見出し画像

仮説検証にカスタマーサクセスの観点を組み込むBAMLループ

エンタープライズでの社内向けプロダクトの仮説検証では、Problem Solution Fitを検証する1サイクル目によく陥る傾向があります。効率的に学びを得るためにBMLループで仮説検証を進めていきますが、サイクル単位で見ると、多くのプロダクトで同じ学びを得て、同じ施策を打っています。

BMLループ

ビジネスアイデアを仮説として捉えて検証するためのプロセス。
仮説検証のためのMVPをBuildして、それを元にMeasureし、その結果得られたデータからLearnする。

実際に進める場合、逆順に考えてから実施することで「何を学びたかったんだっけ?」や「必要なデータが取れていない」などの手戻りを減らすことができます。

BMLループ_思考プロセス

BMLループ_実施プロセス

PSF 1サイクル目の傾向

事前に何を学ぶのかを検討していても1サイクル目の学習で陥りがちなのが、計測したい成果の値がまだ発生していない状況です。

成果を検証する場合、遅行指標を計測することになります。これは顧客がプロダクトを通して課題を解消していく一連の体験から生まれる値です。必要な体験が生まれていなければ計測することもできません。

この状況に陥る原因は、仮説を検証するための成果指標は考えられていても、前提の顧客が成功体験を得るまでの段階が考えられていないことです。

BAMLループ_体験なし

計測する値が発生していないことを避けられたとしても、思ったほど成果が出ていない状況もよくあります。まだ、顧客が十分な成果を得られるほどにプロダクトを使いこなせていない状況です。

そこで次の施策として、顧客が成功している状態までのロードマップを整理し、必要な接点と、コンテンツ、支援方法を整備する、カスタマーサクセスの活動をはじめます。

BAMLループ_伴走なし

ここで描くロードマップは、カスタマージャーニーの「プロダクトを通して得られる体験」とは観点が異なります。「プロダクトを使いこなして、成果を得るまでの段階」を整理したサクセスロードマップです。

1サイクル目の段階では、まだ顧客ごとの解像度が低く、チームに複雑なパスを支援する練度も備わっていないので、まずはハッピーパスで描いたサクセスロードマップからはじめることになります。

この施策で一定の成果を上げるところまで支援できることは多いですが、より早く顧客に成果を上げてもらうには、はじめからカスタマーサクセスの観点が含まれている方がスムーズです。

ハッピーパスであれば、サクセスロードマップを事前に描くことができますし、ロードマップがあれば、顧客との伴走をあらかじめ計画することができます。

BAMLループ

BAMLループ - 仮説検証にカスタマーサクセスの観点を組み込む (5)

BMLループに、顧客との伴走プロセス(accompany)と、顧客に得てもらう体験(experience)を含めたサイクルです。

●思考プロセス
・仮説立案
・仮説を検証するために、何を学ぶのか?
・学ぶために、必要なデータは何か?
・必要なデータは、どう計測するか?
・計測するデータは、どんな体験で生まれるか?
・その体験には、どんな段階が必要か?
・その体験と段階には、何が必要か?
・必要なものは、どう構築するか?

BAMLループ_プロセス

●実施プロセス
ビルド
仮説を検証するために必要最小限のしくみを設計、構築し、動作を確認します。

伴走
検証に必要なデータを生む体験までの顧客の段階と、必要な接点を整理し、最小限のコンテンツで支援を実施します。

計測
体験に必要な環境とデータを提供、維持します。
検証に必要なデータを計測します。

学習
蓄積されたデータを分析し、仮説を検証します。検証結果を評価し、次の仮説を立案、選択します。


いつも応援していただいている皆さん支えられています。