーたちは女王が留守なことをいいことに、日陰で休んでいた。しかし女王の姿が見えたとたん大慌てでゲームに戻った。女王は一瞬の遅れは命を失うことになる、と言っただけだった。
absence アドセンス(不在、留守)
shade シェイド(日陰)
merely メレリィ(単に~にすぎない)
【メモ】
the Queen merely remarking that a moment's delay would cost them their lives
女王は、単に~にすぎない、言っている、何を、一瞬は、遅れる、~だろう、損失する、彼らの人生を
→女王は単に~と言ったにすぎない、何を、一瞬の遅れは命を損失するだろうと
女王は自分の番でなくても決して去らずに、ゲームの間ずっと他のプレイヤーと喧嘩をしなから叫びまわっていた。「彼奴の首をはねよ!」「其奴の首をはねよ!」
女王が宣告すると彼らは兵士によって牢屋へ送られていった。当然のことだが、アーチ役をしていた兵士達は牢屋に運ぶためにコートから離れなければならなかった。なので30分も経つとアーチは全員いなくなってしまった。そして、王と女王とアリスを除いたプレイヤーたちの全員は、死刑宣告を受けて牢屋行きになった。
custody カストディ(保管、管理、拘置、身柄の確保)
half an hour(30分)
そうして女王はコートから出ると息を切らしてアリスに言った。「お前、今まで偽ウミガメは見たことはあるか?」
out of breath(息を切らして)
「いいえ」とアリス。「偽ウミガメなんて知らないわ」
「偽ウミガメのスープは其奴から作られるのだ」と女王。
「そんなの見たこともないし、聞いたこともないわ」とアリス。
「ならこっちへ来い」と女王は言った。「彼奴の話を聞いてくるがいいぞ」
そして女王と一緒に歩いて行った。その時アリスは、王が小声で死刑宣告を受けた一団に言うのが聞こえた。「全員許そう。死刑は無しだ」
「あぁ良かったわ!」女王の命令で死刑にされる数を思うと、とても憂鬱な気分になっていたので、アリスは胸をなでおろした。
それからすぐに目的の地にたどりついた。そこには日向ぼっこをしているグリフォンがぐっすりと寝ていた。(もしあなたがグリフォンという生き物を知らなかったら挿絵を見てみるといい)「起きろ、怠け者め!」「この若い娘を偽ウミガメの所へつれていって、話を聞かせてこい。私は戻って罪人どもの処罰を見届けてくる」と女王は言うと歩いて行ってしまって、アリスはグリフォンと一緒に残された。アリスはこの生き物の姿がとてもじゃないが好きになれなかった。だが、広い目で見ればあの凶暴な女王と一緒にいるよりかは安全だと思い、そのまま女王が行ってしまうまで待った。
【メモ】
but on the whole she thought it would be quite as safe to stay with it as to go after that savage Queen: so she waited.
※withには「~に対して」の意味もある
but on the whole she thought
だが、全体を、彼女は思った
it would be quite as safe to stay
それ(グリフォン)は、安全に留まれるだろう
with it as to go after that savage Queen
残忍な女王について行くことに対して
※広い目で見れば、残忍な女王についていくよりもグリフォンといるほうが安全だろうと思った。なので(女王が行ってしまうまで)待った。
グリフォンは起き上がって目をこすると、女王の姿が見えなくなるまで眺めていた。それからクスクス笑った。「おかしいね!」と半分は自分に、もう半分はアリスに向けてグリフォンは言った。
「何が面白いの?」とアリス。
「何って、女王のことだよ」とグリフォン。「ぜーんぶ彼女の空想さ、誰も処刑されたことはないんだよ。分かるでしょ?さぁ、ついておいで!」
sat up(座った状態で体を起こした。お座り的な)
chuckle チャックル(くすくす笑い)
【メモ】
fancy コアイメージ「非現実的な」
素敵な、豪華、高級、おしゃれ、好み、空想、気まぐれ、~したい
※現実離れしてることに対して使える便利な言葉・・・として覚えるといいのかも?
「ここでは皆が『ついてこい!』っていうのね」と心の中で思うと、とぼとぼ後についていった。「今までこんなに命令されたことはないわ。決してね!」
ほどなくすると、それほど遠くない距離に偽ウミガメが見えてきた。彼は小さな平たい岩の上に座って、独りで寂しそうにしていた。近くまで来ると今にも心が砕けそうな様子で歌を歌っていて、アリスはとても哀れに思った。「どうして彼は悲しそうなの?」とグリフォンに尋ねた。グリフォンは先ほど言った言葉と同じようなことを言った。「ぜーんぶ彼の空想さ、何も悲しみなんか持っていないんだよ。分かるだろ?さぁ、ついておいで!」
sorrow ソロウ(悲しみ、哀愁)
偽ウミガメの所に辿り着くと、彼は涙をたくさん浮かべた目でアリス達を見たが、何も言わなかった。
「こちらのお若いレディは」グリフォンは言った。「お前さんの話が聞きたいんだってさ、話してやってよ」
「教えてやるとするか」深い、空っぽな声で偽ウミガメは言った。「二人ともそこに座ってくれ。それから、私の話が終わるまで口を出さないでくれたまえよ」
二人は座ったが、長いこと誰も話さなかった。アリスは心の中で思った。「話し出さないつもりなら、どうやって話の終わりまで聞けっていうのよ」だが、辛抱強く待った。
「その昔」偽ウミガメはやっと話し出した。深いため息を吐いて「私は本物のウミガメだった」
そのあとに続いたのは、長い長い沈黙だった。時々グリフォンは「ハッブシュ!」と突然音を出したり、偽ウミガメは重苦しいすすり泣きをしていた。アリスは立ち上がるまであと少しの所まで腰を浮かして、こう言おうとした。「ありがとう、偽ウミガメさん。面白い話だったわ」しかし、もっと話の続きがあるのではないかと思いとどまり、何も言わずに再び腰を下ろした。
occasional オケーイジョナル(たまに、時折)
exclamation エクスラメイション((喜び・怒り・驚きなどの)突然の声、絶叫)
【メモ】
◆「Hjckrrh!」について
※発音できない擬音みたいです。もしかしたら恐竜やドラゴンなどの大きな生き物が「ブシュンッ」ってよくやるクシャミや鼻息みたいなものかも?なんていったってグリフォンなので。(朗読動画をいくつか見たけど色んな解釈があって面白いです)
「私たちが幼かったころ」偽ウミガメはついに続きを話し始めた。さっきより落ち着いた感じだったが、まだ少し時々だが鼻をすすっていた。「私たちは海の学校に通っていた。先生は年老いたウミガメで―私たちはいつも彼のことをリクガメ先生と呼んでいた」
calmly カームリィ(落ち着いて、静かに、平然と)
Tortoise トータス(陸亀)
「何故ウミガメなのにリクガメって呼んでたの?」とアリスは尋ねた。
「なぜかって?彼からそう呼べと教えられたからだ」偽ウミガメは怒って言った。「本当にお前はとんでもなく鈍いな!」
「恥を知れ!そんなの考えればすぐ分かるだろ」とグリフォンが加わった。そして二人は黙って哀れなアリスをじっと見た。アリスは穴があれば入りたかった。しばらくしてグリフォンは偽ウミガメに言った。「さぁ続けようか親友!一日中そんなことしてるわけにはいかないだろ!」そして彼は続きを話し出した。
【メモ】
I was ready to sink into the ground
直訳すると「地面の中に沈む準備をした」
→穴があれば入りたい
Don't be all day about it!
一日中それをするな
「それもそうだな。私たちは海の学校に通っていた。お前は信じないかもしれないがな―」
「信じてないとはいってないわよ!」アリスは話を遮って言った。
「いいや、言った」と偽ウミガメ。
interrupt インターラプト(中断する、遮る)
「ちょっとは口を閉じてたらどうだ!」とアリスが再び口を開く前に、グリフォンが付け加えた。偽ウミガメは話を続けた。
「私たちは最高の教育を受けた―いかにも、私たちは毎日かかさず通っていたからな」
「私だって昼間は毎日学校に行ってるわ」とアリス。「そんなに誇ることじゃないと思うけど」
education エデュケーション(教育)
「課外授業もか?」偽ウミガメは少し不安そうに言った。
「そうよ」とアリス。「フランス語と音楽を習ってたわ」
「洗濯は?」偽ウミガメは言った。
「そんなものないわよ!」アリスはカッとなって怒った。
extra(臨時、余分)
「あぁ!お前さんは本当の良い学校へは行ってなかったんだなぁ」偽ウミガメは心底ほっとしたようだった。「私たちの通っていた学校では、案内用紙の最後に『フランス語、音楽、および洗濯—課外授業内容』とあったんだぞ」
relief レリーフ(救済、軽減、安堵、安心)
bill(ビラ・貼り紙、請求書、議案・法案)※多分だけど授業内容が書かれている紙のことだと思う。
「洗濯なんて必要なかったんじゃない?」とアリス。「海の底で生活してたら」
「洗濯の科目は金の余裕がなくてな」偽ウミガメはため息をついた。「私はただの普通科目をとった」
afford アフォウド(余裕がある、与える)
I can afford it(お金や時間に関して、余裕がない)
【メモ】
You couldn't have wanted it much
あなたは持つことは出来なかった、それ(洗濯)をそんなに必要とは
「それってどんなことをするの?」とアリスは尋ねた。
「もちろん、独唱と火気ついて学ぶことから始まる」偽ウミガメは答えた。「それから様々な算術を学ぶ―打算、差し引き、醜化、割り印」
inquired インクァド(尋ねる、問う)
【メモ】
◆言葉遊び(太字の部分)
ここからずっと言葉遊びが続きます。勘弁してくれ…
◇Reeling and Writhing(回転と身もだえ)
→Reading and Writing(読み書き)とかけている。
※「読書と書き」から「独唱と火気」にしてみました…
Reel リール(巻き枠、ふらふらする、回転する)
Writhe ライズ(身をよじる、身もだえる、苦悶する)
◇and then the different branches of Arithmetic—Ambition, Distraction, Uglification, and Derision.
Arithmetic アリィスメェティク(算術、算数)
※算数の足し算、引き算、掛け算、割り算を似た言葉(しかも悪い意味の言葉)で言っている。
・Addition アディション(足し算)
→Ambition アンビション(野心)
・Subtraction サブトラクション(引き算)
→Distraction ディストラクション(気を散らすこと)
・Multiplication マルチプリケイション(掛け算)
→Uglification アグリファケイション(醜くなること)
・Division ディヴィジョン(割り算)
→Derision ディレジョン(あざけり、嘲笑)
「『醜化』って聞いたことないわ」アリスは思い切って言ってみた。「それって何なの?」
グリフォンは両手を上げて驚いて「なんだって!『醜化』を聞いたことがないの!」と叫んだ。「『美化』は知ってるよね?」
「ええ」知ってるか怪しかったがアリスは言った。「それは―なるのよ―何でも―綺麗なものに」
「うん、ならさ」グリフォンは続けた。「なんで『醜化』が分からないかなぁ。バカなの?」
prettier(prettyの比較級。可愛いもの、綺麗なもの、美しいもの)
simpleton シンプルトン(ばか、まぬけ)
アリスはこれ以上質問する気が無くなってしまったので、偽ウミガメに振り向き、こう言った。「他にはどんなことを習ってたの?」
「うむ、あとは海の謎についてだ」偽ウミガメは答えた。ヒレで数を数えながら「—その謎とは、古代と現代、それと海理学だ。それから引っ掻き方も習ったな―引っ掻きの先生は年老いたアナゴで、いつも週に一回来たんだ。彼は私たちに引っ掻き方を教えてくれた。めまいがするほどグルグル巻きになって気を失ってたなぁ」
flappers(ひれ状の前肢)
ancient エンシャント(古代の、昔の)
Drawling(ゆっくりした、だらしない感じの間延びした喋り方)
conger-eel(アナゴ)
Stretching(伸ばす、引っ張る)
Fainting(めまいがするほど、ぼんやりした、弱々しい)
Coil(グルグル巻く、巻きつく)
【メモ】
◆言葉遊び(太字部分)
◇Mystery(謎)
→History(歴史)
◇Seaography(造語?海の地理?)
→Geography(地理)
◇Drawling(だらしない喋り方)
→Drawing(お絵描き)
「それってどんな感じなの?」とアリス。
「うーむ、再現することはできないな」と偽ウミガメ。「私の体は硬すぎるし、グリフォンはその科目を習ってないしなぁ」
stiff スティフ(硬い)
「時間がなかったんだよね」とグリフォンが言った。「僕は西洋古典学の先生の所に通ってたんだ。彼は年老いたカニだった。そう、『だった』んだ」
「もう先生の授業は受けることは、決して出来ない」偽ウミガメはため息を吐いた。「先生は笑いと深い悲しみを教えてくれたと、皆いつも言っていた」
「そうだった、そうだったねぇ」とグリフォンは言ってため息を吐きながら偽ウミガメのほうを向いた。それから二人は手で顔を覆った。
Classics(西洋古典学。古代ギリシャ語・古代ローマ語の研究)
Grief グリーフ(死別・後悔・絶望などによる悲しみ)
hid(hideの過去形・過去分詞)
【メモ】
He was an old crab, HE was.
※わざわざ言い直して「HE」と強調されてるのと、その後の反応から、亡くなった?もしくは、もう先生をやめているってことなんでしょうか?
「ええと、一日にどのくらい勉強してたの?」アリスは急いで話題を変えた。
「一日目は10時間だな」と偽ウミガメ。「次の日は9時間、と続いていく」
「なんておかしな時間割りなの!」アリスは叫んだ。
so on((ある時点から時間がたたないうちに)まもなく、すぐ)
「だから時間“割り”って呼ぶんだよ」とグリフォンは言った。「だって、日ごとにどんどん減っていくでしょ?」
アリスは、これはとんでもなく新しい発見だと思った。そして少し考えてから言った。「それなら、11日目は休日だったの?」
【メモ】
◆言葉遊び
lessons(授業)とlessen(減らす)発音が似てる。
「いかにもその通り」と偽ウミガメ。
「じゃあ12日目はどうしてたの?」ワクワクしながらアリスは続けて質問した。
「時間割りの話はもういいだろ」グリフォンが断固とした声で話を遮った。「彼女にゲームのことを何か話してやってよ」
eagerly イーグァリィ(熱心に)
interrupted(中断)
いや、12日目はどうしたんだよ!
話し終えるまで口を出すなと言われているのに、すぐに喋り出して怒られちゃうアリス、子供っぽくて可愛いです。メイベルの件から思ってたんですけど、アリスってかなり性格悪いですね(笑)でもそこが面白くて好きです。
しかし怒涛の言葉遊びで頭を抱える回でした。英語圏の人たちはこのダジャレ(?)は笑えるんでしょうか。色んな人の訳が見てみたいです。
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