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山本周五郎・作「雨あがる」朗読のための、作品考察

映画の原作にもなった、山本周五郎・作「雨あがる」
Youtubeに作品を朗読し、投稿しました。
8章に分けて読みました。再生リストを作成しました。

朗読の準備にあたって、「雨あがる」を以下の通りに作品を読み込み、考察しました。

作品背景

作者情報 :  山本周五郎 1903(明治36)年~1967(昭和42)年 
        庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた
        時代小説、歴史小説を書いた。

発表年月 :  1951(昭和26)年7月 サンデー毎日増刊号に掲載。

作品のテーマ: 剣の達人でありながら人の好さが災いして出世できない
        武士、三沢伊兵衛の姿を描いています。
         伊兵衛・たよ夫妻が寄せる弱い者への想い、同じ宿に宿泊  
        し、落ちぶれたお互いの身の上を思いやる心温まる物語。       

時代背景  :   物語の時代設定は江戸時代中期
        「藩政改革」が実施された1760~90年頃

         また、作品が発表された時代(昭和26年)は、
         第二次世界大戦後の混乱期で、戦後復興が進む中で
         人々の心情や生活が変化していく時代です。

作品の魅力    :     繊細な心理描写と自然描写。
            雨の中での諍いの場面や、宿での酒宴など、
                                 主人公が人々と関わる瞬間が、読者の心を打ちます。

                 多彩な登場人物たち。彼らの複雑な人間関係が 
                                 見事に描かれている点です。

         山本周五郎の独特な文体や、武士や庶民の言葉遣いも
                                 魅力です。

あらすじ

比類のない剣術の腕前をもつが、人の好さが災いして、仕官先が見つからずあてのない旅をする武士「三沢伊兵衛」、そしてその妻「たよ」。
大雨で足止めを喰らい、木賃宿に宿泊を続けていた。出かけた先で伊兵衛は武士同士の諍いに出くわす。命危険を顧みず、仲を取り持つ伊兵衛。その腕前は藩の重鎮の目に留まった。仕官先が見つかったと、大きな期待を持つ伊兵衛。しかし、事態は思わぬ方向へと進んでしまう・・・・・・・。
・・・そして、雨が上がった・・。再び当てのない旅に出た伊兵衛夫婦。しかしながら、2人の心は晴れやかだった。

物語の構成(起承転結)

  • :       長雨で足止めされた三沢伊兵衛とたよが、宿場町で人々と交流す                る場面。

  • :        伊兵衛が賭け試合で金を稼ぎ、人々に食事や酒を振る舞う場面。

  • :        伊兵衛の人情ある行動が藩主の目に留まり、彼の人柄が評価され              る場面。

  • :         雨が上がり、晴々とした空の下で、伊兵衛とたよは再び旅に出                   る。

全8章。各章のなか各章の核心になる、気になる箇所をピックアップしました。Youtubeではサムネイルとして作成しました。

第1章  梅雨はあけた筈なのに、もう十五日も降り続けで、
      今日もあがるけしきはない。
第2章  この人たちは喜びや楽しみを独占することができないのである。
第3章  では伊兵衛はぐんぐん出世したろうか。
     否、まったく逆であった。
第4章  みるみるうちに五人の手から刀を奪い取り、
      それを両手でひと纒めにして、
第5章  青山邸では酒肴のもてなしを受けた。
第6章  おたよはさりげなく話をそらした。
      良人の気持にまきこまれまい、話だけで信用してはいけない。
第7章  あの人たちには今日しかない、
      自分自身の明日のことがわからない、
第8章  ――でもわたくし、このままでもようございますわ、(中略)
     このままの貴方も御立派ですわ。

以上の箇所は、各章のなかでも印象的な場面で、人情や夫婦愛など
物語のテーマが込められていると思います。朗読するにあたって、じっくり、ゆったりした気持ちで読みたい、と思いました。

朗読の際の表現に留意した点

自然描写が多い地の文はゆったりと。
登場人物のセリフは人間関係がよくわかるように。
心がけました。

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