不思議の国のアリス|翻訳25(第12章 アリスの証言②)
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CHAPTER XII.
Alice's Evidence
(アリスの証言②)
「一度たりともないわ!」女王は怒り狂ってトカゲにインクスタンドを投げつけた。(不幸な小さなビルの1本の指で書いていた石板はどこかへ吹っ飛び、彼が探しても見つけることは出来なかったが、顔から滴っていたインクを使ってまた急いで書き始めた。インクがある限りずっと)
furiously フュリオウサリィ(怒り狂って)
unfortunate アンフォウトネイト(不運な、不幸な)
trickle トゥリックル(滴る)
「発作でないならホッと安心、残りもサッと解決しようではないか」と王はニッコリと笑顔で周りを見回した。法廷は死んだように静まり返っていた。
「これはダジャレだ!」王は怒って説明した。すると全員笑った。「それでは評決はいかにする」と今日20回は言っていることを言った。
pun(ダジャレ)
【メモ】
◆FITを使ったダジャレ
you never had fits, my dear, I think?
「お前は決してFIT(発作、激発)を起こしたしたことがないよな?」王様が聞いて「never!」と女王は発作のように怒り狂う。
Then the words don't FIT you,
「それなら詩の言葉はお前にはFIT(適合)しないな」
※この一連のギャグは面白いけど王様に殺意がわきました。
(どう訳したらいいか時間かかったので)
「やめろ、駄目だ!」と女王。「判決が先だ—評決はその後だ」
「そんな馬鹿なことってある!」アリスは大きな声で言った。「判決が先だなんて!」
「口を慎め!」女王の顔は紫色になった。
【メモ】
◆裁判の流れ(日本の場合。イギリスでも大まかな流れは同じかと思います)
1、公判
証人や被告人に対する質問。証拠を調べる。
2、評議、評決
証拠に基づいて、裁判員が裁判官と一緒に議論(評議)有罪か無罪か話し合って決定(評決)する。
※イギリスは陪審制(無作為に12人選ばれた陪審員が裁判官から独立して意見を一致させなければならない)
3、判決
評決が決まったら裁判長が判決の宣言をする
「慎まないわ!」とアリス。
「此奴の首をはねよ!!」女王はこれまでにない轟音で絶叫した。しかし誰も動かなかった。
「誰があなたのためにかまってくれるっていうの?」とアリス。(彼女は今や等身大まで大きくなっていた)
「ただのカードにすぎないのに!」
full size(普通のサイズ、実物大の)
その時、全員のトランプたちが宙に舞い上がってアリスに向かって飛んできた。アリスは小さく悲鳴をあげた。半分は恐怖で、もう半分は怒りで。そして彼らを叩き落そうと思った時、川沿いで横になっている自分自身を見つけた。お姉さんに膝枕をしてもらって、木から落ちて顔についた葉っぱを優しく払ってもらっていた。
lap(ひざ)
brushing(ブラッシング)
flutter(はためく、ひらひら、ゆらゆら)
beat off(叩き落す)
「起きなさいアリス!」とお姉さんが言った。「さぁ、あなたって子はいつまで寝ているの!」
「あら、私すごく不思議な夢を見たわ!」とアリス。そして、あなたがこれまで読んできた奇妙な冒険を全てを、一生懸命思い出しながらお姉さんに話してあげた。
そして話し終えると、お姉さんはキスをして言った。「本当に不思議な夢を見たのね、アリス。だけど、急がないとお茶の時間に遅れちゃうわよ」
アリスは起き上がると走って行った。なんて不思議な夢を見ていたんだろうと考えながら。
アリスが走り去って行くと、お姉さんは座ってほおづえをつきながら夕日を見て、小さなアリスと不思議な冒険のことを考えた。そして彼女もどうやら夢を見始めた。これは彼女の夢だ—
setting sun(夕日)
after a fashion(下手ながらも、どうにか、まずまず、一応)
まず、彼女は小さなアリス自身のことを夢に見た。そして再び小さな手をひざの上で握り、しきりに輝く瞳でこちらを見上げ—声もとてもはっきり聞こえ、いつも目に入るみだれた髪を、へんな風に頭を振って元に戻すのも見たーそして、まだ冒険の話を聞いたり、または聞こうと思っているうちに、周囲全体が生きているようになり、小さな妹の夢の不思議な住民もいきいきと動き出した。
clasp(握る)
eager(しきりに、熱心に)
toss one's head(頭をプイッと振る)
【メモ】
and see that queer little toss of her head to keep back the wandering hair
そして見た、queer→おかしく、小し頭を振って、元に戻す、みだれた髪を
→そして、みだれた髪をおかしく振って元に戻すのを見た
that WOULD always get into her eyes
それ(髪)はいつでもアリスの目の中に入る
白うさぎが急ぐと足元で長い草がカサカサ音をたて—驚いたネズミが隣の川に飛び込み—三月ウサギとその友達がティーカップをガチャつかせながら決して終わることのないお茶会をし、女王が耳をつんざくような声で命令をして、不満げな賓客たちは処刑された—それからブタの坊やは、公爵夫人のひざの上でくしゃみをしながら皿や大皿を投げつけられていた—それからグリフォンの甲高い声、キーキー音を立てるトカゲのペン、鎮圧されて締め上げられるモルモット。それらがあたりを満たして、遠くですすり泣いている哀れな偽ウミガメと一緒に混ざり合った。
rustled レッスルド(かさかさする、しゃらしゃら鳴らす)
rattle(ガタつく)
squeaking(キーキーした音)
お姉さんはそのまま座りながら目を閉じて、不思議の国のことを半分信じた。だが彼女は再び目を覚まさなくてはならないことを分かっていた。そして全てがつまらない現実に戻ってしまうことを—草がカサカサと音を立てるのはただ風が吹いているだけで、川のバシャバシャした音はアシ(※イネ科の植物)がゆれているだけ—ガチャガチャと音を立てていたティーカップは、キラキラ光る羊の首にかけられたベルの音に変わり、女王の怒鳴り声は羊飼いの少年の声に変わったー坊やのくしゃみ、グリフォンの甲高い声、それから他の奇妙な音たちも、慌ただしい農園の騒ぎ立てる音に変わってしまうだろう(彼女は知っていた)—その間牛の低い鳴き声は、遠くで重苦しくすすり泣く偽ウミガメの声にとって代わるだろう。
but to(~せざるをえない)
rippling(さざめく、ざわめく、波打つ、さざ波)
reed(アシ、ヨシ※水際に生えるイネ科の植物)
shepherd シェパード(羊飼い)
clamour クラーマー(大騒ぎ、騒ぎ立てる)
farm-yard(農園)
cattle(牛、畜牛)
最後に、お姉さんはあの小さな妹はどんな大人へと成長するのだろうか、と想像してみた。
成長してもずっと幼いころの素直で優しい心を持っているだろうか。そして小さな子供たちを集め、沢山の不思議な話をして子供たちの目をキラキラと輝かせるのだろうか。その中には多分、昔見た不思議の国の夢の話もあるだろう。
あの子は単純に悲しみを感じるだろうか。その思い出の素朴な喜びの中にどんな楽しみを見つけるだろう。
あの子自身の子供時代の、この夏の幸せな日々を思い出しながら。
終わり
pictured(想像する)
riper(ripeの比較級、熟した)
childhood(幼年期、幼年時代)
sorrow(悲しみ、不幸)
ついにやりきりました。終わり方がとても素敵です。
最後に
「不思議の国のアリス」はナンセンスの連続、毒のある言葉遊び、翻訳だけ読んだら面白さが分かりづらいと思います。英語が読めても解説がないと分からない部分も多かったです。でも、この悪夢のような奇妙な世界はとても魅力的で、どっぷりはまり込んでしまい、私にとってアリスは特別なものとなりました。
英語勉強のために、児童書なら読めるのではないかという理由から挑戦してみましたが、まさかこんなダジャレだらけの話だとは思っておらず、英語とは別の部分でも苦戦することになってしまいました。
途中から勉強そっちのけで話に夢中になってしまいましたが、文法を一から学び始め、解説サイト様の助けを借りてなんとか最後まで読むことができました。
文章を書くのも初めての事だったので、とても拙いものだとは思います。でもモチベアップにもなりましたし、思い切って公開してみて良かったです。
最後に、ここまで読んでくれた方、イイネで応援してくれた方、一度でも見かけてくれた方、本当にありがとうございました!大変励みになりました。
次は続編の「鏡の国のアリス」を読もうと思っていますので、これからもゆっくり続けていきたいです。また再開したらよろしくおねがいします!
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