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DXを紐解く

■DXとは

●なぜDXが話題になっているのか?

GDPと相関関係がある労働人口の減少は国家課題になっています。定年者の活用や、女性の社会進出、外国人労働者の受け入れなど、量を増やす施策も実施されていますが、受け入れる側の準備、育児環境の整備など施策以外に整備する必要があるものが多く、即効性はありません。データ活用や働き方改革などの質を上げる施策への期待が高まっています。

●デジタルトランスフォーメーションとは

ITの浸透が、人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる

エリック・ストルターマン教授

デジタイゼーション(情報のデジタル化)、デジタライゼーション(プロセスのデジタル化)と比較して、デジタルトランスフォーメーションを「社会システムのデジタル化」と捉えることもできます。話題が発散してしまうのを避けるために、この記事では「企業におけるDXプロジェクト」に絞って、掘り下げていきます。

●DXプロジェクトの目的

・顧客視点の獲得
・市場変化への迅速な対応能力の獲得
・新規デジタルビジネスの創出

企業でのDXプロジェクトに絞って考えると、これら3つの目的に集約することができます。

●DXプロジェクトの5分類

1. オペレーションのデジタル化
2. 接点チャネルのデジタル化
3. 意思決定のデジタル化
4. プロダクトのデジタル化
5. 新規デジタルビジネスの創出

参考) AI/データ活用の本格化で見えたDX推進の「ボトルネック」と「処方箋」

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を紐解く

DXプロジェクトを社内/顧客接点、合理化/収益増強で分けると4種類に分類できます。これらのプロジェクトで活用できるようになったデータから、新規ビジネスを創出できる可能性が見えてきます。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を紐解く (1)


■DXプロジェクトで実現すること

●各プロジェクトで、複写の幅を広げデータを活用する

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物理空間をサイバー空間へ複写
物理空間でヒト、モノが生み出している情報をサイバー空間に複写します。

サイバー空間を物理空間へ複写
サイバー空間で生まれた情報を物理空間に複写して、活動に利用します。

複写したデータを組み合わせて価値を生む
物理空間、サイバー空間のどちらでも情報を組み合わせることで価値が生まれることは変わりません。

参考) 産業分野におけるサイバーセキュリティ対策


●データ活用の方法は4種類の分析

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https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1806/25/news056.html から引用

記述的分析
過去に何が起きたのかを明らかにします。

診断的分析
なぜ起きたのかを明らかにします。

予測的分析
将来何がどのくらいの確率で起きるのかを予測します。

処方的分析
何をすべきかを明らかにします。
記述、診断、予測から意思決定したデータを蓄積することで、自動化につながっていきます。

参考) 「セクシーな仕事」から市民データサイエンスの時代へ


■DXプロジェクトの進め方

●5分類を 1 から 5 に進めていく

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参考) AI/データ活用の本格化で見えたDX推進の「ボトルネック」と「処方箋」

顧客視点を得るために、接点チャネルのデジタル化を目指しますが、まずは推進する人材のリソースを空けるために、オペレーションのデジタル化で効率を上げることから着手します。

接点チャネルのデジタル化で、顧客の行動が理解できるようになると、試す施策は爆発的に増えます。より早くこれらの施策から学びを得るために、さらにオペレーションを効率化していくと、ボトルネックは意思決定に移ります。そこから順次、移動するボトルネックとなった業務をデジタル化して、領域を拡大していきます。

社内/顧客接点をモード1/モード2と置き換えると、この流れは守りと攻めの両輪が必要だと言われているバイモーダルの考え方を一歩踏み込んだステップに分割してくれています。

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参考) システム開発によろこびと驚きの連鎖を


●データドリブンに仮説検証する

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データを蓄積、利用する仕組みとプロセスが整ってくると、データを中心においた活動ができるようになります。社内のオペレーションがデジタル化されつつあるのであれば、より合理的に進めるカイゼン案をデータドリブンに仮説検証できるようになります。

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接点チャネルのデジタル化が進めば、事業目標を達成する仮説検証を、データドリブンに進めることができるようになります。全ての事業活動が連携して、顧客に価値を届けているので、仮説検証にも全ての事業活動の連携が必要です。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を紐解く (6)

参考) フロー効率性とリソース効率性、再入門


■DXプロジェクトを進める原動力

●原動力は合理化で生み出した余力

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DXプロジェクトの合理化はコスト削減ではなく、同じコストでより多くの価値を提供できるようにすることが目的です。モード1の合理化で生み出したノウハウやしくみ、時間を、モード2へつないでいきます。

参考) アフラックの新たな成長を支えるIT最新状況2019 ~ バイモーダル時代への備えとIT部門の攻めと守り~


●ベースになるのはDevOpsのアプローチ

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観点
人・組織
プロセス
テクノロジー

指標
スピード
  リードタイムの短縮
  デプロイ頻度の向上
品質
  サービス復旧の所要時間の短縮
  デプロイ失敗の低減
-> 効率

DevOpsでは「より楽で安全に、より早く多くの価値を提供するため」に何をするべきかを問い続けていきます。アプローチする観点は「人・組織、プロセス、テクノロジー」で、その効果を「スピードと品質」つまり「効率の良さ」で計測します。これはDXプロジェクトの合理化の指標と一致します。

参考) DevOps accelerates Digital Transformation - 組織でどのようにDevOpsを促進させるのか -


●合理化の進め方はNoOpsのアプローチ

NoOps は No "Uncomfortable" Ops。システム運用・保守の嬉しくないことをなくそうをテーマにした活動です。

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守りのNoOps: Less Toil
自動化、効率化で運用環境をカイゼン

攻めのNoOps: Design for NoOps
構造的に運用が不要なシステムとして設計

提供する価値の種類と相関して増加してしまう運用コストを、できる限りゼロに近づけます。すでに運用しているものではカイゼンを繰り返し、新たにつくるものでは運用がゼロに近づくように設計します。この考え方は情報システムに限ったものではなく、事業活動全般に適用できます。

参考) NoOpsが目指す未来とコンテナ技術


●xOpsで合理化を全ての事業活動に広げる

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関わる全ての職種の方々が、各々のプロセスを運用することで顧客に価値が届きます。そして、それらのプロセスは組織の中で分断され、複雑に絡み合っています。

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社内オペレーションのデジタル化が進んでいれば、そのデータを活用して、職種をまたいだ全ての価値提供プロセスを、より楽で安全に、より早く多く連携できるようになります。

自身のプロセスに集中し完了させることで、自然と、後続のプロセスに必要なモノが整っている。後続では、仕掛中のプロセスを完了し、次のプロセスに手を付けようとするときには準備が整っている。ヒトがやるべきことに集中できるようにテクノロジーを活用していきましょう。

参考) xOps: エンジニアがスタートアップの成長の原動力となる日

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理想的なプロセスをテクノロジーで支えられる状況ができたとしても、それを運用するのは、組織の中のヒトです。そして、プロセスの変更時には現在の役割に固執していては何も動き始めません。「より楽で安全に、より早く多くの価値を顧客に届ける」ために、役割の溝を越え、組織の溝を越え、どこまでも越境し続けましょう!

参考) 越境・ジャーニー

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