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最近のIQテストは承認欲求の対価に金を求めるらしい

寂しさというのは人を狂わせる。

ゴッホは友人の画家を失い
耳を切ったし、(しかもその耳を友人に渡そうとした)
実家で一人暮らしをしている私の母だって
齢66でトランポリンを始めた。

とにかく人間にとって寂しいという感情は
心臓から流れる血液のように
身体中をめぐりにめぐり
人間の内側から「狂い」の道へ突き動かすのだ。

こんな風に書いている私も
恋人と別れて一人暮らしを始めたは良いものの
「寂しさ」に支配されるまで数週間もかからなかった。

なぜなら一人暮らしに加えて
会社では浮いており馴染めず
恋人も友人もいない

私の生活は「I」ではじまり
「a」しかつかず
「We」になることも
「s」がつくこともない

中学1年の英語の教科書で例えるなら
7ページ目くらいまでの人生なのだ。

だから私もマンボウのぬいぐるみを
2個購入したり、再生回数が6しかない
サラリーマンの雑談YouTubeを見たりと
寂しさで狂った先人たちに倣って
ささやかな「狂い」の日々を送っていた。

しかしそんな、ささやかな「狂い」では
到底おさまらない寂しい夜もある。

寂しさがアゲアゲで
ウェイウェイ言いながら
テキーラをがぶ飲みしてるくらい
パリピのときだ。

このままでは寂しさに負けてしまう
そう思った私は対抗策を考えた。

しかし寂しさを癒やしてくれる友達はいないし
双子のマンボウは話しかけても無視するし

そこで考えたのが

「IQテスト」

だった。

どういうことか説明すると
私は天才ゆえに友達がおらず、天才ゆえに一人なのだ
そう納得させるためのIQテストである。

「しょうがないじゃん
天才って孤独なんだよ」

と言い訳するために
IQテストくんを利用しようと思ったわけだ。
まさかIQテストくんも知能を図るのではなく
私の承認欲求を満たすためだけに使われるとは
思ってはおるまい。

さっそくネットで「IQテスト」と調べて
目についた適当なサイトに入る。

さっそくIQテストを開始すると
幾つかの図形と「?」マーク
そして「?」に入るだろう選択肢が6個ほど出てきた。

さっそく図形のパターンを探して
中の○が時計回りに動いているのを発見する。

正解がわかったときは気持ちがいい。
わかるたびに天才ひいては
打倒寂しさに近づいている気がする。

ぶつぶつ言いながら、沢山の図形と戯れる。
なんで世間では恋人たちが楽しそうに話していたり
友人同士で楽しく笑い合ったりしているのに
私だけこんな真夜中に図形とにらめっこしてるのだろう
と我に返りかけたが、何とかこらえる。

そうこうしているうちに20問答え終わった。
ほぼほぼ正解にたどり着いた気がする。
ただ、ここからが重要だ。

IQテストというものは
全問答え終わったあとに
自分のIQが教えられる。

平均は100だが、それを下回ると
天才とは言えないだろうし
だからといって105くらいだと
THE 凡人という気がする。

天才だからこそ
恋人も友達もいないということが
許されるわけで

凡人と証明されてしまった場合
「え、友達もいないの?嘘でしょw」
という幻聴に食いころされることになる。

私は恐る恐る結果を見ようと
結果のページに進んだ。

そこにはIQも何もなかった。
何故か決済画面があった。

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え?

15ユーロを払えと書いてある。
日本円でおよそ2000円。

結果を見るのに2000円いるの?正気か?
最近のIQテストは承認欲求の対価に金を取るらしい。

金を払わなければ、いままでの20問が無駄になるが
2000円は何分高額だ。

ただでさえマンボウ2匹で支払いが厳しいというのに…。

しかし、よく出来た商売だな。
心理学に詳しい人なら
「サンクコスト効果」を思い出すだろう。

費やした時間が多ければ多いほど
失うことに苦痛が生じやすくなる効果のことだ。

今回で言えばここで2000円を払わなければ
頭を悩ませた時間も無意味なものになってしまうし
私が天才か大天才かもわからないということだ。

だがここは冷静になってグッとこらえた。
えらくない?

というのもだね、ここで金を払うと
承認欲求を満たすためにIQテストをやったつもりが
承認欲求を満たすためにお金を貢いだことになって

「それはちょっとなー」と思ったからだ。

まあ、IQテストを無料だと思いこんでいた私が悪かった。
そう思うことにした。

なんで「IQテスト 無料」で検索する。

そこで出てきたサイトをやったのですが
検索画面の広告で出てきたもので無料ではないらしく、
そこでは結果を見せる代わりに20ドルを請求されました。

閉じようとしたら「10ドルでいいから!」と
半額になりました。買いませんでした。

言いんですよ、別に。
図形と戯れたって思えば。
一年分の図形と戯れたって思えば、本当に。

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