卒論、適当でもいいんじゃない?

最近、「卒業論文がしんどいから休学する」という話をまわりでよく見るのですが(主にツイッター)、いくつか思ったことがあるので書いてみます。

※自分は情報系の学部と院に行き、修士卒で就職しました。実験がヘビーな物理やバイオ系だと当てはまらないこともあるかもしれません。

卒論を書く理由は人それぞれ

同じ大学に行っていても、卒業した後にやることは人それぞれ違います。就職する人もいるし、しない人もいるし、同じ学校の修士に進む人もいるし、留学して研究者人生を始める人もいます。すると、卒業論文を書く理由も人それぞれ違ってきます。学部を出てすぐ就職するなら「卒業するため」に論文を書くし、進学する人なら「修士に進むため」に論文を書きます。後者の論文は、ただ卒論の発表会を切り抜けるだけでなく、修士に入れるかどうかを左右するので、書く人にとって大事なものになります。

これは、裏を返せば「卒業するため」の論文ならそんなに頑張らなくていいということです。大学にもよると思いますが、先輩たちが卒業できてるなら、自分もきっと卒業できるはずです。修士に入るための論文でも、内部進学で大体の人が進学できてるなら、死ぬほど頑張る必要はありません。

自分の話をすると、親が研究職だったため、学部のときは「修士に行ってそのままずっと研究を続けるんだろうな〜」思っていました。なので、卒論はそこそこ真面目に頑張っていました。

ところが、修士に進むと、研究があまり楽しくなく、研究するよりもバイトでコードを書いている方が好きになり結局就職することにしました。すると、だんだん研究とバイト・就活の比重が入れ替わり、先生に言われたことだけをして修論を頑張ることはなくなりました。が、それでも修論は書き上げて卒業もできました。

研究室ガチャも悪い

前のところで「修士で研究が楽しくなくなった」と書きましたが、これは自分(だけ)の原因ではなく、研究室が変わったことも大きいです。自分は学歴ロンダをしたかったので、学部卒業後は別の学校に進学したのですが、そこの研究室のボスが微妙でした。

輪講で扱う本が20年くらい前の文献で、新しい論文は触れなかったり、先生は Slack を投げても当日中に返ってくれば早い方だったり、研究倫理的に怪しいことをしていたりなど、「前の先生の方が良かったな」と思うことが多々ありました。自分にとっては、特にレスポンスが遅いことがストレスで、研究よりもバイトの方が楽しい理由しかありませんでした。

卒論でしんどいと思う場合は、必ずしも自分が悪いとは限りません。しんどい環境で無理をしても、下手すればメンタルに来て数年ダメージを受け続けることになります。それなら、内部進学して修士で別の研究室に行くなり、就職するなり、あるいは社会人になってから研究をするなり、いち早く環境を変えた方が建設的です。

もっと楽をしている人もいる

自分は研究室以外の学生ともよく絡んでいたのですが、同じ研究室や学校にいても研究生活は人によって全く違いました。もちろん、毎日研究室に来て22時まで PC に向かっている先輩もいましたが、一方では月に1回、ゼミの直前だけ資料を作って、あとは基本的に自分のことをしている人もいました。

自分の場合は、最初の方は毎日研究室で何かしらの作業をしていましたが、だんだんその生活が合わなくなってきて、バイトを入れ、帰る時間が早くなり、ついに週1のゼミの前日だけ資料を作るようになりました。後から思うのと、そもそもこれまでの生活や自分の性格から、先輩みたいにずっと研究1本の生活ができるわけなかったです。

なので、自由度が高い研究生活だからこそ、自分にあったやり方を探すことが大事です研究テーマがあっていて研究をやりたいなら、毎日研究のことを考えればいいし、そんなに好きじゃないなら適度にバイトや遊びに行って、楽しいことをした方がいいです。また、ずっと研究室にいるように見える学生も、よく見たら途中で全然違うことをしていたりもします。

先生たちは学生はずっと研究しているべきという言い方をしがちですが、週5日ずっと研究のことを考えていなければ卒論が書けないことはないです。月に1, 2回しか研究らしいことをしていなかった友達もちゃんと卒業してました。

頑張る ⇒ 良い結果 とは限らない

「もっと楽をしても卒業できる」という話と繋がりますが、むしろ頑張らない方が良い結果になることもあります。

これは自分の話ですが、修士の最初では自分の研究テーマを確立すべく、毎週のゼミで先生の指摘や質問への回答だけでなく、自分なりのアイディアを持って行きました。が、大体先生の意図とズレたアイディアだったので、さらに話がごちゃごちゃになってテーマ出しが大変になっていきました。ついに面倒になって、ゼミの前日に、とりあえず先生に聞かれたことだけ答えられるような資料を持って行ったら、先生からの反応がとても良くなりました。

「たくさん文献を読んだ」「研究アイディアをどんどん出す」というのは、方向性があってれば研究の足しになりますが、そもそも研究や先生の意図と方向性がズレていると、徒労に終わりがちです。そうなるくらいなら、最低限言われたことだけやった方がストレスも少ないし、研究が進みやすいです。

これは授業の先生が言っていたことですが、研究は「クライアントの要望に答えるもの」だそうです。確かに、研究室に入る前は、「研究テーマ」という絶対的な何かについて先生と学生が議論するものだと思っていましたが、少なくとも自分の研究室では違っていて、「研究テーマ」は先生の中にあるものでした。その話を聞いてから、研究テーマ探しは、先生の発言から先生が研究したそうなことに見当をつけ、修士論文になるように仕立てる作業になりました。全ての先生がそうだとは思いませんが、「先生 = クライアント」という考え方が必要な場合もあります。

休学するよりも早く卒業したくない?

最後に、「休学したい」というツイートを見て思ったことです。見出しは若干乱暴な言い方になっていますが、「とてもしんどいなら今すぐ休学して療養すべき」というのは大前提です。メンタル第一。

しかし、卒業論文が全く書けなそうなので休学したくなったときは、
・なんのために卒業論文を書くのか考える
・その上で頑張る量を調節する
・もっと楽な研究生活を送る
・先生をクライアントとして見てみる
などを考えた上で休学を検討するのがおすすめです。休学してしんどいことを先に延ばすなら、60点でも嫌なことをさっさと終わらせた方が楽だと思います

N=1 の話ですが、卒論が書けなくて休学したくなった人向けに、考え方の一つとして書いてみました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?